「全部話すよ。全部、、、」
アジトから抜け出したゲンと保科は初めて会った時に聞いた大きな公園にいた。2人ともある程度の怪我の応急処置をした。夜中だから、人は1人もおらず、じっくりと話せる。
ゲンは全てを話した。嘘はつかずに今回のこと、組織のこと、それから自分の気持ちまで全てを。
「本当にすまなかった」
ゲンは頭を下げる。許されなくたっていいから謝りたい。このままは嫌なんだ。
「、、、なんや、じゃあ鳴海さんは自分のことよりも僕を優先してくれたってことやんな?」
「、、、」
「えっ、、、嘘やんっ、」
保科は泣き始めてしまった。やはりダメか、、、
「っっ、、、ごめんっなさい、鳴海さん」
なんで保科が謝るんだ。
「僕がっいなかったらこんなっ、ぅっ、目に合わずに!」
「違うボクの自業自得だ」
「そんなことっ言うなや!」
そう言って保科はもっと泣き始めた。
「おさまったか?」
「うん、、、」
保科はこれでもかというほどに泣いた。何に対しての涙かは考えたくなかった。
「あんな、鳴海さん」
「なんだ?」
「僕な、鳴海さんが僕のこと好きってわかってすごい嬉しかったんや、やって、僕も好きやったから//」
「、、、、、え?!」
「いや、これマジな?でも男同士やし、無理かと思ってたら鳴海さんが言ってくれたんや」
「、、、、、」
「やから、僕のために鳴海さんが居場所を失ってまで、助けてくれたって考えたらな、嬉しかったし申し訳なかったんよ」
まさか、こんなことを言われるとは。
「助けてくれてほんま、ありがとうな鳴海さん」
保科はいつものように笑った。顔の傷が現実を見せてくるが、それも消し去ってしまうくらい、保科の笑顔は温かいものだった。
「っ!!保科、、、!!こんなボクでもいいのか?!」
「僕は鳴海さんがええ」
「ぅっ、保科、保科ぁ!」
大人のくせに泣いてしまうなんて。泣きながらゲンは保科に抱きついた。
「好きだ!保科!!大好きだ」
「僕もや、鳴海さん。僕はな、ずっと家から抜け出したかったんや。せやから僕が18になったら一緒に住もうな?僕は鳴海さんと生きる覚悟も逃げる覚悟も死ぬ覚悟もできとるよ」
「お前、でも家を継ぐって、、」
「本当に継ぐんは兄貴なんよ。だから僕はそのための囮みたいな役や」
「酷い家だな、、、」
「せやろ?だから鳴海さんは僕の救世主や」
「いいのか?結構歳離れてるぞ?」
「何歳?」
「確か25」
「僕16や、意外とおっさんやな」
「うるせぇw」
あと2年。
「待っとくからな、保科」
「うん」
「せや、鳴海さんの名前 ゲンだけじゃ物足りないやろ?」
「だったら保科が呼んでいる鳴海で良いんじゃないか?」
「鳴海ゲン、、、ゲン漢字の弦にしたろ」
「ふっ、いいなそれ」
そう言って、キスを交わした。甘くドロドロに溶けて、互いがいないと生きていけないようなキスをした。
これからは生きるのも、逃げるのも、死ぬのも、笑うのも、悲しむのも一緒だ。
おそらくボク、暗殺者『ゲン』は保科宗四郎に殺された。暗殺をしたのは保科の方だったのかも知れない。
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