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しずく@病み×鬱
「かんぱーい!!! 任務大成功ーーーっ!!!」
アジトのリビングには、こさめの元気な大声が響き渡っていた。
ローテーブルの上には、いるまの財布を限界まで軽くして注文した高級ピザやチキン、そしてらんが買ってきた特大のデコレーションケーキが並んでいる。
「ちょっこさめ、炭酸一気に開けんな! 吹き出してるって!」
「あはは! ごめんいるまくん! だって嬉しかったんだもん!」
「いるま、はいピザ。これ食べて落ち着いて?」
頭を抱えるいるまに、らんがにこにことピザを差し出す。
その横では、なつがソファに深く腰掛け、コーラのグラスを片手にふっと口元を緩めていた。
「ま、今回は合格点だろ。なつの『多重命令』も、こさめの空間操作も、あのタイミングじゃなきゃ俺のハッキングも間に合わなかった。……お前ら、よくやったよ」
いるまがぶつぶつと言いながらグラスを掲げると、全員のグラスが再び小気味よく合わさった。
数日前まで、それぞれが強い責任感を背負って、血と汗を流して泥臭く自分を追い詰めていたとは思えないほどの、いつもの騒がしくて温かいシクフォニの日常。
「それにしてもさー!」
らんがケーキを口いっぱいに頬張りながら、みこととすちを見つめた。
「最後のみこととすちのあれ!マジで鳥肌立った! 誰一人欠けずに、6人全員の全力であいつらの鼻を明かしてやったの、最高に気持ちよかったね!」
「うん、本当にそうだね。みんなが繋いでくれた最高のパスがあったからだよ」
みことが嬉しそうに微笑むと、すちもポテトを齧りながら「んー……俺も、みんながいてくれたから100%の力を出せた。やっぱりこの6人じゃなきゃダメだね」とふにゃりと笑った。
ひとしきり食べて、飲んで、大騒ぎして──深夜2時を回る頃には、らんとこさめはソファのクッションに埋もれてすやすやと眠りにつき、いるまとなつも「片付けは明日な……」とそれぞれの部屋へ戻っていった。
宴の後の、静かになったリビング。
「すちくん、ちょっと風に当たらない?」
「ん、いーよ。行こっか」
みこととすちはグラスを片手に、リビングの大きな窓を開けてベランダへと出た。
夜風が、二人の髪を優しく揺らす。
見下ろす街の街頭ビジョンには、まだ消えないニュースの文字が躍っていた。
『速報:ミライ・コーポレーション襲撃。怪盗シクフォニ、最新鋭の防衛システムを完全に無力化して逃走。警察当局は手の打ちようがなく──』
ベランダの手すりに寄りかかりながら、みことがその画面を見てクスッと微笑む。
「あはは、本当に大騒ぎだね。世界中が俺たちの強さに驚いてる」
「ね。でも、当然だよ」
すちが缶を、みことのグラスにカチンと軽く合わせた。二人の、静かな乾杯。
「あの特訓、みんな死に物狂いだったもん。みこちゃんを傷つけられて、みんな自分のことみたいに怒って、悔しがってさ……。あんなクソデカい感情持ったやつらが6人も集まってんだから、負けるわけないよね」
すちのその言葉に、みことは愛おしそうにリビングの方を振り返った。
ガラス窓の向こう、ソファで無防備に眠るらんとこさめ、そして自分たちのために頭を悩ませ、道を切り開いてくれたいるまとなつの部屋。
前回の任務で誘拐され、声を奪われ、孤独と恐怖の中にいた自分。それを、リスクを顧みずに全力で助けに来てくれて、さらに「全員で」強くなって世界をひっくり返した。
みことは真っ直ぐにすちを見つめ、それからもう一度、リビングの仲間たちを見つめて愛おしそうに目を細めた。
「うん。……すちくん、本当にありがとう。僕を助けてくれて、僕たちの居場所を守ってくれて。俺、この6人でシクフォニになれて、本当に、心の底から幸せだよ」
「何言ってんの。俺のほうこそ、この6人じゃなきゃ怪盗なんてやってないよ。……ほら、中に戻ろ。風、冷たくなってきたし、みんなの顔見てたらまた中に入りたくなっちゃった」
すちはいつもの眠たげな目で笑うと、みことの肩をぽんぽんと叩いて、温かいリビングへの扉を開けた。
街を騒がせるニュースの光を背に、大好きな4人が待つ部屋へと戻っていく二人。
世界中を敵に回したとしても、この6人の絆があれば何も怖くない。
天才怪盗団シクフォニの夜は、優しく、そしてどこまでも誇らしく、6人の温もりの中で更けていった。
コメント
3件

温かい雰囲気で終わるのがいいな~ そして六人の仲間がいつまでも幸せで過ごせられるように願います!
うわあ……読み終わったあとのこの温かい感じ、たまらないですね🥺 6人全員でやり遂げた達成感と、夜のベランダでみことすちが交わした静かな会話がすごく沁みました。「この6人じゃなきゃダメ」って言葉の重み、めっちゃ伝わってきましたよ。仲間っていいなあ……🤍🌙