episode 11「Are you my comrade?」
衝撃の正体は、突然抱きついてきたレイナだった。
「翔くん…生きてるの?」
「…きてる」
「よかったあ、よかったポロポロ」
彼女はたちまちルビー色に染まって行った。俺まで笑顔になりそうな勢いだった。
全てを失っても、これが唯一の希望だった。
「そろそろ家事やってくる」
「…だそ……いて」
レイナ視点
その言葉をすぐに受け取り、翔くんの手を握る。
触覚以外の感覚がなくなってしまったその手は、まだ
生きていることを感じさせる強い暖かみを持っていた。
そのエネルギーは、どんなものにも勝る、いや勝るという概念を破壊するほどにしたたかなものだった。
そろそろ本当に時間が来てしまう。朝食を作りに行った。
そして1日が終わろうとする。明日になれば内臓も失われ始めるかもしれない。
私が自室で見ていたのは、結婚直後に撮った翔くんたちとの写真。
その笑顔にカッターを突き立てようとした瞬間後ろから止められた。
「ちょっと何してるの?!」
かいくんだった。みんなに合わせようとしていたから、酷いことを言ってしまったようだ。
今は、少し疑心暗鬼になってしまうこともある。でも、一人でも安心できる仲間がいるなら、
それだけでも心地が良い。
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