⚠︎必ずattentionを読み、理解した上でお楽しみ下さい
⚠︎アイドルパロ
shk総受け「画面の外の俺を見て」
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shk side
shk「来たっ…!」
俺はテレビの画面を食い入るようにして見つめる。
流れているのは、夜の生放送音楽番組。
最近人気なアニメ主題歌、某SNSアプリでバズった曲、ダンスがキレッキレなアイドルグループ。
それらには全く興味がない。
俺が食い入るように見つめているのは、5人組の男性アイドルグループ。
shk「…すっげ…」
水色担当のnkが、高音の難しいメロディーを歌い、小刻みにステップを踏む。
赤色担当のbrが、複雑な振り付けをこなし、歌いながらこちらに向かってウインクする。
青色担当のknが、爽やかな声で注目を集め、滑らかな動きでポーズをキメる。
紫担当のsmが、ハモリもソロも完璧に歌いきり、カメラに向かってフッと口を緩める。
黄色担当のkrが、力強い声とダンスでファンを魅了し、白い歯を見せてニカッと笑う。
shk「やっぱ、かっけえな…」
一曲目を歌い終わった彼らに、俺は思わずパチパチと手を鳴らした。
二曲目も無事に歌い終え、三曲目に入った。
shk「…うげ」
俺は思わず、変な声を漏らした。
三曲目は、恋愛系の曲だった。
彼らの曲ならなんでも好きなのだが、恋愛物はどうしても無理だった。
なぜなら、
──────俺が彼らの恋人だから。
この歌詞が、俺以外の人間に向いていると思うと、途端に苛々が募る。
一曲目と二曲目のパフォーマンスも、俺に向けての物じゃなくて、ファン達のため。
それが仕事だと分かっているのに、どうしようもない不満が沸々と込み上げる。
最悪な事に、彼らの出番はその恋愛曲で終わってしまった。
shk「はあぁ……」
大きいため息に滲んだ苛立ちと寂しさをそのままに、俺はスマホでさっきの恋愛曲を流す。
MVの中の彼らはすごくカッコよくて、眩しくて、大好きで。
これがファンの人に向けられての物だと言うことに、なんとも言えない気持ちが込み上げる。
彼らの人気が出るのは嬉しいし、ファンが増えるのも嬉しい。
でも、こうした曲を聞くたびに苛々が募って、面倒臭い性格の自分に嫌気が差す。
ただでさえ吊り合っていないことを自覚しているのに、それによってもっと自己嫌悪に陥る。
───俺だけ見て、俺だけ愛して。
そんな事を思ってしまうのは、俺の性格が捻くれている証拠なのだろうか。
考えている間も、ずっとその曲をリピートしていた。
nk「ただいまぁ…」
控えめなnkの声が聞こえた。
続いて、何人かが靴を脱ぐ音。
そう。俺は5人と同棲している。
彼らは、メンバー全員ともう1人の男友達で同棲している事を公にしている。
「彼女じゃないの?」という疑いは”男友達”という言葉でファンからは出なくなった。
変な憶測が出なかったことには安心したが、いかんせん恋人だから悔しいのには変わりない。
nk「…えっ! shk、まだ起きてたの?」
ガチャ、と扉が開き、驚いた様子のnkが部屋に入ってくる。
続いて、br、kn、sm、krも俺に近づいてくる。
kn「あれ、またそれ見てたの?頼んでくれたらいつでも歌うのに」
knが俺のスマホを覗き込み、苦笑しながら言った。
br「ねっ、ねっ、さっきのやつ見てくれた?僕カッコよかったでしょ」
shk「…うん。めっちゃカッコよかった」
彼のオフの時のふわふわした感じと、ステージ上のギャップを知ってるのは俺だけでいい。
nk「えー、shk、俺の作詞も結構よかったっしょ?」
shk「…うん。特に二曲目、めっちゃ好きだった」
彼の歌詞に込められた深い想いを、語ってくれるのは俺だけでいい。
kr「いやでも、俺のダンスも良かったでしょ。めっちゃ練習したんだよね」
shk「…うん。あの、ジャンプしてターンするとこ、めっちゃカッコよかったよ」
彼のダンスに対する熱意と努力を、間近で応援できるのは俺だけでいい。
kn「じゃあさ、俺、今日一曲目のやつ歌い方変えてみたんだけど、どうだった?」
shk「…うん。あそこのがなりとか、めっちゃいいなって、思った」
彼に色々な歌い方を聴かせて貰えるのは、俺だけでいい。
sm「…今日さ、ソロパート、結構頑張ったんだけど、めっちゃ上手くいってたよね」
shk「…うん。低音のとこ、カッコよくて、めっちゃ好き」
彼があの歌い方を習得するためにした努力を、すぐそばで見届けられるのは、俺だけでいい。
“俺だけでいい”という言葉が、脳内にぐるぐると溢れ出す。
shk「…ね、もう一回、三曲目のやつ歌ってよ。俺のためだけに」
口からするりと出た言葉は、俺の醜い部分を体現したような言葉だった。
驚いたように顔を見合わせる彼らに、俺は焦って言った。
shk「ごめん…っ、疲れてるのに、その、今の、忘れて」
逃げるように自室に向かおうとした俺を、knが引っ張って引き留めた。
kn「さっき言ったじゃん。頼めば、いつでも歌ってあげるよって」
すぅ、とknが息を吸う。
knが1番最初のメロディーを歌い出すと、他のメンバーもそれに続いた。
夜だから声は小さいけれど、込められた想いの大きさは、すごく大きいものに感じられた。
俺に向けられる笑顔も、ステージ上の物とは違う、特別なもので。
彼らが歌い終わった瞬間、ポロリと涙が溢れた。
nk「ちょ、 shk!?」
shk「ッ、ごめ、ん…っく」
幸せだ、と思った。
こんな我儘も聞いてくれて、心配してくれて、ステージ上とは違う彼らも見せてくれて。
br「shkからお願いするなんて珍しいな〜って思ってたけど」
br「もしかして、僕らがファンの皆に“好き”って歌ったの、嫉妬した?」
図星だった。
俺は、少し間をおいてコクリと頷く。
shk「…ごめん、面倒くさいよね。それが、仕事なのに」
うーん、と5人が顔を見合わせる。
そして、nkが口を開いた。
nk「────俺ら、あの曲、shkに向けて作ったんだよ」
br「そうそう。それ、リリースした日、何の日か覚えてる?」
shk「付き合って1周年…のとき」
それがリリースされた時、記念日なのにファンへの愛の曲を歌うなんて、と悔しさと寂しさでいっぱいだった。
けれど、
kn「それさ、5人で話し合って、サプライズに作ろうってなったんだよ」
sm「 shkの反応が渋かったから、失敗したのかと思ってた」
kr「まさか、そんな可愛い勘違いをしてたとはね〜」
恥ずかしさに、顔が熱くなる。
shk「…え、じゃあ、あそこの大好きって歌詞は」
nk「 shkに対してだよ」
shk「あそこの…ハートのハンドサインも?」
nk「そうだよ」
shk「あそこの……あ、愛してるって歌詞も?」
nk「もちろん」
再び、顔が熱くなる。
その様子を見て、5人がニヤニヤしながら俺を見る。
nk「え、もっかいおねだりしてよ!『俺のためだけに』って」
shk「絶対しねえ!!!」
br「ええ〜可愛すぎでしょ、その勘違い。もっと嫉妬してもいいんだよ?」
shk「しねえよ!!」
kn「ほら、もっと言ってあげる。…好き、大好き、愛してるよshk」
shk「一旦黙れ!」
sm「顔真っ赤じゃん…嫉妬とか、かわいーね、 shk?」
shk「うるせえ…」
kr「ハートのハンドサインしてほしいなら、何回でもやるけど。ほらほらほらほら」
shk「一回止めろ……」
普段こういうおねだりをしないため、ここぞとばかりに攻めてくる。
こういう時は、決まって俺が先に折れて、コイツらに愛でられる。
なんとかしてコイツらに一泡吹かせてやりたい。……あ。
shk「……あいしてるよ」
「「「「「え?」」」」」
5人の声が綺麗にハモり、固まる。
俺は、してやったりという笑みを浮かべた。
nk「ちょっ、ちょっと待って!!!もう一回言って!!!」
br「お願い寝る前に録音させて!!!お菓子買ってあげるから!!」
kn「shkお前…!その言葉言えたのかよ…!?」
sm「今…まじで愛してるって言ったか…?あのshkが…?」
kr「おい、それ最初で最後じゃねえだろうな…!?」
俺はその言葉を無視して、自室につながる廊下へのドアに手をかける。
そして、一瞬のうちに振り返り、彼らに向かってハートのハンドサインをする。
閉めたドアの向こうから、またもや恋人達の騒ぐ声が聞こえて、俺は頬を緩める。
──────たまには、俺が彼らのアイドルになってやるのもいいかもな。
この後、ドロドロに甘やかされるのは、また別のお話。
fin.
コメント
8件
めちゃめちゃ好きです……!好きすぎて作品全部見ました、もっと伸びろの一心でフォロー失礼します!
すきです😭😭😭 にやにやがとまりません!!!!!!!!!!🤝🤝🤝🤝