テラーノベル
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私は、今自分の副官と共に地下通路を歩いている最中だ。
なんてことはない、何もなければすぐに終わるだろう。
そう、何もなければ。
「モブリット…女型が出現した時、君は壁外調査に行っていたっけ?」
「いえ…私は、新兵の馬術訓練で、恥ずかしながら落馬してしまい」
「それで、怪我が酷かったから行かなかったんだね」
「はい」
彼の言葉を聞き、瞼がピクリと動いた。
そんなはずは無いのだ。
落馬したら医務室に行くはずなのに、彼が医務室に行った記録はない。
つまり彼は怪我などしていないのに、そう嘘をついて壁外調査に行かなかった。
その理由が、私達にとっては重要だ。
「君は…ライナーとベルトルトを知っていたりする?」
「もちろん、エレンの同期ですから」
「いや、彼らが調査兵団に入る前だ。彼らと君は…同郷なんだろ?」
モブリットが、一瞬驚いたような顔をした。
彼らの故郷は小さい農村らしい。
知り合いでなければおかしい。
「そうだったんですか」
「とぼけないでくれよ…ソニーとビーンが死んだ時、君は何をしていたんだ」
「被験体の様子を見に行こうと…捕獲場所に向かっている最中でした」
「そうか、第一発見者は君だったね。ところで、誰の立体機動装置を使ったの?」
その質問に、モブリットは顔を強張らせる。
額には、汗が浮かんでいるように見えた。
少し刺激しすぎたかもしれない。
私が足を止めると、モブリットも同じようにした。
これ以上つつけば、身の危険を感じたモブリットは…
巨大樹の森の時のようにするだろう。
自分が、生きるために。
「…ライナーとベルトルトから受け取った、マルコの立体機動装置を」
「その後その立体機動装置は、二人に返して処分してもらったんだね。
そして君は、自分の立体機動装置で検査を受けた」
「その通りです」
吹っ切れたのだろうか、まだ顔は強張らせながらも
こちらの質問にはしっかり回答するようになった。
「じゃあ…女型が出現した壁外調査で、君は何をしていたの?」
核心を突く質問に、モブリットは戸惑いの色を見せた。
だが、すぐに答えてくれた…最悪の回答を。
「右翼側から…巨大樹の森まで」
「はは…最悪だね、それは。なら、リヴァイ班を壊滅させたのも君だね?」
「…そうです」
モブリットは、一歩後ろへ後ずさった。
ここから出口まで走って、巨人化する魂胆か。
「無駄だよ…出口には精鋭班がいる」
「最初から分かってて、私をここへ連れ込んだんですね」
「ああ、まだ仮説だったけど…大当たりだったらしい。
それにしても、君は随分素直に着いてきてくれたね」
私がそう言うと、彼は悲しそうな表情を浮かべる。
「私は…あなたのことを本当に尊敬していました。
私が普通の兵士でいられたら…私は、戦士にも兵士にもなり損ねました」
「でも私はやるしかないんです…たとえ、相手があなた達でも」
「この数年間…初めて人間として扱われて嬉しかった。ずっとこのままでいたかった… 」
「すみません」
…そう言って、彼は巨人化した。
“女型の巨人”、その見た目から、中身は女性とばかり思っていた。
モブリット、まさか君だったなんて。
全部分かりきってる君から見た巨人研究は、退屈じゃなかったかい?
いや、きっと楽しかったと言ってくれると思う。
さっき言っていたね…初めて人間として扱われたと。
君はどこで、どんな生活をしていたんだ。
女型は、無理矢理地下通路をぶち破って外に出た。
そしてそのまま、逃げるように壁の方へ向かう。
…邪魔をする兵士を、握り潰しながら。
「でも、そんなことしたくないだろ、君は優しいんだから」
巨人化する前に見えたモブリットの顔は、涙で濡れていた。
ゴンザレスドス衛門
こはる🍀🌸
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