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扉を開けるだけの物語。3
深呼吸をして教室の扉に手をのばす。
教室に一歩足を踏み入れた瞬間キーンコーンカーンコーンとチャイムがなった。
私は思わず「先生、今日は間に合いましたよ!」と
決め台詞みたいにカッコつけて言ったら
「ベル着という言葉を知っているかね?黒川くん」
「えーとっ、存じ上げておりません。ぁは」
そう言った瞬間教室内が笑い声で埋まった。
クラスのみんなが声を合わせて「やっぱり、黒川さんおもしろっ」と
クスクス笑った。私は席に着き出席確認が始まる。
「ねぇ、葵」隣の席であり友達の響ちゃんに呼びかけられた。
「葵ってやっぱり頭良いけど少し抜けてるというかなんというか…」
「むぅ少し抜けてるってどういぅ…」
「おーい、黒川 葵。出席してるなら体調を含めて返事しろ 」
「は、はい。体調は朝ご飯にジャムを塗った食パンを食べたため極めて良好です!」
「おう、元気そうだな。」またクラスのみんながクスクスと笑った。
頭の上にハテナマークを浮かばせていると響ちゃんが
「怪我とかしてないか?って言う意味で聞いたんだよ。」と教えてくれた。
(それぐらい分かってるし…)
授業が始まり 「全員いるな。テスト返却するぞ」
クラスのみんなが不機嫌そうにえ〜と言う言葉を口に出していた。
「次、黒川。おめでとうAll90点代だ。」もう一人の友達健くんが
「頭良いのに少し抜けてる残念な天才ちゃーん」と
からかってきた。とりあえず健くんは無視して今日という日はあっという間に過ぎた。
帰り道響ちゃんと別れたあと全速力で彼の家に向かった。
今日は待ちに待った1週間に1度の彼と本を紹介し合う日。
彼の家に向かう道で久しぶりに初めて出会った頃を思い出していた。