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『本当はね、あなたが好き』


そんな言葉を言ったって、貴方は振り向いてくれないのに。

本当、バカだなぁ。私、恋の呪いかけられたみたい。

__________________

「なぁ!🌸!!」


貴方に名前を呼ばれ、咄嗟に振り向く。

私に話しかける貴方の眼はとても輝いていて、私はある事を「察する」。


『…🤍ちゃんの話?』


「そ!笑」


嗚呼。そっか。貴方は私に興味がない、私の気持ちにさえも気づいてくれない。

昔から、私がずっと見てきたのに。


「それがさ〜、昨日…一緒に帰ったんだよな」


私との帰る約束も破っておいて、他の子と帰ったの?

自分の欲望が腹の底から出てきているようで気持ち悪い。前まではこんなんじゃなかった。

全部、貴方のせいだよ。ねぇ、早く気づいてよ…私の気持ち。

好きだよ、秋紀。早く、気づいてよ。


『ふーん、良かったね』


「まっじで可愛いよな〜…人間か疑うわ」


私の前で‎🤍ちゃんの話をしないで。私の前であの子の名前を出さないで。

ねぇ、私だけを見てよ。少しだけでいいから。


「なぁ、大丈夫?」


突然、秋紀の顔が私の眼に映る。やめて、心配しないで。これ以上好きにさせないで。


『…平気、大丈夫 』


なんで私はこんな言い方しかできないんだろう。もっと私に愛嬌があったら。

秋紀は今頃私のことを好きになってくれたかもしれないのに_

教室の扉が急に開く。教室に入ってきたのは、まるで人形のような容姿をした可愛らしい女の子。

彼女は、秋紀を見つけると共にこちらへ小走りで向かってくる。


「おはようっ木葉くん」


可愛らしい声で秋紀に「おはよう」の一言。こんな簡単なことだけど、私にはできない。

秋紀を見れば、‎🤍ちゃんに見惚れているのが分かる。

とても気分が悪い。


「🌸ちゃんもおはようっ」


『、おはよう』


「も」って何?あー、やだ。全部の言葉に腹が立って仕方がない。

こんな事でイラつくなんて、私はなんて性格が悪いんだろう。本当に自分に腹が立つ。


「それよりさ…!昨日のドラマ見た?」

「オススメしたやつ!」



「あー!見た見た笑」


私が知らない話題。そんな話題を2人はしてる。つまり、私は「邪魔者」。


『秋紀』


「ん、どした?」


私が話しかけると、すぐにこっちを見て私の目を見て話してくれる貴方が好き。

けど、私のこの気持ちは貴方には迷惑。

だからもう、辞めるね。


『次、移動教室。先行ってるね』


そう言い残し、私は席を立つ。

こんな晴れない気持ちのまま、1人で行ったって気分は晴れないまま。

そうだ、こんな時こそ「アイツ」を誘おう。


『ねぇ、木兎』


私が話しかけると、木兎はすぐにこちらを向いて要らない一言をぶつけて来る。


「おー!!🌸!!」

「振られた?!」


『うるさい、振られてない』


これが私たちのいつもの会話。

何でこんなヤツが案外モテるの?と疑問が湧く。木兎がモテるから私だってモテる…はず。


「…おい!🌸!」


『…へ?』


急に、秋紀に手首を捕まれ、頭が混乱する。‎🤍ちゃんはどうしたの?その言葉が私の口から出なくて…身体の中でムズムズしている感じが気持ち悪い。


『秋紀…‎🤍ちゃんは、?』


私がそう聞くと、秋紀は気まづそうな顔をしながら私にこう応える。


「…いや」

「、移動教室とかは普通に…🌸と行きたい」


やめて、期待しちゃうよ。お願いだから、これ以上好きにさせないで。

私は必死に忘れようとしてるのに、何で貴方はそうやって私の心をかき乱すの?


『…好きな子と行くべきだよ、笑』


私、上手く笑えてるかな。大丈夫かな。

ちゃんと、笑えてるかな。


「何でそんな冷たいんだよ」

「俺…何かした?」


そんな顔で見ないでよ、秋紀が悪いんじゃん。何で、私が悪いみたいになってるの?


『冷たくなんかないよ、平気』


「…なぁ、こっち向けって」


『やめて、もう…行かなきゃだから。また…明日、一緒に行こうね 』


無理やり話をはぐらかして、木兎を引っ張り廊下を歩く。

チラッと見た秋紀の顔は、悲しそうな顔をしていて胸がギュッと苦しくなる。


「…木葉くん…?」


「ん、あぁ…なんでもない…笑」


「…ふーん」

__________________

「はぁ…」


こんな事になるなら一緒に移動教室言っとけば良かった…。今更後悔しても遅いか…。

いつからこんな関係になっちゃったんだろう。…秋紀が‎🤍ちゃんを好きになった頃から…かな。笑


ガラッと扉が開き、秋紀と‎🤍ちゃんが一緒にこちらへ歩いてくる。


「おぉ!!木葉ァ!!」


隣では木兎が騒いでいるけど、私はそれどころではなかった。


「なぁ、🌸」


『…何?』


無意識に冷たい感じになっちゃってるのかもしれない。秋紀、悲しい顔してる。


「今度、”2人で”一緒に出かけよ」


『…え?』


「最近、遊べてなかっただろ?」

「俺…🌸と遊びたい」


予想外の言葉に、開いた口が閉じない。秋紀は私の顔を見てフッと笑った。

まるで、絵本の中の王子様みたい。


「口…開いてる、笑」


秋紀は私の唇を触ると、私のおでこにデコピンをカマしてくる。


『痛っ』


「…せっかく、可愛いのにさ…笑」

「笑ってよ、🌸」


これ以上、期待させないでよ。


『…期待…させないでよ』


ボソッと私の中の本心が出てしまう。こんな気持ち悪い感情を支えていたなんて、こんな私も秋紀もみんな大嫌い。

もう、どうしたらいいのか分からないよ。


「ちょっと〜、私の前でイチャつかないでよ!」


と、‎🤍ちゃんが私たちに向かって言う。けど、言っている割には‎🤍ちゃんの眼はとても鋭く冷たくて、背筋が凍る。


きっと、‎🤍ちゃんにとって私は2人にとっては邪魔な存在。言わば、”脇役”。


『とりあえず…距離近い』


秋紀を強制的に遠ざける。‎🤍ちゃんの視線が刺さって痛い…のと、私の心臓が持たない。


「昔は平気だったのに?笑」


『からかうなし…!』


きっと、私の顔はゆでダコのように赤いだろうな。それだけ、秋紀が好きなんだよ。


気づいてよ。

__________________

秋紀は何がしたいのか分からない。

これ以上期待させて、何がしたいの?

もう、辛いよ。


「平気ですか?🌸さん」


『え?』


話しかけてきたのは赤葦。まずい、落ち込んでるとこ見られちゃったかな?


『全然平気だよ?赤葦こそ、2年生のフロア来てどうしたの?』


「いや…」

「木葉さんと木兎さんに用事があって…」


『そうなんだ笑』

『木兎と秋紀ならあっちに居るよ』


「ありがとうございます」

「🌸さんは来ないんですか?」


『私はもうちょっとフラフラしてるね』


「…分かりました」


何かを察したような顔をした赤葦だったけど、深くは探ってこなかった。

きっと、私が酷い顔をしていたんだろう。

後輩にも迷惑かけて、先輩失格だな。

__________________

「失礼します」


扉を開く音と共に、俺は目線を扉に向ける。扉の前に立っていたのは赤葦で、🌸ではなかった。


「赤葦!」

「🌸見なかったか?」


「…いいえ、見ませんでしたよ」


おかしい。校内中探し回っているのに見つからないなんて。


「🌸さんと喧嘩でもしたんですか?」


ついには赤葦まで、俺と🌸のことを心配して探ってくる。

後輩に迷惑かけて何やってんだ、俺。


「いや…してねぇつもりなんだけどな、笑」

「嫌われちまったかな」


「それはないと思いますけど」


最近、🌸と一緒にいる時間が極端に減った。🤍のことを気にしてるのか分からないが、きっと🌸のことならそうだろう。

俺を気遣って、🤍と2人きりにさせようとしてる、そう…間違いない。



「🌸!」


『…どうしたの?』


明らかに俺から距離を取ってる。あからさまに距離を取られ始めたのは俺が‎🤍と一緒に帰ったあの時から。


「…その、ごめん」


俺はただ、謝ることしかできない。


『…何で謝るの?』

『…秋紀は何もしてないよ』


ただ、謝ることしか俺にはできない。きっと、俺が🌸を傷つけたのに最低だ。


「…俺が‎🤍と一緒に帰ったっていったと_」


俺が🌸に避けられて  “原因” を話そうとしたとき、‎🤍が俺に抱きついてきた。

「はッ?!」

「え?」

「私を除け者にするなんて酷いっ!私も混ぜて…?」

NO、とは言えなかった。

『…私、先戻ってる』

「おい🌸!話が」

『‎🤍ちゃんがいるんだから、話しなよ』

『…私のことは気にしないでいいからさ笑』

明らかに作り笑いだ。昔から何でも溜め込む奴だったから…俺がそばにいて支えてやらねぇとダメなのに。

人一倍強がりで、優しくて…とっても寂しがり屋な女の子なんだから。

__________________

最悪だ。またやらかしちゃった。

せっかく秋紀が話しかけてくれたのに、何で私はいつも素直になれないの?


『…絶対嫌われた』


1人空き教室の隅で座って自分でも言いたくない言葉を吐く。


“私がもっと素直になってれば、何かは違ったのかな笑”



『そろそろ気づいてよ』



『ばーか…笑』



もう、ダメだ。

我慢していた涙が一気に零れる。


好きだよ、秋紀。昔も今もずっと大好きなのに何で私じゃないの?

私が1番、秋紀のこと分かってるのに。


『好きだよ…秋…』

『気づいてよ』


「…やっと見つけた笑」


『…え、?』

__________________

やらかしてから20分経った今でも、俺は‎🤍の沼から抜け出せずにいた。


「秋紀くん甘いの好き?」

「私、駅前でいいお店知ってるんだ〜!」


「…へー笑」


「明日一緒に行かない?」


「あー…明日は、」


こんなことしてる場合じゃない。早く🌸のところへ行って謝らないといけないのに。


「木兎!」


「おぉー!!木葉じゃねぇか!!」


「🌸、見なかった?」

「俺喧嘩しちゃってさ…」


「🌸さんならさっき、向こうの空き教室(入って行きましたよ」


ナイス赤葦!!


「まじ!?さんきゅー」



「…ごめん、‎🤍」

「俺、🌸のとこ行ってくる」


早く行かないと。


「…行かないで、」


「え?」




「っ、私…秋紀くんのことすき、」

「ずっと秋紀くんしか見てないよ、!」


「は…」


正直、バカ嬉しぃ。

けど…俺の中には🌸の存在の方が大きかった。


どっちを優先するべきだ?

「好きな人」か「大切な幼なじみ」

…そもそも、俺にとって🌸は本当に “ただの幼なじみ” なのか?


「お願い…🌸ちゃんのところには行かないでっ、?」


「……」




俺の気持ちは?




「木葉さんは‎🤍さんのそばにいてあげてください」


「は?」


「🌸さんは俺に任せてください」

「木葉さん、迷ってるようなので」


まるで、俺を試すかのような言い方。


「秋紀くん…」


「……」

「ごめん、‎🤍」


「っ、え?」


「俺はやっぱり、🌸が大切なんだ…笑」

「だからごめんな」


早く🌸に逢いたい。

きっとこの気持ちは「ただの幼なじみ」で済まされる気持ちではない。



「あー…そっか、笑」



俺はとっくの昔から🌸に惚れてたんだ。






「…ここか」



🌸がいる空き教室。

教室の中から鼻を啜ってる音がする。

まさか…泣いてる?

だとしたらマズイ、早く行かないと。



『好きだよ…秋…』

『気づいてよ』


は?

🌸が俺の事を好き?

は???


俺の思考は一気に止まる。


え、は…いつから?

俺が思ってる前からずっと俺に片思いしてくれてたってこと?


やばい、ニヤケが止まんねぇ。

ってこんなこと考えてる場合じゃない。

俺は深く深呼吸をし、思いっきり扉を開けた。



「…やっと見つけた笑」


『…え、?』


もう、離さない。

__________________

まずい、今の…聞かれてた?


『あき…どうしたの?‎🤍ちゃんは、』


「今‎🤍は赤葦達と一緒」

「俺は🌸探しに来た」


『は…なんで』


やめてよ、期待させないで。

忘れようって…必死になってるのに。



「俺、‎🤍に告られたんだよな」



1番聞きたくなかった、その言葉。


『…そ、おめでと』


もう、私の恋愛は終わりか。

長い…片思いだったな。


「断ってきたけど」


『え?』

『なん、で?』


嬉しいと思ってる私は、酷い女なのだろうか。



「🌸が好きだから」


「悪ぃ、気づくの遅くて」


「とっくの昔から俺、🌸に惚れてる」


『嘘、』


「嘘じゃねぇよ笑」


こんな奇跡…あっていいの?


『わ、私も…秋紀が好き、』


「知ってる笑」


「聞こえてた」


『え、?!』


穴があったら入りたい…!!




「俺と付き合って」


「ずっと、大事にするから」


『…はい!』




幸せだな。


どうかこの幸せがずっと続きますように_。

__________________


「はー…途中までいい感じだったのに」


結局、ヒロインは報われて負けヒロインは報われないってこと?笑

そんなの、理不尽じゃん。


「私だって…普通の恋してみたい」


秋紀くん、結構本気だったのに。


ま、ヒロインには勝てないか。

そりゃそうだよね、私…「負けヒロイン」だし。


「‎🤍さん」


「え?」


あー…確かこの子、秋紀くんと同じ部活の…2年生だっけ?

正直、年下は対象外なんだよねー。


「俺、‎🤍さんのこと本気で好きです」


「え?」


「裏の顔とかも…笑」


「はっ、???」


「絶対好きにさせるので」

「覚悟しといてくださいね笑」


「……」


私の青春…ここから?!

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