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こちらの小説、いよわ様の「異星にいこうね」が元ネタとなっております。
まだ聞いたことないという方は原曲を聞いてからのご視聴をおすすめします。
注意
土沖です。
少しだけ残虐な表現を含んでいる可能性があります。
見方によっては死ネタになります。
土方さんが土方さんじゃなくなります。
急に話がぶっ飛びます。
もう一度言いますがこれは土沖です。
🪐*.+゚
恋をした。
この地に降りて約16日目の夜、俺は確かに確信した。彼だってそう思っているはず。
彼の瞳を見つめる度、彼の声を聞く度に、体の奥から聞いた事のない振動と音を感じる。
俺がお前に伝えられる気持ちはそれくらい。後は、……まあ、何とか察してくれよ。
🪐*.+゚
××月3日
月明かりだけが照らす、静かで暗い路地裏。
そこで、二人は偶然出会った。
脅えてる。どくんと大きく波打つ胸。か細い呼吸
「怖ぇのか」
「……怖く…、ない…」
無理はない。
「正直に言ってみろ。この状況をどう思ってる?」
「………」
目の前に広がる異様な光景。俺の片腕に絡みつき広がる得体のしれない肉片は、俺の体の一部。
何度も何度も「怖くない」、そう言うものの、その声は確かに震えていた。
「ふうん」
口周りに着いた血液を舌で舐め取る。その血は俺のではなく、全て地面に転がっている野良猫達のもの。殆どの野良猫の体には大きな歯型がつき、臓物が飛び出たり身体の半分以上が抉り取られているなんとも無惨な姿だった。それも全て俺がやったことだ。
この時点で、この若い男を食ってやってもいい。だが、生憎今の食事腹がいっぱいだったので俺は静かにそこを後にしようとした。
体をグイッと後ろに引っ張られる。見ると、男が俺の着物の裾を掴んでこちらを睨みつけている。
「……んだよ」
「”土方十四郎”………だろ…」
「……」
「今、アンタが江戸全体で重要指名手配されてるの、知らねぇんですかィ……」
俺の事を知っていたのか、男は眉をひそめながらもニヤリと笑う。
「幕府のもんに襲われる度、逃げずにその場で全員殺す。ここらで最近起きていた辻斬りも、アンタの仕業だ」
「俺は、アンタの事なんざ1ミリたりとも怖くない。野良猫を、人をいくら殺そうと怖くない」
………めんどくせぇ餓鬼だ。もう殺してしまおうか。俺は男の頭に手を伸ばす。そして、腕に力を____
「だから、アンタのこと教えてくだせェ。アンタが何故こんな所に来たのかを」
5日目____
7日目________
10日目____________
幕府の役人の目を躱して今まで生きてきた。
それも今日でおさらば。
ここで食った飯はどれも美味しかった。特に、あのマヨネーズ丼が一番だった。食いすぎて少し引かれるくらい、美味しかった。
もう食えないのは寂しいが、今その飯よりも大切なものがここにいる。
この手は離さない。指の根元から指先までに絡みつく自身の手。何本も枝分かれして、見れば見るほど人間の手には見えない。そう、”人間の手には”。
16日間、幸せな毎日だった。時にはこいつに殺されかけることもあったが、それもまた愛情表現というやつなのだろう。俺が知らないことをこいつは教えてくれた。楽しい場所、美味しいもの、そして、優しい仲間を。だから、その代わりに俺は俺自身の事をこいつに話をした。
俺が何故ここに来たのか、何故こいつと共に行動したのか、俺は何者なのかを。
今からこいつを俺の住んでいた異星に連れて行く。こいつは嫌がらなかった。それどころか少し嬉しそうだ。
「土方さん。俺、これからも土方さんの隣に居ていいんですかィ」
「何言ってんだ。逆に居てもらわなこゃこっちが困る」
「ははっ、……やっぱり俺土方さんのこと嫌いでさァ。大っ嫌い」
「そらこっちのセリフだ。俺もてめぇなんざ大っ嫌いだ」
もうすぐ日が開ける。もうすぐで迎えが来る。
🪐*.+゚
突然、強い風が吹いた。その風に対して反射的に瞼が閉じる。少しして、ようやく収まった風に俺は目を開けた。周りが少し暗くなったような気がする。それもそのはず、見上げた頭上には大きな飛行物体があったから。
思わず息が止まった。
「緊張してるか?」
土方さんが問う。俺はまた質問に否定をした。土方さんは繋いでいた手の力を強くして、すうっと息を吸った。
すると、突然体がふわりと軽くなり、石タイルの地面と足が離れていく。置き場のなくなった足をばたつかせながら、今俺の体は宙に舞っている。
「ひ、土方さ……ん…」
助けを求めるかのように、俺は隣にいるはずの土方さんに声をかけた。
土方さんは何も応えない。
どろりと溶けたかのような顔、服を突き破り背中から飛び出す何十本もの触手。美しい顔立ちは、もはや今、見る影もない。
土方さんだったもの。
溶けた体は上から俺を大きく囲もうとする。飛行物体で濃くなった影が、土方さんだったもののせいでもっと暗く濃くなる。
「あ」
最後に出た音、それは俺の意思じゃない。
最後、土方さんに対しての反射的な抵抗だった。
17日目の朝、とあるビルの屋上には、二人分の草履と一人分の血溜まりが残っていた。
🪐*.+゚
こいつとの思い出を忘れないよう、俺はこいつを異星に連れていく。
嗚呼、どうしてそんな目で見る?
今になってお前も、分かりはしてくれなかった。お前は、本当にズルい奴だ。
どうしたのか?熱が出ている。これはきっと悪い夢。
目が覚めたらきっと、俺達はこの惑星で一つになっている。
だから早く、その熱を冷ましてくれ
🛸࿐。.˚
なんにも忘れぬよう、連れていきましょ
UFOに乗って異星にいこうね
いこうね