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𝓝𝓾𝓶𝓫𝓮𝓻 𝓸𝓯 𝓬𝓱𝓪𝓻𝓪𝓬𝓽𝓮𝓿𝓼 ▹▸ 7,633 .
※ こちら 大変 長く なって おります 。
時間 が ある 時 に 読む 事 を
お勧め 致します 。
朝 から ずっと 頭 が 重い 。
熱っぽさ も 抜けないし
息 を するたび に 胸の奥 が ざらつく。
それでも、俺 は
画面 と 資料 から 目 を 離さなかった 。
さっきから 視線 を 感じる 。
アニキ だ 。
だが、 近づいてこなかった 。
黄) ないこ
視線 を 感じてから 数分後 。
呼ばれて ほん の 一瞬だけ 肩 が 跳ねた 。
声 を かけられる と
思って いなかったわけ じゃない 。
ただ その タイミング が 来るのを
どこか で 恐れてた 。
桃) なに ?
できる だけ 普段通り に 返す 。
声 の 調子 も
表情 も
意識 して 整えた 。
アニキ は
俺 の 顔 を じっと 見てから 言った 。
黄) …… 今日 顔色 悪ない ?
探るような 言い方 。
断定しない 逃げ道 を 残す 聞き方 。
俺 は 小さく 笑って みせた 。
桃) そう ? 最近 寝不足だからかな 。
桃) 気の所為 でしょ
即答 だった 。
考える 前 に 出た 言葉 。
アニキ は 何も 言わない 。
ただ 一拍 置いて から
ふぅっ と 息 を 吐いた 。
黄) そっか
たった それだけ 。
納得 した ふり 。
でも 納得 してない のは 分かる。
黄) 無理 だけ は すんなよ
桃) しない って
少し 強め に 言った のは
それ 以上 踏み込ませない ため だ 。
沈黙 が 落ちる 。
重たい 沈黙 。
アニキ は しばらく 俺 を 見ていた けど
やがて 視線 を 外した 。
黄) ……まぁ ないこ が そう 言うなら
その 言い方 が 逆 に 痛かった 。
信じてる から 引いた 。
でも 完全 には 信じて ない 。
距離 を 取るため の 一歩 。
黄) 様子見 は しとく けど
黄) なんか あったら 言えや
軽く 言って
自分 の 作業 に 戻って いった 。
その 背中 を 見ながら
俺 は 無意識 に 胸 を 押さえた 。
桃) ……大丈夫だよ
誰 にも 届かない よう に もう 一度呟く 。
自分 に 言い聞かせる みたい に 。
アニキ は
それ以降 何も 言って こなかった 。
その優しさ が
今 は 少しだけ 苦しかった 。
アニキ が 視線 を 戻して から
部屋 は さっき より 静か に なった 。
キーボード の 音 と
紙 を めくる 音 だけ が
やけ に 耳 に つく 。
…… 様子見 、か 。
それ で いい 。
いや 、 それ が いい 。
そう 思った はず なのに
胸 の 奥 が 少しだけ ざわついていた 。
俺 は もう 一度 、資料 に 目 を 落とす 。
文字 が さっき より 滲んで 見えた 。
桃) …… っ、
小さく 喉 が 鳴る 。
咳 が 出そう に なる のを
なんとか 堪えた 。
今 出たら 、絶対 バレる 。
だから 息 を 浅く して 唇 を 噛む 。
このくらい いつも の こと だ 。
そうやって 何度 も 乗り切って きた 。
ふと 顔 を 上げる と
アニキ が こちら を
見ていない こと に 気づいた 。
本当 に 踏み込まない で くれている 。
その 事実 に 少し だけ 安心 した のと
同時 に
少しだけ 取り 残された 気分 に なった 。
昼 が 近づく頃 、
頭痛 は さら に 強くなった 。
考え が まとまらなくて
同じ行 を 何度 も 読み返す 。
桃) …、あれ、?
さっき 確認 した はず の 数字 が
合わない 。
指 で なぞって もう 一度 見る 。
自分 で 出した 数字 なの に
どこ で ズレた のか 分からない 。
嫌な 汗 が 背中 を 伝う 。
前 なら 一瞬 で 気づけた はず だ 。
視線 の 端 で
アニキ が 立ち上がった のが 見えた 。
でも こっち には 来ない 。
俺 が [ 大丈夫 ]って 言った から 。
自業自得 、 だな 。
打ち合わせ の 時間 が 迫って
俺 は 立ち上がろう としたが 、
一瞬 床 が 遠のいた 。
机 に 手 を つく 。
指先 に 力 が 入らない 。
さすが に まずい 。
でも この タイミング で
「 やっぱ無理 」
なんて 言えない 。
さっき の 言葉 を
自分 で ひっくり 返す のが 怖かった 。
だから
何事 も なかったふり を して 歩き出す 。
その 背中 に 悠佑 の 声 が 飛んで きた 。
黄) ないこ
一瞬 止まりそう に なるの を 堪えて
振り返る 。
桃) ん ?
黄) …… いや 、
アニキ は 少し 間 を 置いてから 続けた 。
黄) 打ち合わせ 無理そう やったら 言えよ
それ 以上 何 も 言わない 。
踏み込まない まま
逃げ道 だけ を 用意する 。
俺 は 笑った 。
桃) 分かってる って
その 言葉 に 嘘 は 混ぜなかった 。
ただ
言える気 が しない と いう
本音 を 隠した だけ だ 。
会議室 に 向かう 廊下 で
俺 は 壁 に 手 を ついた 。
桃) … 、 大丈夫 、
まただ 。
今日 何度目 だろう 。
この 言葉 を 使う たび に
少しずつ
自分 の 首 を 絞めてる 気 が した 。
でも まだ いける 。
そう 思った 瞬間
遠く で 誰か が
俺 の 名前 を 呼んだ 気 が した 。
それ が 現実 だった のか
ただ の 耳鳴り だった のか
その時 の 俺 には
もう 判断 が つかなかった 。
会議室 の 椅子 は
思って いた より 硬かった 。
座った 瞬間
腰 から 背中 に かけて 力 が 抜ける 。
……まずい な 。
資 料 を 机 に 並べながら そう 思う 。
でも 今さら
席 を 立つ 選択肢 は なかった 。
桃) じゃあ 始めよう か
俺 の 声 は
自分 で 思っていた より 少し 低く
掠れて いた 。
マイク 越し だから 大丈夫 だろう 。
そう 自分 に 言い聞かせる 。
スライド を めくる 指 が 微か に 震える 。
視界 の 端 が じわっと 暗くなる 感覚 。
…… 集中 しろ 。
話す 内容 は 頭 に 叩き込んで ある 。
何度 も 練習 した 。
だから 言葉 自体 は
勝手 に 口 から 出てきた 。
途中まで は 。
桃) 次に ……
一瞬 何 を 話すんだっけ 、 と 思った 。
ほんの 一拍 。
でも 心臓 が 嫌 な 跳ね方 を する には、
十 分 な 間 だった 。
資料 を 見る 。
文字 が にじんで 読めない 。
…… あれ ?
順番 これ で 合ってたか ?
喉 が 渇く 。
息 が 上手く 吸えない 。
桃) えー ッ と 、、
沈黙 が 落ちる 。
たった 数秒 なのに 、
やけ に 長く 感じた 。
頭 の 奥 で アニキ の 声 が よぎる 。
黄》 無理そう やったら 言えよ
今さら そんな こと 。
軽く 首 を 振って
無理やり 言葉 を 続けよう と した
その時 だった 。
視界 が ぐにゃり と 歪んだ 。
音 が 遠ざかって
誰か の 声 が 水 の 中 みたい に
聞こえる 。
立ち上がろう と したが 、
足 に 力 が 入らなかった 。
机 に 手 を ついた 瞬間
冷たい 感触 だけ が
や け に 鮮明 に 伝わる 。
桃) … … すみません 、
反射的 に 謝っていた 。
何 に 対して かも 分からない まま 。
次 の 瞬間
会議室 の 扉 が 勢いよく 開いた 。
黄) ないこ ッ !
聞き 慣れた 声 。
少し だけ 焦った 声 。
アニキ だ 。
ああ やっぱり 。
様子見 しきれなかったんだな 。
腕 を 掴まれる 。
思った より 強くて
でも 震えている のが 分かった 。
黄) ないこ 聞こえるか 、?
桃) …… アニキ
名前 を 呼べただけ で 精一杯 だった 。
桃) ごめん … … 大丈夫 って … …
言い終わる 前 に 視界 が 白くなる 。
黄) 大丈夫 ちゃう やろ … … ! !
珍しく 感情 の 乗った 声 だった 。
でも その 続き を 俺 は 聞けなかった 。
力 が 抜けて 意識 が ふっと 遠のく 。
最後 に 感じた のは
腕 を 支える 温度 と
小さく 漏れた
悔しそう な ため息 だった 。
—— ああ 。
ちゃん と 言えば よかったな 。
その 考え が
意識 の 底 に 沈んで いった 。
最初 に 戻ってきた のは 音 だった 。
一定 の リズム で 鳴る 電子音。
それから どこ か 薬っぽい 匂い 。
目 を 開けよう と して
まぶた が やけ に 重いこと に 気づく 。
頭 が ぼんやり して
思考 が うまく 繋がらない 。
ああ そうだ 。
会議 。
途中 で 立ち上がって 。
それで … … 。
黄) … ないこ
小さく 呼ばれて 意識 が はっきり した 。
視線 を 動かす と
ベッド の 横 に 椅子 が あって 、
そこ に アニキ が 座っていた 。
いつも より 静か で
いつも より 疲れた 顔 。
桃) あにき 、 …
声 を 出した 瞬間 喉 が ひりついた 。
咳き込みそう に なって
ゆっくり 息 を 整える 。
アニキ は 何 も 言わず に
ベッド の 柵 に 肘 を ついた 。
俺 の 顔 を 見てる のに
どこか 遠く を 見てる みたい な
目 だった 。
桃) やっぱり 、 倒れちゃった、、なあ、…
自分 でも 驚く くらい
冷静 な 声 が 出た 。
アニキ は 小さく 息 を 吐く 。
黄) せやな、ぁ、
それだけ 。
怒られる と 思ってた 。
呆れられる かも しれない とも 。
桃) ごめん 、
ぽろっ と 勝手 に 言葉 が 落ちた 。
桃) 大丈夫 って 言った のに
アニキ の 視線 が
ようやく 俺 に ちゃんと 向く 。
黄) …… 言う と 思った
責める 口調 じゃない 。
ただ 淡々 と している 。
黄) そういう 時 ほど そう 言うんやから
胸 の 奥 が じくっ と 痛んだ 。
黄) 俺な 、
アニキ は 一度 言葉 を 切って
指先 を 組み直した 。
黄) 踏み込もう か 正直 迷った
黄) 無理 やって 言われたら
黄) それ 以上 行く 資格 ない やろ
少しだけ 自嘲気味 に 笑う 。
黄) せやから 様子見 に した
その 言葉 を 聞いた 瞬間
俺 の 中 で 何か が 崩れた 。
「 それで 、 良かったんだ 」
そう 言おう と して 声 が 詰まる 。
違う 。
本当 は 違う 。
桃) …… よくなかった
絞り出すよう に 言った 。
アニキ が 驚いた 顔 で 俺 を 見る 。
桃) 大丈夫 って 言った の 俺 だけど
喉 の 奥 が 熱くなる 。
桃) 本当 は …… 誰か に 止めて ほしかった
アニキ は しばらく 何 も 言わなかった 。
それから ゆっくり 立ち上がって
俺 の 方 に 少し 近づく 。
黄) …… ずるいな それ
小さく でも はっきり 言った 。
黄) でも 分かるわ
ベッド の 柵 に 手 を 置いて
視線 を 落とす 。
黄) 俺もな 後悔 してる
その言葉 に 胸 が 締め付けられる 。
黄) もっと 突っ込めば よかった 。
黄) 大丈夫ちゃうやろ って
黄) 無理やり でも 言えば よかった
違う 。
それ を 言うのは 俺 の 役目 だった 。
桃) …… ごめん アニキ
黄) 謝るな
即座 に 返された 。
黄) 倒れた 奴 が 謝る 権利 ないやろ
ほんの少しだけ
いつも の アニキ の 口調 が 戻る 。
それが やけ に 嬉しかった 。
黄) しばらく 休め
桃) …… 仕事 は
黄) 俺ら が やる
当たり前 みたい に 言う 。
黄) グループ は
黄) ないこ 一人 で 背負う もん ちゃう
その言葉 に 目 の 奥 が 熱くなる 。
桃) …… 次から
震える声 で 言った 。
桃) 大丈夫 じゃない って
桃) ちゃんと 言う
アニキ は 少し だけ 目 を 細めた 。
黄) 約束な
桃) うん
短い 返事 だった けど
今まで で 一番 正直な 声 だった と 思う 。
アニキ は 立ち上がって
部屋 を 出る前 に 一度 だけ 振り返る 。
黄) 起きたら メンバー 全員
黄) びっくり するで
桃) …… 想像 つく
黄) せやろ
小さく 笑って ドア が 閉まった 。
ベッド に 残された 俺 は
天井 を 見つめる 。
大丈夫 じゃない 時 に
大丈夫 って 言わなくていい 場所 。
そこ に 俺 は ちゃんと 居たんだ 。
今さら だけど
ようやく それ に 気づけた 。
次 に 目 が 覚めた 時
窓 の 外 は もう 夕方 だった 。
カーテン越し の 光 が
部屋 を オレンジ 色 に 染めている 。
体 は まだ 重い 。
でも 意識 は はっきり していた 。
ベッド の 横 を 見ると
スマホ が 置いて ある 。
通知 が 溜まり すぎな くらい
溜まっていた 。
桃) …… うわ、ッ
思わず 声 が 漏れる 。
グループ の 連絡
メンバー から の メッセージ
それから
悠佑 から の 短い 一文 。
黄) 起きたら 連絡 して 。
黄) あ でも 無理 に 返さんくて ええよ 。
それ を 見ただけ で
少し 笑って しまった 。
変わらない 。
でも ちゃんと 分かって くれてる 。
俺 は ゆっくり スマホ を 持って
短く 返す 。
桃) 起きた 。 まだ ちょい しんどい 。
送信 して から
少しだけ 間 が あって
すぐ 返事 が 来た 。
黄) せやろな
黄) 今日 は それ で 仕事 した 気 に なるな
桃) …… 仕事 って なんだよ
独り言 を 言いながら も
胸 の 奥 が 少し 温かく なる 。
しばらくして ノック の 音 。
黄) 入るで ー
返事 を する 前 に
アニキ が 顔 を 出した 。
手 には コンビニ の 袋 。
黄) 食えるやつ だけ 買ってきた
桃) 気遣い が 過保護
黄) 今 は 自覚 持て
軽口 。
でも その 距離感 が ちょうど よかった 。
アニキ は 椅子 に 座らず
壁 に もたれて 腕 を 組む 。
黄) メンバー めっちゃ 心配 してた
桃) …… だろう な
黄) でもな
少し だけ 間 を 置いて 続ける 。
黄) “ ないこがちゃんと休んでるなら安心”
黄) って 言うてた
その言葉 に 胸 が ぎゅっと なる 。
桃) …… 俺 さ
ゆっくり 言葉 を 選ぶ 。
桃) 今 まで
桃) 全部 俺 が やらなきゃ って 思ってた
黄) 知ってる
即答 だった 。
黄) せやから 今回 ぶっ倒れたんやろ
否定 できなかった 。
少し 沈黙 が 落ちて
それから 俺 は 息 を 吸う 。
桃) 次 また 大丈夫 って
桃) 言いそう に なったらさ [ 黄 見
桃) 止めて いいから
アニキ は 一瞬 目 を 瞬かせて
それから ふっと 笑った 。
黄) 言われんでも 止めるわ
桃) …… 頼もしいな
黄) 今さら やろ
そんな 会話 が やけ に 自然 で 。
前 から こうだった はず なのに 、
今 まで 見えて なかった だけ なんだ と
思った 。
黄) 退院 したら
黄) しばらく 仕事 軽め やからな
桃) 異議 申し立て
黄) 却下
桃) …… 強い
黄) 社長 でも 今 は 患者 や
あれから 辛くなると 思い出す 。
アニキ の 声 と
あの日 の 沈黙 と
踏み込まれなかった 優しさ の 重さ を 。
俺 は 一人 じゃない 。
それ だけ 分かって いれば
また 前 に 進める 気 が した 。