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第二章:高校生と仲間たち
ある日の午後、フウクはいつものように街を飛び回っていた。
木の葉の間をすり抜け、電線の上を滑るように移動する。
すると、住宅街の一角で小さな笑い声が聞こえた。
「わっ、びっくりした!」
声の主は高校生の少年、悠真(ゆうま)だった。
髪は少し乱れ気味で、目は優しく光っている。
悠真は猫の毛玉を追いかけていたらしく、フウクがそばの電線に止まったことに驚いたらしい。
フウクは少し首をかしげて見下ろす。
「ふう、こんなに小さくても、楽しそうに遊ぶんだな…」
フウクは心の中で思った。
その瞬間、猫の毛玉──名前は「ミルク」──が悠真の足元に跳ね寄った。
ミルクはフウクをじっと見上げる。
「にゃー」
フウクは翼を少し広げ、電線から下を見下ろした。
「こんにちは、僕はフウク。君たちと友達になれそうかな?」
もちろん悠真にはフウクの声は聞こえない。でも、フウクは彼の行動を観察し、言葉を理解することができた。
悠真はミルクを抱き上げて、「ああ、君は今日も元気だね」と笑った。
その声の調子で、フウクはこの少年が心優しいことをすぐに感じ取った。
その日から、フウクは悠真の家の周りで過ごすようになった。
庭にはウサギの「ポン太」もいて、フウクは時々ポン太と遊ぶ。
学校へ行く悠真を見送りながら、フウクはそっと後をついて行くこともあった。
ある日、フウクは悠真が友達と登校する後ろ姿を、電線の上から見守った。
「人間の世界って、面白いな…」
フウクはまだ口には出せないけれど、悠真やミルク、ポン太と過ごす日々が、少しずつ自分にとって特別な時間になっていることを感じていた。