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第4話 願いごと
次の日、私は学校に着き上履きを取ろうとすると封筒が入っていた。靴を履き替え封筒を開けるとそこには一枚の写真と手紙が入っており手紙には思いつく限りの暴言が書かれリトとテツに近づくなと書いていた。そして写真には両腕を捕まれボタンを外されている私が写っていた。
(なにこれ、、)
誰にも見られていないかを確認し手紙と写真を封筒に直しカバンの奥にしまう。
(一体誰がこんなことを、、。)
いや誰がやったかだなんて検討がつく。けど同級生にこんなことが出来るだなんて、、。
教室に着くが落ち着かない。
―昼休み―
いつものように2人が迎えにくる。いつもの場所に着きご飯を食べるが味がしない。
宇佐美「昨日大丈夫だった?教室に行ったら体調不良で休んでるって聞いて」
佐伯「返信もこねぇし、だいぶ体調悪かったんだな、、」
2人から体調を心配する連絡が来ていたが返信をするのをすっかり忘れていた。
『あ、ごめんね!全然もう大丈夫だよ!』
咄嗟に出た言葉は助けを求めるでもなんでもなくただ嘘を吐くだけだった。
『あ、見て!ネコちゃんだ!』
佐伯「お!ほんとだすげぇ!」
目を輝かせそーっと近づく。
宇佐美「どっかから迷い込んじゃったのか?」
ネコは宇佐美の方へ近づき頬を寄せる。
佐伯「なっ、リトくんずりぃ!」
『宇佐美くんほんと動物に好かれやすいんだね』
宇佐美「へへ凄いでしょ!」
宇佐美が抱えたネコの頭を佐伯が撫でる。2人とも動物が好きなのだろう。とても目を輝かせている。
スマホの通知がなり確認する。メッセージが届いておりそれを開く。
(メールなんて私使わないけど誰だろ)
2人に近づくな。そう書いており私たちを上から撮ったような写真が張りつけられていた。
『なっ、』
宇佐美「ん?○○どうした?上なんか向いて」
『いやなんでもない、』
どこだろ、見つからない。けど1つ分かるのは私は監視されているということだ。
予鈴のチャイムがなりその音に驚きネコが逃げる。
宇佐美「あ、行っちゃったね」
佐伯「俺まだ抱っこしてねぇのに!」
荷物をまとめる。
宇佐美「んじゃまた放課後!」
『あ、ごめん。今日は一緒に帰れない、。』
佐伯「え、用事?」
『うん。ちょっとね、だからまたあした』
逃げるように戻ってしまった。怖い、周りのみんなが私を見ているかのように思えた。あそこで話しているのは自分の事じゃないのか、あっちは、そう疑心暗鬼になりながら授業を終えた。
チャイムが鳴りすぐさま帰る準備をする。なるべく2人と鉢合わせしないよう、きっと私は彼らを前にしたら悲しくなるから、。急いで校門を出る。早歩きで歩いていると強く腕を掴まれた。
『きゃっ、』
驚いて振り向くとそこには緋八と赤城が居た。
緋八「○○、大丈夫?顔色悪いけど、、」
『マナくん、ウェンくん、。』
―家―
赤城「んで、何があったの?」
『、、、』
この2人に迷惑はかけたくない。緋八は私の大切な家族みたいなものだ、それに赤城に関しては出会って間も無いのに私のことで手を焼かすのは申し訳ない。
赤城「僕らじゃ頼りにならない、?」
『そんなこと、』
緋八「いいから言って。誰?○○に酷いことしたんは」
優しく自分らに頼ってくれと言っている彼らに私は全てを話した。
緋八「どこのどいつやそんなことしとる奴!」
赤城「流石に限度ってもんが、、。」
『うん、ほんと私どうしよ、。』
苦しい。何だか胸がいっぱいいっぱいになる感覚がする。
緋八「、、俺らじゃあかん、?」
『え?』
緋八「2人と関わって○○が嫌な思いするんはもう嫌や○○には俺がおるやん、」
いつもの明るい冗談ばかりを言う緋八の雰囲気は無く、どこか暗く真っ直ぐな目をしていた。
緋八「俺やったら○○をこんな悲しませへんし学校は無理やけど一緒に帰ったり出来る!だから」
赤城「マナ」
赤城が名前を呼ぶ、普段と違い強く何だか冷たい声でその声に気づき緋八は我に返った。
緋八「あ、ごめん。俺最低や、悲しんでる時に付け込んで、、。」
『マナくんが私のために悩んでくれてるの分かってるよ。それに、流石に落ち着くまでは私も距離置こっかなって思ってるんだよね、、』
本当は距離なんか置きたくない。できることならもっと仲良くなりたいし沢山話したい。けど、そんなこと言っていられる場合じゃないということは私にも気づいていた。
―次の日の昼休み―
宇佐美「○○ちゃん、」
名前が呼ばれドアの方を見ると2人がいた。昨日ウェンくんやマナくんに話したようにもうお昼を一緒に食べないと連絡はしたはずだ。
無視をしていても周りの目線が痛いので廊下に出る。
『なんで2人がここに?』
佐伯「ごめん、でも一緒に食べたくて、、」
悲しそうな顔で俯く彼の姿に心が痛む。
宇佐美「その、俺たちなんかした?急にこれからは1人で食べるし1人で帰るって、納得いかねぇ」
『別になんかした訳じゃないよ。それに理由なんてない』
じゃあどうしろと。とでも言いたそうな顔でこちらを見つめる宇佐美。
宇佐美「、、テツ行くぞ」
佐伯「え、でも」
そういい後ろを向く宇佐美の背中は大きく、寂しく感じられた。
宇佐美「ごめんな邪魔して。、、連絡待ってる」
少し振り返って言う彼は苦しそうに笑っていた。だが、優しいから連絡を待っていると言ってくれているが本当は自分勝手で話し合いをしない私に嫌気がさしているに違いない。
そして黙って宇佐美の背中を着いていく佐伯は誰が見ても悲しそうな顔をしており、申し訳なさでいっぱいになる。
(終わった。)
確実に嫌われた、嫌って当然だし私が2人の立場でも嫌気がさすだろう。あぁ、涙が止まらない。廊下で泣くのも恥ずかしくトイレへ駆け込む。
(やば、目赤すぎ、腫れたらどうしよ)
泣きやみ鏡を見ていると誰かがトイレに入ってくる音がした。
A「あんたやるじゃん」
B「あの2人の顔みた?超怒ってたよね笑」
あの時男の人を呼んだ2人だ。恐らくあのメールと写真もこの2人だろう。
『なっ、』
A「そんな怯えなくていーよもうあんたに用はないし」
B「とりあえずこのままずっと大人しくしててね」
そういいトイレから2人は出ていった。恐らく私と今まで居た時間はこれからは彼女たちとの時間になるのだろう。
ふと宇佐美くんと恋バナをした事を思い出した。あの時私は彼と離れることがあっても何となく切り替えれると思っていた。けど今あの時以上に彼らのことを知ってしまったからにはこんな離れ方は嫌だと思ってしまう。それに佐伯くんの事も、ただの知り合いというには知りすぎたんだ。
(あ、私思ってた以上に嫌なんだ、、。)
今更この感情の名前に気づき後悔をする自分に馬鹿らしくなり笑みすらこぼれる。
(ほんと、馬鹿だなぁ、、)
―放課後―
マナくんとウェンくんが校門の少し離れたところで待っており3人で帰宅した。
「なんであいつらと、、。」
―次の日の昼休み―
(あ、お弁当忘れた。)
昨日、家に帰ってから私はぼーっとすることがあった。だからってお弁当を忘れるなんて、、。と思いながら食堂に向かう。
廊下には私が今1番見たくのない4人組が居た。
A「ねぇリト」
宇佐美「ちけぇよ」
B「テツ口についてるよ」
佐伯「あ、悪い」
Aが宇佐美の腕を握りBは佐伯の口についた物を取っている。
なんだあれは、あからさまにイチャつこうとする彼女らも気持ちが悪いがそれに気づかない2人もだせっかく出来た友達だったのにな、、。
『あっ、』
一瞬宇佐美と目が合うがすぐに逸らしいつもの場所でご飯を食べる。とても退屈で味気なかった。
それから一週間が経った。退屈な毎日はとても長く感じられ早く帰りたいと思う金曜日。いつもの様にウェンくんとマナくんと帰ろうと教室で荷物をまとめていると大きく名前を呼ばれた。
A「○○!ねぇあんたちょっと来なさいよ」
その横にはBもおり、大体のことが察しがついた。荷物を持って彼女らについて行くと体育館裏に連れていかれた。
(定番すぎでしょ、)
私にはなぜかそんなことを考える余裕すらあったいや違う。2人を失い、やけになっているだけだ。
A「あんたさ、2人に何言ったの?」
『私何も言ってない』
B「嘘つきなさいよ!2人話しててもずっと上の空だしあんたがチクったんでしょ!」
『ほんとに知らない!』
そう答えるとAがこちらに近づいてきた。
A「あんた何生意気言ってんの?自分の立場忘れた?もっとへこへこしてなさいよ!」
髪をつかみ地面に叩きつける。Bがカバンのチャックを開け中身を全て出し踏みつける。
B「ほんときもい」
A「あんたがいるから2人が気にするんでしょ?もう学校来ないでよ」
笑いながら地面に倒れた私のお腹を蹴る。
『っ、!』
A「なに?まだ足りない?」
動きが止まったと思い顔を上げると違う方向を見ていることに気がついた。
A「いいものみーっけ」
近くに落ちていた少し尖っている石を手に取りこちらに向かってくる。私の髪をつかみ顔を石を持った手を大きく振り上げる。
『いや、やめて、』
これはもう終わった。そう思い目を閉じる。
ガンッという鈍い音がするが痛くないと思い目を開けると目の前には額から血を流した宇佐美が居た。
A「え、なんでリトが、、、!」
宇佐美「なんでって、お前こそ何やってんの?」
鋭く睨みつける宇佐美は怖く、普段怒ることがないからこそ迫力があった。
A「これは、」
『宇佐美くん、どうしてここに、、』
宇佐美「ごめんな、○○。俺が見張ってるから大丈夫かなって思ったんだけど、、。」
切れた額が痛むのか眉間が動く。だがそれを隠すように話す彼は本当にずるい。
佐伯「写真も今撮ってる動画も消してもらうぞ」
B「テツ、!?」
私を痛ぶっている姿を動画で撮っていたBのスマホを取り上げ写真のデータを消す。
佐伯「これで全部か?」
B「、、ええ。」
自分の好きな佐伯に言われBが頷く。
A「はっ、Bのデータを消したからって何よ!まだアイツらの方のスマホにデータが残ってる、、」
宇佐美「それはどーだろ」
Aの話を遮る宇佐美がそう言ったと同時に宇佐美のスマホが鳴る。
宇佐美「もしもし」
スピーカーにし相手の声が聞こえる。
赤城「あ、リトくん?さっき言ってた奴ら見つけて写真のデータごと消してもらったよ。」
宇佐美「そう、ありがとう」
そこで電話は終わるかのように思われたが少し離れたところで叫ぶ声が聞こえた。
緋八「俺らのやることはやった!やからリト!○○に会った時傷でもついとったら俺が○○の事連れ去るからな!!!」
『えっ、』
しーっと合図するように人差し指を口につけながらこちらを向く宇佐美。緋八はスピーカーな事に気づいておらず宇佐美も少し気まづそうにしながら返事をする。
宇佐美「わかった、ありがとうマナ、ウェン」
電話が切られAの方を向く。
宇佐美「ってことならしいけど。まだ何かある?」
A「なんで、!私はこんなにリトの事が好きなのに!」
宇佐美「悪いけど俺が好きなのは○○だから」
そこまで言うとAは石を手に取り自分に向ける。
A「なら死んでやる、!」
腕を振り上げ喉に向けて振り下ろす。
宇佐美「待っ、!」
○○がAに体当たりをする。2人とも倒れAの持っていた石が離れたところに飛んでいく。
A「なんであんたが、!」
『別に助けた訳じゃない。私は貴方が嫌いだし今後許すつもりもないけど、死んだらきっと私も貴方も後悔するから、、。』
教師「何してる!」
騒ぎに気づいた先生数人がこちらに向かってきた。佐伯があった事を簡単に説明し宇佐美と○○は保健室に、AとBは生徒指導室へ、そして状況を説明するため佐伯もまた生徒指導室へ呼ばれた。
―保健室―
保健室につき手当をしてもらう。保健の先生は手当をするとこの後、私たちがどうすればいいかを聞きに保健室を出た。
『ごめん、私を庇ったせいで怪我させちゃった』
宇佐美「、、○○はもっと俺に怒るべきだよ」
長椅子に2人で並んで座りこんな時に私は昼休み初めて2人で昼食を取ったことを思い出した。
『なんで、?自分勝手に距離を置いて、それに怪我までさせたんだよ私、怒るべきなのは宇佐美くんだよ』
宇佐美「マナから聞いたよ。俺は○○が本当に助けを求めている時にいつも居てやれないんだ。」
―1週間前―
赤城「こんな時間に公園に呼び出すなんて珍しいね。なんだろう」
佐伯「僕も理由知らなくて、」
午後20時中学の時よく遊んでいた懐かしの公園に4人で集まる。
緋八「んで、どうしたん?リト。」
宇佐美「○○ちゃんに何があったのか教えて欲しい」
緋八「何があったって、ただ俺らと帰りたいってなっただけやろ?別に理由なんて」
緋八を見つめる宇佐美の瞳は優しかった。
宇佐美「頼む、。」
そんな顔でお願いをされてしまったら断れない。これまでのことを全て話した。
佐伯「なっ、そんなことが、」
宇佐美「そっか、ありがとう」
2人とも驚くが宇佐美はこれまでその度にマナが支えになってくれていたことに対して感謝を伝えた。
緋八「なんで怒らんの、○○に距離置いた方がいいとか促したんは俺やのに、!」
宇佐美「それが正しい判断じゃあ仕方ないよ、俺でもそうする。それにテツの時もそうだったけど俺は○○ちゃんが大変な時にいつも居ないから」
そう苦笑する。
緋八「○○は昔っから俺の事は弟としか見てくれん。今回やっと俺の事を見てくれたと思ったらその先には毎回俺以外の人が目に写ってるようやったわ、、。」
宇佐美「マナ、お前は優し過ぎる、。」
緋八「はぁ、んで?○○を守りたいんやろ?俺らは何したらえーの?」
こうして○○の学校生活を守るために宇佐美と佐伯がAとBの監視をすることになり、写真のデータを消すため緋八と赤城がaとbの居場所を突き止めることになった。
宇佐美「だから、○○はもっと俺に怒るべきなんだよ、大変な時にいつも居てやれない、。」
『そんなことないよ、宇佐美くんは昼休みや放課後、夏休みにだって、私が1人で寂しい時いつもそばに居てくれた、!!』
初めて声をかけてくれた時から私はどこかで救われた気がしたんだろう。
宇佐美「俺初めて出会った時から○○の事が気になって、知れば知るほど優しくて面白くて、絶対泣かせたりしないから、俺と付き合ってくれませんか!!」
もちろん答えは決まっている。
『はい!』
校門に向かうと緋八と赤城が待っており5人で帰ることになった。
緋八「○○怪我してない?」
『大丈夫だよ!』
宇佐美「え、俺あからさまに怪我してんだけど無視?酷くない!?」
宇佐美は緋八の方へ近づきだる絡みをする。
緋八「興味無いわ!てか近いねん!!」
2人の関係が壊れてしまったのではないかと心配をしていたが宇佐美がこちらを向き大丈夫とでも言いたそうな顔で微笑むものだから安心しきってしまう。
赤城「ん?なになにこの感じ!もしかして2人付き合ったー?!」
佐伯「えっ!?おめでとう!」
今ので気づくのは流石としか言いようがない。
宇佐美「へへ、そーだよ。俺たち付き合った」
照れ笑いながらこちらに肩を寄せる宇佐美。初めての彼氏ということもあり反応に困ったが自分の顔が熱くなっているのはよく分かった。
緋八「もし何かあったら俺に相談してな?」
宇佐美「いやいやそんなこと絶対ないからね?!」
慌ててそう言う宇佐美をいじり逃げ回る緋八。
―次の日―
朝玄関を開けると宇佐美が居た。
宇佐美「おはよう○○」
『おはようリト!』
朝は宇佐美登校をし、お昼は佐伯を含め3人で昼食を摂る。そして放課後は緋八と赤城と合流し5人で帰るという生活を私は送っている。
この幸せがいつまでも続きますように。
赤城「凄い量だね流れ星」
緋八「綺麗やな、!」
佐伯「すっげぇ、、」
宇佐美「何お願いしてるの?」
『へへ、内緒』
そう静かに私は願っている。