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朝_。

病室の窓から見える景色。

それは、楽しそうに話しながら学校へ向かう子供たち。

🎤 俺も、あんな風になれたのかな…



がらがら…ッ

🐼 きんとき~ッ!

🎤 あ、えっと…

🐼 また忘れたの~?

🎤 ごめん…

🐼 い~よ、何回でも教えるしその頭に叩き込むから!俺の名前は“なかむ”!

🎤 なかむ…うん、わかった。


このパンダのパーカーを着てる男…は、

なかむ。確か…1ヶ月くらい前にこの病院にきた。

俺と同い年の心臓病を患っている子。

ちなみに、俺の病気は…えっと、なんだっけ。

記憶に関するものだった気がする…


🐼 …よしっ、屋上行こ?

🎤 んぇッ、勝手に行ったらまた怒られ_

🐼 監視されてばっかの生活なんて嫌でしょ?ほら、行こ!

🎤 あ、ちょ_!



いつものこの調子。朝起きると必ず俺のいる病室にやってきては屋上に連れていく。なかむが屋上を好く理由は分からないけど、きっと大事な場所なんだと思う。


🎤 も~、そんなに走って…悪化したらどうするの?

🐼 みんなそう言う~!検査はもう終わってるし、薬も飲んだから大丈夫!ほら、もうちょっとあっち行こ

🎤 あ、だから待ってってば…!


🐼 きんとき…小学生の頃からここにいたんでしょ?

🎤 うん…確か、2年生の時から。

🐼 なのに、屋上に来たのは俺がここに来てからが初めてなんだもんね。ほんと、冒険しようよ?

🎤 めんどくさいし…外は嫌いだから。


🐼 う~…、あ…!見て、山の方。鳥がいっぱい飛んでるよ。

🎤 うん…そうだね

🐼 ほんとに思ってる…?

🎤 思ってるよ。


えっと…あ、また忘れた。

こいつの前ではこんな塩対応だけど、俺に外の世界を教えてくれた。学校の楽しさを教えてくれた。見たことない景色を見せてくれた。

ずっと病室の中で布団にこもってるだけだった俺を救い出してくれた。




生きる意味を教えてくれた。

だから、この何気ない時間もおれの宝物。

2人とも、いつが最期になるかなんて分からない状態。

それでも前を向かなきゃ乗り越えられないから、決めてる。

「絶対に2人で退院しよう」って。


🐼 …ね、きんときは恋愛したことある?

🎤 恋愛…、


あるわけない。元々病弱で、ここに来ていなかった頃もほとんど学校に行けてなかったから人と関わることがなかった。

🎤 ないと思うよ…。

🐼 へ~、じゃあ好きになっても気づかない?

🎤 気づく気づかないじゃなくて、忘れちゃいそう。

🐼 忘れんなw


まだ俺たちは元気。

痛い検査もするけど…でもそれが退院するためのものなら喜んでうける。


看護師 あ、…いました!

🐼 ぅげッ!

🎤 ほらばれた…

看護師 も~、2人とも?勝手に屋上行かないでって言ったでしょ?これで3日連続なんだから…。

🎤 え”ッ、そんなに…?

🐼 えへへ…、じゃあ病室戻ろっか?

🎤 …うん。


「戻りたくない」

そう言えたらどれだけ楽だっただろうか。

病室が違うからなかなか会えなくて…

だからこそこの時間が好きで、好きで好きでたまらなかった。

けどもう終わりなんだ…。


🐼 …ふ、ッw大丈夫、また行くから!

🎤 ッ、!?///

🐼 たこみたい…w

🎤 も~ッ、///


こいつは俺の考えていることを見透かしてる。

でも、少しだけ嬉しくなる。

思いを伝えなくても、こいつなら分かってくれるから。

だからどうか。

この時間だけは、大切な時間だけは


ずっと、ずっと

















覚えていたい_



















短くてすみません!!

1話/日常

でした~!

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