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一週間後(水曜日)
なんだか今日は、橘がふわふわしている。
落ち着きがないな…人のこと言えないけど
「あの、神楽、さん」
「えっ、俺!?」
いきなり話しかけてきた〜ビビった…
「あの、これ貸します…」
そう言って、「きりこについて」と書かれた本を渡してくる。
「あ、こないだのか。 サンキュ」
すると、橘は
「どういたしまして」と言って
微笑んだ。
その顔が、照れているように見えて、なんだか…
かわいい…
いや、俺なに考えてんだよ!いくら肌白いからってこいつは男だぞ!?
「どうかしましたか?」橘が問いかけてくる。
「いや、なんでもねえ」
あー、こいつといると調子狂うわ!
金曜日
今日は図書委員の日だ。図書委員はもうひとりいるのだが、今日はそいつが休みだった。
あ、こないだの読むか…読むの忘れてた。
「きりこは、ぶすである。」
は?
一文目があまりにも衝撃的だった。もう一度見てもやっぱりそう書いてある。
そこから出てきたのは、キャラが濃いやつばっかりだった。AV女優や、人と会話できる猫などだ。
面白いせいか、気づいたら下校時刻10分前のチャイムが鳴っていた。図書委員はもうかえって良い時間だ。なんなら下校時刻の30分前に帰れる。
慌てて学校を出て、駅に向かう。
橘も、この本を読んで、最初の一文にびっくりしたり、キャラが濃い奴らを見て面白いと思ったりしたのだろうか。
ってかAVとかセックスとか意味わかるんか…なんだか意外だ。少しからかってみようか。橘は、どんな顔をするんだろうか。
急に、水曜日のあの顔を思い出して、顔が思わず赤くなってしまった。橘あんな顔するんだな、、
いや、まあ、かわいいけどさ!いや、違う かわいいって認めちまった…
今まで浮いていて、わからないと感じていた橘 蒼が、少しわかってきた。
※ここからは本編ではありません
作中に出てくる「きりこについて」は実際に存在します。私もガチで面白いと思った本です。書いてくれた西加奈子さん、ありがとうございます!