ーー7月ーー
神野先生「プールの授業が明日から始まります」
プール…!あたしが1人でやるなら1番好きな授業だ
響「俺………泳げないんだが」
ゆの「えっ………?」
響「あぁ、泳げん」
ゆの「そ、そう………」
あたしにとって泳げない響は心配………だって…
あたしには1年生の頃、雛乃っていう入学式の日にあたしに話しかけてくれて
それから仲良くなった女の子がいた
でも雛乃は3年生の時のプールの授業で足をつってそのまま溺れてしまった
あたしは雛乃が溺れているってわからなかった
あたしが溺れているって気づいて助ければ…雛乃は助かった
なのに気づけなかった…助けられなかった…
そんな罪悪感があった
それ以降、仲の良い人とのプールがトラウマになった
響「…の、ゆの、ゆの!」
ゆの「あっ………ごめん、なに?」
響「泳げないから泳ぎを教えてくれないか?」
ゆの「あっ…えっ…うん…」
2度とあんなことを繰り返さないように…それを今年のプールの目標にした
ーー水泳の授業ーー
鬼杉先生「えー!絶対!絶対!誰も溺れないプールにしましょう」
鬼杉先生「この学年は3年生の頃溺れた子がいたとい聞きましたので、本当に気をつけましょう」
全員「はーい」
授業が始まったが………響が見当たらない
あたしは怖くなった、またあんなことになったらあたしはきっと立ち直れない
響「ゆの、どうした?」
ゆの「別に…」
よかった、溺れてなかった
響と班は別々だからそろそろ分かれないといけない
ゆの「じゃあね」
響「あぁ」
響と分かれてからある程度経った頃、鐘が鳴った、『プールから上がれ』という合図だ
あたしはプールから上がったが、響が上がらない、このルールを知らないのか…
………!いや、違う!溺れている!
しかも響のペアの子はトイレだし…先生も話し合いで気づいてない…
一瞬あの時の光景が頭をよぎった
あの時、あたしは雛乃に気づけなかった、でも今は気づけた
あたしは迷わず飛び込む
ルール?そんなの知らない、響より大事なルールなんてあるかどうかもわからない
ゆの「響!」
響「ゆ…の…」
あたしは危機一髪、響を引き上げて響は助かった
雛乃、あたし、雛乃と同じくらい大切な人、守れたよ
今度は気づけたよ………でも…
ごめんね
あたし、雛乃だって助けたかった…きっとあたしを恨んでる
『雛乃は恨んでませんよ、だから安心してください』
『ゆの様にプレゼントがあるんです、雛乃の部屋の雛乃の机の上にありますよ』
『雛乃が生きていたら3年生の夏祭りの日に渡すつもりでしたが………』
『今となっては渡せないのでゆの様が自分で取りに行ってくださいね』
雛乃の声が聞こえた気がした………帰りに寄ってみよう
ーー帰り道ーー
ゆの「響、先に帰ってて」
響「わかった」
あたしは雛乃の家に寄った
ピンポーン
インターホンを押す
女性「はい…ってゆのちゃんじゃない!大きくなったわね」
女性「雛乃に何か言われたの?」
ゆの「はい…部屋の机の上にあたしに渡したいものがあるって」
女性「そうなの⁈とりあえず上がってちょうだい」
ゆの「ありがとうございます…」
女性「そういえばあれ以来、雛乃の部屋は掃除するくらいで物はそのまま、放置していたわね」
ゆの「そうなんですか…?」
女性「えぇ」
女性「入ってもいいと思うわよ」
ゆの「じゃあ…入りますね…」
久しぶりに雛乃の部屋に入った
物の配置はなに一つ変わってない
そして机の上に水の滴型の形をした小さなチャームがあった
『ゆの様に合いそうじゃないですか?』
そんな声が聞こえた気がした
ゆの「ありがと………大事にするね」
あたしは帰った瞬間、すぐにチャームを響からもらったシャーペンにつけた
響「それどうしたんだ?」
ゆの「ふふ…友達にもらった」
響「そうか、シャーペンに合ってるな」
ゆの「でしょ?」
あたしは久しぶりに雛乃に会えた気がした
そして2度と大切な人を失わないように、響のことは全力で守ろうって思えた
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