※実際の団体、個人とは無関係です。
※ボイドラ時空でお送りします。
※成人向けに準ずる表現があります。ご注意ください。
※その他捏造した設定が多く含まれます。
迷い猫を抱えたままのセラフのポケットが僅かに震えた。
手を差し入れて、中にあったスマホを取り出すと一件のメッセージが受信されていた。
メッセージの主は奏斗だった。
たった一言、端的でわかりやすい内容に彼らしさを感じた。
「来て。ランドリーにいる」
文字の奥に、発情期成りかけの羞恥でぶすったれている奏斗が思い浮かび、人目があるのにも関わらず吹き出しそうになってしまった。
『もうそんな時期かぁ…』
セラフは口角が上がりそうになる気持ちを抑え、迷い猫を抱え直した。早く奏斗の元へと向かうため、まずは依頼主の元へと急いだ。
お隣のおばあちゃんからの草むしり依頼を終え、それからアキラは病院へ行っていた。
今はその帰りだった。
特に急ぐ理由もないため、少しずつ変わっていく街の様子を眺めながらゆっくりと歩いた。街とともに自分らは変われているのだろうか、そんな感傷にも浸ってしまう。
すると、プライベート用の携帯が受信音を響かせた。
何事かと画面を確認すると雲雀からだった。
アキラがほっ、と安心したような溜息をつくともう一件、もう一件とメッセージが増える。
「あきら。」
「いまr ランドリーにいるから、」
「来て」
「らんどりーにいる」
「おねがい、あきら、dいすき」
「すき、だいすき、」
途切れ途切れの文章に雲雀がどんな様子でメッセージを打っているのが容易に想像できた。
きっともう画面も上手く見れないような状態、この時期ならきっとアレだ。
『慌てすぎでしょ……』
微笑ましい、和やかな気持ちになったアキラは、 行先を事務所からランドリーへと変更した。
その鞄の中には性別転化に関しての診断書が入っていた。
セラフはランドリーへの階段を上機嫌に2段飛ばしに駆け上がっていくと、扉を開けようとしているアキラがいた。
『あぇ?凪ちゃんだ。』
『セラ夫!……貴方もお呼ばれを?』
うん、と頷き、アキラへ同じ質問を返すと彼も頷いた。
続けてセラフはアキラの鞄を指差して続けた。
『で、どうだったの?びょーいんは。』
『……転化、していました。』
『あら。じゃあ、αになっちゃったの?』
『そう、ですね…。まだ実感が湧きませんが……』
口元を覆って少し下を向いたアキラへ微笑みかけながら、セラフは扉を薄く開いた。
不安がっている上司の背中を押すのもエージェントの役目だろう、そう思った。
『発情期の匂いで実感は湧くんじゃない?』
次にアキラが鼻から空気を吸い込んだ瞬間、くらりと目眩がした。
中から濃く立ち込める甘ったるい、あの匂い。
鼻腔から脳へ突き抜けて、そのまま理性を甘く包んで鈍くさせる。
立っていられずに膝をついたアキラとは正反対にセラフはいつもの調子を崩さない。
『う、ぁ……っ 』
『まだきちぃか、さすがに。俺、先に行ってるね。』
アキラと共に甘い匂いを食らったはずのセラフは何ともないような顔をして、ランドリーの中へと入っていった。
負けてられない、とセラフへ対抗心を宿してアキラも立ち上がり、後に続いた。
パタン、と乾いた扉の音を最後に部屋は暗がりへと落ちた。
中へ入ったせいで余計に濃い匂いが嫌と言うほど鼻に纏わりつく。
アキラが暗闇に目を慣らしている間にセラフは奥のソファまで辿りついたようで、その位置から猫のような鳴き声がした。
「なぅあ…♡んにゃ、にゃぅ……ッ♡」
『お待たせ、奏斗。待っててくれてありがとねぇ』
「にゃぅ…♡遅い、ッ……早く、♡」
布が擦れる音と一緒に粘液っぽいものがぐちゃりとした音を立てた。
それから奏斗がセラフへ甘えているのか、ひっきりなしににゃーにゃーと鳴き声がしていた。
ようやくアキラの目が薄がりに慣れてきたところに後ろからドシッと何かが強く当たってきた。
バランスを崩し、床へと転倒するアキラ。
その上に伸し掛かってくる何者か。
満足そうにきゅう、きゅうと喉を鳴らしている。
この匂いをアキラが間違えるはずがない。
「んきゅぅ、〜〜…♡♡きゅ、ぅ……うゅ…♡あきら、あきら…、ん〜…っ♡」
『雲雀、お、重い…っ!!』
アキラはなんとか視界を後ろへ回し、その姿を確認すると跳ねた髪の合間からは思っていた通り狐耳が生え、パタンパタンと尻尾を振っていた。
『よい、っしょ!』
「ぉわっ!!」
ぐるりと体勢の上下を逆転させ、上に乗っかっていた雲雀を床へと寝かせた。
正面から見た雲雀の顔はどこか不安げで、だけれど潤んだ瞳はまっすぐアキラを射抜いてくる。
言外にアキラの言葉を待っている。
『……雲雀、私、転化したんです。きっとあの日から』
「じゃ、俺、あきらと番になんの…?」
『そうです。……痛かったでしょ、噛んだ時』
アキラは雲雀の頭の輪郭をなぞるように撫で、両手でゆっくり頬を包んだ。
きゅう、とまた喉を鳴らし、雲雀は目を細める。
頭や顔を撫でられることが案外好きみたいだった。
添えられたアキラの手の上から雲雀も両の手を重ね、お互い意識しない間に距離が無くなった。
ちゅ、と一度だけ音を立てキスをすると再び目を見合った。
「ん、痛くなかった、……や、痛かった!!めっちゃ痛かった!!」
とろんとした表情をみせた雲雀だったが、はっとしたように声をあげて前言を撤回した。
しかし、すぐに耳を伏せてアキラへと遠慮がちに擦り寄って、雲雀は上目で彼を見上げた。
「い、痛かったから、今日、やさしくしてやぁ……」
『ふふ、ごめんなさいね。それじゃあ、今日はとびっきり優しくしてあげますね…♡』
うん、うんと何度も頷いて尻尾をばたばたと煩わしいぐらいはためかせる雲雀へ微笑みかけ、二人は充分に欲を満たし合った。
「な、あぅっ、…ッ♡んるる゛っ♡んぅ゙…るる……♡」
「ゴキゲンね〜、奏斗。お喉鳴ってる」
ソファへ寝転んでいる奏斗へ覆いかぶさるような体勢のセラフ、その首にしっかりとしがみついて奏斗は離そうとはしない。
セラフから愛撫をされるたび、甘い言葉をかけられるたびに、奏斗は喉をごろごろと機嫌よく鳴らし、とろっとした瞳で見つめてくる。
透き通るような青の目を見つめ返すと、その中にギラついた表情の自分がいて、セラフは軽く吹き出してしまった。
「…なに、笑ってんの?」
状況にそぐわないセラフの言動にむっと口を尖らせて耳をわずかに伏せた奏斗、その頭を撫でながらセラフは続けた。
「ごめん、奏斗かわいいな〜って思って」
「ん…♡じゃあ、いい…」
機嫌が悪いふりをしながら、尻尾をセラフの足へと沿わせて先をねだる奏斗。
望んだとおりにふわふわな尾の付け根をとんとん、と軽く叩いてやる。
すると、ひどく甘い声を出しながら腰が高く持ち上がっていく。
もっと、もっととねだる姿は本物の猫のようで可愛らしくある反面、しなやかな躯体はセラフの情欲を煽るのには十分だった。
「かーわいい…」
「当たり前じゃん?……んね、はやく…」
ぽろっと溢れてしまったセラフの本音に謙遜することなく奏斗は応える。
そして、もう待てないと奏斗はセラフへ噛みつくようなキスをした。
コメント
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ありがとうございます。 お墓はsrknのイチャイチャが見れる場所にお願いしまs