コメント
2件
ん〜…(噛み締める音)、良い作品だこと…、良いですね…これ。残酷さがとても良き味を出しておりますわ…
好きだーーーーーーー😭‼️ こういう話だぁい好き、、、 死ネタだあいすき、、、 うおおおおおおん😭
ディ 家族パロ
不穏です
本人様とは完全に無関係です
ネット上での拡散・スクショの公開等はおやめ下さい
───
「「「行ってきます」」」
3人の声が重なる。
「行ってらっしゃい」
今日も笑顔で送りだす。ライとカゲツは中学へ。小柳くんは大学へ行く。俺も仕事へ向かう準備をする。今日は鑑定の仕事が5個入っているためいつもより早めの時間に行かなければならない。いつもより30分ほど早い時間に家を出る。と、その前に。部屋の机の上に置いてある写真に声をかけて家を出る。
「行ってきます」
仕事が終わった時には明るく茹で蛸になりそうな程照っていた太陽は沈み月が暗い夜を照らしていた。家に帰ると部活が終わりソファにライとカゲツがいた。「おかえり。」そう声を掛けると2人は俺に気づく。小柳くんはバイトが入っているようで遅くまで帰ってこないと言っていた。2人に風呂に入るように声をかける。
晩御飯。小柳くんは思ったよりも早く帰れたようでみんなで食卓を囲んだ。何年経ってもみんなでご飯を食べることが苦手な小柳くんは熟彼らしいと思う。否、みんな似ている。普段は言葉が強くよく殴り合いをしているってのに仲間思いで優しい彼等。誰かのために自分を犠牲にできるところも。彼等とは重ねないと決めたのにな。
───
休みの日、珍しく星導がリビングで寝ていた。普段俺らに隙も与えさせない様な奴が無様にも隙を与えており珍しいと思う。気持ちよく眠っているのか否か、声をかけても起きない。暫くすると寝言を言い始めた。最初は楽しそうだったのに雲行きが怪しくなっていく寝言と顰めっ面になっていく顔。
「小柳…く…ラ、イ…カゲツ…。や、だ。」
どういうことなのだろうか。俺とライ、カゲツの名前を呼び“やだ”。意味がわからなかった。その場にいたカゲツとライも頭を悩ませていた。心做しか、声もいつもより緩かった。
───
何年、何十年経っても忘れられない日。あの日のことを思い出すから夢は嫌い。1人の空間も嫌い。思い出してしまうから。
あの日はいつも通りだった。いつも通り8人で集まってご飯を食べていた時、東に災害級のKOZAKA-Cが現れた。東のヒーロー達はすぐに向かった。俺らは向かうことを禁じられた。結局はOriensの全滅。4人の尊いヒーローの命と引き換えに一体のKOZAKA-Cが居なくなった。悲劇はこれで終わりはしない。次は1ヶ月後。西にあの時と同じサイズのKOZAKA-Cが現れた。次は西が全滅。俺は宇宙と合体したからか否か死ねなかった。もう立つのが辛くなる頃、目の前で大好きな仲間が死んで行く。
「ライ!カゲツ!小柳くん!ねぇやだ!!なんで居なくなるの!」
誰も反応しない。周りには仲間の血。
「ご、め…ん」
誰かの声がした。声は枯れており誰の声が当てるのも困難だった。みんなもう目を開けなかった。さっきまで浅く息をしていたライも完全に止まり、すっかり冷えきってしまった小柳くん。カゲツのみが僅かに息をしていた。まだ希望があった。急いで病院に連れていく。結局何時間も待って伝えられた結果がみんなの死。もう、周りには誰もいない。白狼だから死なないと俺が寂しくなると支えてくれた小柳くんも、バカ笑いしていたライも、みんなを笑わせていてくれたカゲツもいない。唐突な孤独。西と東のヒーローが合わせて一気に7人もいなくなる。俺は怪我を完治させる暇もなく任務で東西を飛びまわる。数年した頃。安静化したKOZAKA-Cのおかげで俺は休めた。数年越し一度に襲ってくる仲間の死の悲しみ。任務の時、彼等がいたら少しでもこの心に空いた穴は塞がっていたのか。彼等がいれば今でも笑えていたのに。心に空いた大きな穴は塞ぐことができない。死んでしまおうかと考える夜も多かった。休みが終わる。復帰した2週間後、とある里で事件があり足を運ぶことになった。元忍者の里らしくカゲツもこんなところ出身だったと思い出す。夜、外を見回っていると森の方からKOZAKA-Cが現れる。里の人達は経験済みなのか訓練等があるのかすぐに遠くへ行き、避難誘導の手間が省ける。幸いな事に個体数は少ない為すぐに終わる。里の人達に報告をと思った時また物音がする。まだいるのか。戦闘態勢には入っておくが現実は違う。物音がしたところから出てきたのは子供3人。あの3人に非常に似ている。
「何してたの?」
そう尋ねる。「わかんない。僕たち捨てられちゃったから」と白髪の子が答える。声は子供特有の高い声でカゲツとは似ていないものの口調や喋り方が似ていた。この子達は何かありそうだ。捨てられたと言っていたし俺が拾ってもいいだろう。施設送りは可哀想だ。彼等には3人の名前をつけた。心の穴が少し塞がった気がした。
───
「それでさこの前星導がね」
「ちょ、ちょっと待って」
そう言われて話すのを止める。マナ何処か困惑したような面持ちで話し始める。
「星導って紫髪の人?」
話したことがないのに当てられる。監視でもされているのか。
「え、なんでわかったの」
「は!?ライ知らへんの!?星導ってのはね50年以上ヒーローしている伝説のヒーローやで!」
ヒーローオタクをここで発動させてしまうか。マナは昔からのヒーローオタクで話し始めると早口になる。
「あんな!星導ってのは紫髪でタコで宇宙と合体してるヒーローなんよ。昔は小柳ロウ、伊波ライ、叢雲カゲツとの4人で構成されてたDyticaってグループのひとりやったんやで!基本的には西のヒーローだから西の仕事が多いんやけど偶に来る東との合同任務もあつくて!東と西の合同司書は読んでも読んでも飽きひんで!」
初知りの情報が沢山出てくる。星導があの寝言を言って数日が経つ。特に何も無かったかのように振る舞う星導だがこの話が関係しているのか。もう少しゆっくり話してほしいものだ。早口過ぎて人物名であろう場所は全くききとれなかった。
「星導ってそんな凄い人なんだ。ヒーローしてるのは知ってたけど気にしないでほしいみたいなこと言ってたし気にしてなかったな。」
「せやで!!まぁヒーローとしてのモチベは下がってるし笑顔もなくなったけどな。」
「へ〜そうなんだ。あ、そうだマナ今日泊まりに来ない?」
「え!?ええんか!?」
「うん。星導こともっと知りたいしマナも来たいでしょ?」
「え!行きたい!てか行かせてください!!」
「ははっ!星導に言っとくね」
───
ライから友達を泊めさせたいと連絡があり承知する。どうやらカゲツも泊めさせたい人がいると言っていた為確認をすると仲がいいから大丈夫との事。小柳くんはレポートの手伝いで連れてくる人が2人もいるようで人が沢山来る。幸いな事に今日は鑑定の仕事が少なく昼前には帰れた。家に着く前にスーパーへ寄り食材などを調達する。家に着き掃除等をしていると帰ってくる時間になっていたようで玄関の方からただいまー!!と元気な二人の声とお邪魔します〜!と二人の元気な声が聞こえた。扉が開きリビングに入ってきたようで掃除していたゲストルームから1階のリビングまで降りる。扉を開けると金髪の子とピンク髪の子がいた。2人はマナとウェンに似ており鼓動が早くなる。お邪魔します〜お世話なります〜と腰を低めていう彼は緋八マナ、カゲツきゅんの友達です〜お世話なりますという彼は赤城ウェンと言った。彼等は東のヒーロー協会が4人まとめて拾った子供のうちの2人らしい。ヒーロー協会が拾ったというのならこの名前も納得だった。彼等はあまりにも似ていたから。声、喋り方、見た目、ここまで一致すると“生まれ変わり”の様だ。晩御飯の支度をしようとした時また玄関から音がした。ただいまという低めの声とお邪魔します!という喧しい声が聞こえた。そして扉が開いたと思えば小柳くんとイッテツとリトに似た人。マナとウェンは驚きイッテツの様な人は相変わらずなのか慌てておりリトのような人はよっと声を掛けた。彼等は佐伯イッテツと宇佐美リトと言った。彼等も拾われた4人の2人らしい。あの日から俺は彼等と重ねることが多くなった。そういう時は部屋にある写真を見て昔のことを思い出すことで今のことを忘れている。けれど今は無意味と思ってしまった。彼等がいる場だと重ねるのが増えてしまうだろう。スマホを何となく開くとそこには8人での集合写真があり逆効果となった。仕方なく晩御飯を作り始める。晩御飯は無難なもの。みんなはゲームをしているようでリビングの騒がしさに笑ってしまう。晩御飯ができ招集する。知らない人と食卓を囲むのは気まづいかもしれないのに沢山話しかけてくれた。特にマナは俺に興味があるらしい。
「俺、ヒーローオタクなんすよね!」
何故俺にそこまで興味があるのかを問うとそう返ってくる。つまり彼は自分の名前の由来を知っている可能性がある。
「俺、東に居たから西のこと濁されててよく分からないんですけどその集合写真って海外ヒーローと東西のヒーローの写真っすよね」
そう言われ指さされた場所にあるのはだいぶ昔に開催された日本でのヒーローショーにてサプライズゲストとして登場してくれた海外ヒーロー“Krysis”との写真。海外ヒーローは今何をしているのか。3人が現役を引退して数年が経つが連絡があまり取れない。元気にしているといいが。
「そうですね」
声は懐かしみに浸かっていたと思う。あの時の市民の人たちの完成が忘れられない。
「あれ、俺たちに似てね」
小柳くんが小さく呟いた言葉に確かに、と答えた。
「あれ、いつのですか」
「あれは第10回目のヒーローショーですね。確か西でやったものです。ザリ達は自分達で出たいって言ってくれたんです。マナとザリが翻訳してくれるしリトも頼めばやってくれるのに頼らずにカゲツと小柳くんはパッションでしたね」
つい無駄なことまで話してしまう。
マナとライはウィルソンの奪い合い。カゲツは訳の分からないことを言いベンタを困惑させていた。あの楽屋の雰囲気が忘れられない。
「なんやそれ笑笑まぁこっちのカゲツも英語終わってるしな」
「なんや!!喧嘩売ってんのか!」
「英語でやったるわ!」
微笑ましい喧嘩だ。そう思っているとリビングに置いていたデバイスが鳴る。デバイスには“緊急出動要請。西側に大型出現。とあった。あの頃に比べると大きく発展した西側に大型はそれなりの支障が出る。ヒーローは万年人数不足でベテランである俺に一番に陽性が来たのだよう。自分の部屋にバッグを取りに行くのとついでにオトモを呼びに行く。部屋に入るとオトモはおらず部屋の窓も閉まっていたので恐らくリビングの窓で待っている違いない。バッグのみを持ち部屋から出る。リビングに急いで戻るとリビングの窓へ開けろと言わんばかりに衝突するオトモの姿があった。窓を開けると早く変身しろとテレパシーで伝えてくる。相変わらず此奴は意味のわからない生き物だ。みんなはびっくりし此方を見ている。まぁ、無理もない。できるだけ驚かせたくはないが変身しなければ此奴に小突かれ続ける。それだけは勘弁だ。仕方がなく変身をする。髪が何個かに塊蛸足となり、右目は宇宙と繋がり左腕には口が現れる。自分でもヴィランなのではないかと思ってしまう。みんな驚きのあまり固まっているがマナだけが観察してくる。此方も構っている暇がないので声だけかける。
「すいません。俺は任務が入ってしまいました。ご飯などは好きなようにしてください。必ず帰ってくるので家頼みましたよ。」
「ほら行きますよ。ついてこれますかね笑」
オトモを煽ると思い切り小突かれる。
「いった!?ご主人様に向かって生意気ですね!貴方ははやく小柳くんとライのオトモとわたくもくんときりんちゃん連れてきてはどうですかね!」
そういい家を飛び出す。みんなが居なくなってから3人のオトモが来るついでに協会が見ていたきりんちゃんも俺の元へきた。ついでにみんなのヒーローの品物も来た。触れることが出来ず綺麗にしまっている。現場につくとあの時と同じサイズのKOZAKA-Cがいた。これを俺1人に相手をさせるのは鬼なのか。まぁ、昔よりも成長した俺にとっては簡単なのかもしれないが。
途中で応援者が来た。否、元々来る予定だった他ヒーロー達。その人たちのおかげで俺らの方が有利になる。そのせいか油断した者がいた。相当油断していたのかよそ見をしていたようでそれに気がついたKOZAKA-Cが飛ばした攻撃にも気付かず俺が身代わりとなり攻撃を受けた。この怪我でKOZAKA-Cに余裕を与えてしまう。俺の攻撃は軽く、移動も遅くなった。
そこからはダメダメだった。遠くへ飛ばされるし攻撃は当たるし岩に当たるし。頭は痛いし片脚はもう感覚がない。体中が痛く、怒りに任せて攻撃を数回繰り返していると倒せた。とっくのとうに俺以外のヒーローはやられており事実俺単独の任務なのだろうか。もう出血も酷く自分でも助かる気がなかった。俺、死ぬのかな?宇宙なのに。前、死ねなかったのに。オトモが周りを飛ぶ。感覚がなくなってくる。なんで記憶喪失なんかになっちゃったんだろう。あんなにすぐに共にいれる時間がなかったのに記憶をなくしてしまった自分が悔しい。ごめんね。小柳くん。リト。イッテツ。なんで今更後悔があるんだろう。もう助からないのに。目を開けるのも辛くなってきて目を閉じようとした時、何処からか俺を呼ぶ声が聞こえた。幻聴かな。なんて思っていたらライが来る。何故ここにいるのか。危ないのにな。
───
何となく。心配でみんなで現場へ行くことになった。思ったよりも遠く、着いた頃には終わっていた。周りには倒れているヒーローがたくさん降り、その中心地点辺りに星導がいた。マナ達には救急車を呼ぶように言った。既に来ているが数が足りないだろう。
星導は思ったよりも血まみれで怪我も酷かった。
「大丈夫!?今助けるから!えっとこの機械?」
そういい星導の部屋にあった謎の機械を取り出す。
「よーわからん機械使うよりも救急車の方が安全や」
「でもほら、これ対星導用って」
「馬鹿、此奴等に頼った方がいいだろ。ほら、これ作ったやつのペット誰だ。」
ロウが声をかけると1匹のカブトムシのような奴が返事をしたかのように近づく。
「お前か。これ、どうやって使う?」
喋られない相手にはきついが慣れているのか、白い雲のような奴と協力をして教えてくれたらお陰でなんとなくだがわかる。
成功したようで再生しなかった触手が少しずつ再生する。
「ありがとな。」
───
ここは何処なのか。水平線が無限に続く空間。俺の足音しか響かなく不思議だ。
「星導」
高く、アップテンポな声で呼ばれる。
「ライ?小柳くんとカゲツまで」
「どうしてここに…?というよりここ何処ですか」
「え〜。まぁあの世みたいなところ」
え、じゃあ俺死んじゃったのかな?
「あ、死んでないから安心して。」
「それより説教!説教!」
「また無理してよ〜。他にヒーローおったろ!頼れ!」
「星導が死んだら僕たちの分身体?の子たち可哀想〜」
「お前まじ何回心配はせたら気が済む?こっちからでも心配なんだけど」
情報量が多い。どういうことなのだろうか。
「次ここ来たら2時間説教ね。あと小柳の抜刀」
「粉々にしてやるよ。たこ焼きの具材な。」
「ちゃんと具は入れろよ」
「任せろ」
───
長い夢を見ていた気がする。目を覚ますと白い天井。身の覚えのない場所。薬品の匂いがして病室なのがわかる。体が痛くて動かすことができない。小柳くんたちが気づき此方を覗き込む。彼等の心配した表情と一緒だった。何故彼等をここまで忘れられないのか自分も不思議だった。自分は長寿が故沢山の人と関わってきた。勿論沢山の死とも。慣れたと思っていたのに彼等の死は辛くて悲しくて忘れられない。
「すいません。迷惑かけちゃって。それにわかったでしょう?貴方たちを拾ったのは俺の一方的な都合です。名前も由来知ったら嫌ですよね。変えましょうか」
「ちょっと待てや」
相手の返事も聞きたくなく、話し続けていたがカゲツに止められる。
「僕らいやって言ってないんだけど」
「なんなら星導の大切な人の代わりになれて嬉しいんだけど。」
「それにどういう都合で拾おうが命を助けてくれたのは変わりないから。」
「昔の話いっぱい聞かせてや。話してる姿すっごい幸せそうだった」
「まずは怪我治してからな」
「たしかに!」
もうどうしよう。できるだけ泣いている姿を見せたくないのに。涙止まんなくなっちゃいそう。もしそうなったら責任取ってよね。