人の話し声で目を覚ました。
目の前には全身白の男性と鹿の被り物をした男性。どっちも私が目を覚ましたことに気づいていない。手には手錠。足には何も無い。
バキッ
思い切り両手を逆方向に曲げると手錠の真ん中部分が切れた。その音で2方には起きてることがバレてしまったが、遅かれバレたので問題は無い。
「手錠を素手で壊せれるのか、」
「手錠の1つや2つ、簡単に壊せますよ」
「有月様、先程の質問に答えて頂きたいです」
「そうだね鹿島、君はこの世界が腐ってると思わないかい?殺し屋も、一般市民も。僕はそれを正したいんだ。だからまず殺連を潰す。その次は一般市民。」
「大層思想の強い方ですね」
彼の言いたいことを簡潔にまとめると僕がこの世を正して、神になるんだ。私にはそう言ってるようにしか聞こえない。
「殺連は一般市民に手出できないはずです」
「それもそうだが、僕が新会長になったら色々ルールを変えようと考えていてね」
「貴方はずっと前からそう考えてるいたのですか?私を救ってくれた有月様は…」
「どうだい?失望でもした?」
「いえ、有月様が言うことは私の正義なので」
トナカイ?鹿?の被り物した方は“鹿島”と言うらしい。全身白の方は“有月”。名前がわかったことろでどうこう出来るわけじゃないが少しでもわかってる方がいい。
だが今はそんなことより、ここがどこで。私は何時間、何日寝ていたのか辺りを見渡したがどこかの施設の廃墟。外は昼か夕方。
「私を何のためにここに連れてきたのですか」
「簡潔に言うと、君の居場所はあそこじゃない。」
「南雲くんと離れろってことですか?」
「少し違うが、そう考えてる貰えれば嬉しい。そして僕たちと一緒に新世界を作ろう」
“新世界”そんな言葉中学生のころ隣の男子からしか聞いてことのない。彼が望む世界とは、?
その思想のために多くの人を殺してきた人と今度は仲良くしろと?笑えるよ
「やはり君はリオンじゃないね」
“リオンじゃない”そんなの知ってる。だけど全く知らない人に比べられるのは癪に障る。
「一応聞きますが私を仲間にしたいんですよね?」
「ああ、だから手段を問わないよ」
そう言い彼は1つの写真を私の足元に落とす。
しゃがみそれを見る。
「君の友達の鈴木 小織。23歳、数年前に受けた怪我が原因で植物人間状態。」
その写真には丁寧に日付がわかるように書かれていた。
「君の発言1つで彼女の生死が決まる 」
そんなの仲間になるしか選択肢がない。
口を開こうとした瞬間
「リオン…さん?」
そんな声が奥から聞こえた。声の主を見ると明らかに年下の女の子。私と似た髪色、私を収縮したらあんな感じだろうな。そう思うほど似ていた。その彼女の横にはカメラを抱えた男性が1人
「愛する1人家族を殺され、敵のアジトに来たが、そこには自分と瓜二つの人。さぁ、本物の赤尾リオンは死んだのか、生きてるのか」
彼女は期待に膨れた目とそれを信じられないと言った雰囲気で私を見てた。
「君から言うのは正しいんじゃない?」
この人、相当性格がひねくれてるようだ。まだ幼い子に私は赤尾リオンじゃない。赤尾リオンは既に死んでる。なんっていくら言葉を包んでも相手に酷い。それをわかってこの男は私に言わせる。言わなかったらそれはそれで酷。
「あなたリオンさんじゃないですよね…?だって坂本さんがリオンさんは既に死んでるって..」
“坂本”どこかで聞いた事のある苗字。
思い出した。南雲くんが話していた、
“学生時代、坂本くんと赤尾、僕の3人でよくバカやってたんだよね〜”
「すみません…」それしか言えなかった。
それを聞いた彼女はわかっていたがそれでも…と目で言ってるのがわかった。
「瓜二つの人は他人。赤尾リオンは既に死んでる。それを受け入れられないが受け入れるしかない…。」
ナレーションをつけてる彼に嫌気がさしたが今はここを出るのが先。全員の意識があの子にかかってる今なら…
そう考え足を少しずらすと
ガチャ
「動かないでください。撃ちますよ」
鹿島が私に銃を向けてくる。だが私にとって銃は怖いものではない。
私が大幅に動くのと同時に晶が有月を刺した
ほんとに一瞬で。私に気を向けていた鹿島はそれを防ぐことが出来ず有月は心臓を刺された
「有月様!!!」
私に向けていた銃を下ろした瞬間、私は思い切り彼の頭を目掛けて横にあった鉄棒で殴った。
鉄の塊を殴ったように全身に反動が来る。それでも凹んだ棒を持ち直し倒れかけてる鹿島をもう一度ど壁に向けて打つ。自分でもびっくりするほど鹿島が飛んだ。
「坂本さん、居ました!!」
そう青年の声が後ろから聞こえた。
私は坂本さんとは会ったことがないからまた間違われる。そう思っていたが
「南雲が心配してたぞ」それを聞いてなんでそれを?と思って居てると、鹿島が撃った弾丸により上にあった鉄パイプが落ちてくる。
物体には殺意がないから時は遅くならないまま瓦礫の下敷きに―――
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