第7話(最終話)
泣けなかった。ただ、ただ、泣けなくて。他の人から見たら嫌いだとか言って睦月を傷つけたひどい彼女だったのかもしれない。しかも彼氏が亡くなったのに泣きもしない。ただのひどい人かもしれない。私も自分がこんなに薄情だとは思わなかった。とても悲しかった、辛かった、それでも泣けなかった。人が死ぬのを見るのは辛い。私は多分、睦月が、彼が死んでしまったことを理解しきれていないのだと思う。
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こんなに辛いのなら知らなければよかった、好きな人ができる喜びも、人と一緒にいれる嬉しさも、でも、でも睦月ならそんなこと思わないよ…ね!「死にたい」とも思った。でもまだダメだと思う。手紙読んでそう思った。ありがとう睦月、ありがとう。あと少しだけ生きてみます。ほんの少しだけ。『睦月へ、私に生きる喜びを教えてくれてありがとう。私にあなたを教えてくれてありがとう。私と一緒にいてくれてありがとう。私を好きになってくれてありがとう。大好きです。私は、君に会えてよかったです。』この手紙なあなたに届くように、私が死んだ時に一緒に燃やしてもらいます。2カ月後は私が余命と言われた月。あと少しだけ頑張って生きてみる。
享年、3月30日病院の窓からはもうすぐ咲きそうな桜のつぼみが見えた。







