注意
ホラー描写あり。結構しっかりホラーなので苦手な方はここでお帰りください。
こちらの作品がトラウマ等に繋がったとしても一切の責任は取れません。自己責任でお願い致します。
俺はしがない普通の探偵。名乗るのも意味が無いほどに。
俺は、普段は迷い猫を探したり、不倫の調査をしている。もっと某探偵アニメのようなものを期待していたが、現実は警察頼りで探偵の出番なんてほぼナシだ。
今日も迷い猫を探す一日かと思っていた。
事務所に一本の電話が鳴り響く。ワンコール置いた後に受話器を取り、冷静な声で「もしもし 」と、続けた。
「こちら苺ヶ丘探偵事務所です。どのようなご要件で?」
震えた声で電話先の男は言った。
「と、友達が、、、行方不明なんです、、、」
ー錠前ー
行方不明者は青桐 香音大学二年生だそうだ。
一ヶ月前にここの家に住む友人と遊ぶと言って以来、姿が見えないそう。
ここの住人は5人。シェアハウス中なんだそうで、全員青桐さんと関わりがあるそうだ。
やっと探偵らしいことができると不謹慎ながらも少し浮ついた俺は早々に事件現場と思われる場へ来た。
「ここか、、、」
ピンポーンとお馴染みの音が流れてすぐに
「どちら様ですか?」
と、インターホン越しに聞こえてくる。男の声だ。
「苺ヶ丘探偵事務所の者です。今お時間大丈夫でしょうか。」
出迎えてくれたのは紫色の髪をした優しそうな男性。
「た、探偵って、、、うちで何かあったんですか、、、!?」
声を聞く限り、インターホンに出てくれたのもこの男だろう。あわあわとオドオドとした顔と仕草で困惑した様子。何も知らないのか?
「一ヶ月前からとある男性がこの家に入った切り出てこないから調査して欲しいとご依頼がありました。ここに住む方全員と面識があると聞いておりますので、今いる方のみで構いません。呼んでいただけないでしょうか。」
「、、、わ、分かりました、、、呼んできますので、こちらでお待ちください」
そう言うと紫の髪をした彼は俺をリビングにあげてくれた。
集まったのは4人。1人は買出し中だそうだ。なるべく早く帰ってきて欲しい事を伝え、4人からの話を聞くことにした。
1人目(紫の髪の人)
「一ヶ月前に男性がこの家に遊びに来たことは認知しておりますか?」
「はい、、、彼とは仲良くさせてもらってました、、、でも、しっかりばいばーいって外に出ていきました!」
「、、、彼と遊んだと?」
「いえ、その日は遊んでません、、、その日は里実が遊びました。みんな彼のことが好きだから遊ぶのは順番なんですよ。全員で遊んだこともあったんですが、何せ喧嘩になるものですから、、、」
「、、、なるほど、、、大変失礼なことを聞くのですが、それほどまでに好いているということは恋愛対象や性対象のうちに入っているのですか?あ、外部に言ったりしませんので、正直にお願いします。」
「そうですね、、、恥ずかしいですが、少なくとも俺は彼とお付き合い出来たらな、、、と、、、思ってました、、、なぜそんなことを聞くのですか?」
「動機を明確にしたいので。」
「失礼ですが俺らを犯人と決定するのはさすがに心外です、、、」
「、、、失礼しました。次に、事件があった日何をしていたかお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「そうですね、、、普通に家事してました。理犬、、、あ、赤い髪の人と一緒にしていました。香音のことは、リビングでゲームしてる所を見かけましたよ。」
「家事ですか、、、ありがとうございます。」
2人目(オレンジの髪の人)
「一ヶ月前に男性がこの家に遊びに来たのは認知しておりますか?」
「もちろんや。羨ましかったなぁ、、、」
「羨ましい?」
「香音と遊ぶん楽しいから、、、みんなで遊べたら1番なんやけどね〜、、、喧嘩になってしまうから、、、」
「なるほど、、、喧嘩というのを具体的にお願いします。」
「そやね〜、、、日によるんやけど、、、距離が近いとか、くっつきすぎとか、、、あ、今しょーもないって思ったやろ。」
「いえいえ!そんな、、、愛故の行動を馬鹿にしたりしませんよ。確認なのですが、距離の近さで喧嘩してしまうということは、皆様平等に一人の男性に対して思うことがあったという認識でよろしいでしょうか?」
「そやね。皆香音が好きやったよ。抜け駆け禁止のルール作ったくらいやもん。」
「そんなルールまで、、、では次に、事件があった日に何をしていたかお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「ん〜特に何もしとらんよ。部屋で普通に過ごしとったわ。ゲームしたり本読んだりあとは、、、な?わかるやろ?アンタも男なんやから、、、」
「、、、そうですか。被害者の男性は見かけましたか?」
「ん〜?良い子は帰れ〜のチャイムあるやん?あれが流れるくらいの時間にジュース取りにリビングに行ったら見かけたよ〜。里実となんか話しとったわ。あんま見ると嫉妬で死んでまうから極力見んかったわ。」
「そのチャイムって、午後5時に鳴るチャイムのことですか?」
「そうそうそれやで〜!良い子は帰ってはよねーやってやつ!」
3人目(黄色い髪の人)
「一ヶ月前に男性がこの家に遊びに来たことは認知しておりますか?」
「はい、、、こんな事になるなら送ってあげればよかった、、、!」
「家まで送るということですか?」
「はい、、、彼が帰る前に声をかけたんです、、、『もし良かったら家まで送りますよ』って、、、でも彼近いから大丈夫って笑って、、、」
「なるほど、、、近いとは具体的にどれくらいの距離ですか?」
「えぇと、、、歩いて30分もかからないと聞いてます。」
「なるほど、、、彼と誰かが遊んでる時、何か思うことはありましたか?」
「そうですね、、、その日は僕家にいなかったんですよ。本屋さんにいました。なのであまり思ったことはありませんね」
「それは、何時頃家を出て、何時頃帰ってきましたか?」
「ん〜、、、あんまり覚えてないんですが、、、午前10時頃に家を出て、午後2時頃帰ってきました。見たいTVがあったんですよね〜。丁度入れ違いで彼が来ましたね。僕が帰ってきた頃はまだ家にいましたよ。里実の部屋で遊んでたようです。話し声が聞こえてきたのを覚えてます。」
「細かくありがとうございます」
4人目(赤い髪の人)
「一ヶ月前に男性がこの家に遊びに来たことは認知しておりますか?」
「知ってるけど何?俺は何もしてないしカンケーないから」
「そう言われましても、、、その日なにしていたかだけでも、、、」
「はぁ、、、普通に家事。でも香音のことは見てないし何も知らないから!」
「貴方とご一緒に家事をしていたと言っていた人は彼の姿を見たとのことですが?」
「はぁ?一緒に家事って、、、俺は一人でやってたんだけど?」
「、、、わかりました。信じましょう。それから、彼が他の誰かと遊んでる所を見て、何か思うことはありましたか?」
「別に。遊んでるな〜って感じ。」
「では、彼への興味はなかったと」
「そう思ってれば?」
「皆様ご協力ありがとうございました。」
「いえいえ、他に力になれることがありましたら遠慮なく頼って下さい」
紫の人はそう言って俺に優しく微笑んでくれた。
とりあえず、聞いた人の話をまとめることにする。
1人目の紫の人は、その日は彼と遊ばず、赤い人と家事をしていた。彼のことはリビングで見かけた。
2人目のオレンジの人は、その日は彼と遊ばず部屋で過ごしていた。午後5時頃リビングで里実という人と話してるのを見かけた。
3人目の黄色の人は、その日は彼と遊ばず、本屋にいた。午前10時頃、彼とすれ違いで家を出て、午後2時頃帰宅。彼は里実という人の部屋で遊んでいると、声を聞いて判断。
4人目の赤い人は、その日は彼と遊ばず”一人で”家事をしていた。彼の姿は一度も見ていない。
1つ確かにある明らかな違和感。
「すみません、赤髪と紫髪の方、お話よろしいでしょうか?」
睨む赤髪の人に、なにかありましたか?と言わんばかりの困り顔の紫髪の人。
「先程のお話、2人の辻褄が合わないのですが、、、お2人とも何時頃のお話でしょうか?」
「お、俺は、、、お昼から3時までの話です、、、!」
食い気味に紫の人が答える。
「お昼から5時。」
冷たく赤髪の人が答える。
やっぱり起きる矛盾。
2人の時間は3時間一致するはず。3時間同じ時間を過ごすはず。となると、どちらかが嘘をついているということになる。
「おかしいですね、、、その話で言うと、3時間お2人は同じ時間を過ごしてるということになります。紫の貴方を信じるなら、、、ですが、、、」
「そ、そんな、、、一緒に家事したじゃん!」
「してないってば、、、!なんか勘違いしてんじゃないの、、、!?」
言い争う2人をなだめようと息を吸うと、玄関からドアを開ける音と知らない声が聞こえた。
「ただいまー」
買い出しから帰ってきた5人目。名前は里実というらしい。さっきから名前が出ていた人だ。
「一ヶ月前に男性がこの家に遊びに来たことは認知しておりますか?」
「は、はい、、、な、なんすか、、、なんかあったんっすか、、、?」
「実は、一ヶ月前に男性がここの家に入ってから出てくる所を確認できていないんです。それで、この家の調査を依頼されました。」
「え、、、そーなんっすか、、、そういうことなら協力しますけど、、、俺何もしてないっすよ?」
「大丈夫です。疑ってませんよ。それで、一ヶ月前に男性がこの家に遊びに来たことは認知しておりますか?」
「はい、認知もなにも、、、一緒に遊んだのは俺っすから」
「遊びの内容を時刻含め具体的に教えていただいてもよろしいでしょうか?」
「まぁ、はい、、、えーと、、、10時頃に香音が来て、、、それから暫くリビングでゲームしてましたね。えーと、そんで確か、、、1時頃俺の部屋で遊びましたね。読ませたい漫画もあったんで。それで、、、5時頃だったかな?またリビングで遊びました。ゲームに戻りたいって聞かなくて、、、w帰った時間は何時だったかな、、、覚えてないっす。結構遅かった気はしますね。」
「なるほど。ありがとうございます。その際、紫髪の方と赤髪の方は見かけましたか?」
「なーくんと理犬のことっすかね?2人とも見かけましたよ。洗濯物干してました。」
「では、オレンジ髪の方は見かけましたか?」
「はい。5時頃、、、だったかな?」
「ありがとうございました。」
コレで5人の証言は確保できた。時系列順に並べると、
朝10時に、被害者が家に来、リビングで過ごす。黄色の人が家を出る。
昼12時頃に、紫の人と赤い人が家事をする。 この時、赤い人は一人で家事をしたというが嘘と判断する。
昼1時頃に、被害者と一緒に遊んでいた男性、里実が、被害者と一緒に里実の部屋へ移動。
昼2時頃に、黄色の人が家に帰ってくる。
被害者と里実が遊んでいるのを喋り声で判断。
昼3時頃、紫の人の家事が終わる。
昼5時頃、被害者と里実が再びリビングへ。オレンジの人がジュースを取りに、リビングへ。
帰りの時刻は不明
ざっくりこんな所か、、、赤い人が嘘をついているのは確定として、他の違和感は何かないか。できることなら赤い人が何していたのか知りたいが、、、あの様子じゃ聞き出すのは厳しいだろう。
「、、、オレンジ髪の貴方、、、よろしいですか?」
「なんよ〜俺何もしとらんよ?」
「貴方は昼5時前のアリバイがない状態にあります。少しお話よろしいでしょうか?」
「あ、アリバイって、、、当たり前やろ?部屋におったんやから、、、」
「、、、では、起きてから5時までの間、一歩たりとも部屋から出ていないと?」
「な、なんこれ、、、疑われとる、、、?トイレには出たけど、、、家事してるなーくん見かけたくらいで、、、俺のこと見た人は居らんのとちゃうかな、、、」
「なるほど、、、」
「や、やめい!その疑いの目!!俺は何もしとらん!本当や!!」
「、、、すみませんが、、、お部屋を見せていただいても?」
嫌がるオレンジの人を払い除け、部屋に入る。入ると、汚部屋とは行かないものの中々にひどい有様の部屋が広がっていた。
「あぁ〜、、、かたしとらんのにぃ、、、」
被害者の笑顔の写真や、ツーショット、集合写真に、散らかったお菓子の袋、、、そんな可愛いものばかりかと思えば、そこそこの長さのロープが出てきた。
「これは?何のために?」
強めに問うと、オレンジの人は少し頬を赤らめ
「な、何って、、、わかるやろ?男なんやからぁ!」
「、、、傷が多く見えますね。他人に使いましたか?」
「、、、やっだわぁ、、、他人の趣味そこまで掘らんといてーやぁ、、、それともなんや?キョーミあんのぉ?」
「えぇ、このロープ、、、見た所引っ掻き傷が付いているんですよ。しかも先端より少し内側に。お1人で使うには変なところについてるなぁと」
「、、、変なとこ見とるなぁ?まーええわ。雑に扱ってたらついただけよ。深い意味なんてあらへんわ」
「、、、そうですか。念の為、捜査が終わるまでこのロープは預からせていただきますね」
ロープ、、、何に使った?内側の引っ掻き傷、、、どうしてここにだけ?自慰で使ったにしては綺麗すぎる。自殺にしては長すぎる。一体何のため?
「、、、念の為、皆さん部屋のチェックをさせてください」
快く応じてくれた紫の人
部屋は綺麗に整理整頓されており、下手に漁るのが申し訳なかった。当の本人は気にしてないようでそこは大変助かった。
出てきたのは睡眠薬。最近眠れない日が続くらしく、市販の睡眠薬を買ったそうだ。
5日前に買ったそうだが、1つしか消費してないので聞いてみた所、効果がありすぎるから1日でやめてしまったそう。
出てきた薬は、20歳から上は2錠飲むことが推奨されていたのに、なぜ1錠なのかを問うと、薬が効きすぎる体質だからと笑っていた。
恥ずかしがりながらも見せてくれた里実
部屋はザ・ゲーマー部屋という感じで、様々なゲームやフィギュアが飾られていた。漫画も豊富で住めるものならぜひとも住みたいと思ってしまった。
出てきたのはどこかの鍵。何かしらのゲームの作中に出てくる宝箱風小物入れ用の鍵らしい。それにしては随分としっかりした作りだが。
悲しみながらも見せてくれた黄色の人
部屋は綺麗でPCや楽器など多才なことが見てわかった。俺は楽器ができないので、出来る人間が羨ましいなと思う。
出てきたのは怪しげな薬。中身はなにか忘れたそう。昔買って用済みになったから放置したとのことで、瓶容器に入っているがラベルが見当たらない。ラベルは?と聞いても捨てたと言われてしまった。
俺は職業柄、薬やら毒物には詳しい。
シアリスに似ているのは気の所為だろうか。
最後の1人を見なくてもそろそろ察してきた。
あからさまな嘘つき
アリバイのない引きこもり
協力的すぎる家主
記憶が鮮明すぎる遊び人
家に居ない多才
犯行準備の引きこもり
頭脳派の家主
実行犯の遊び人
被害者で遊ぶ多才いや、、、
被害者で遊ぶ5人。
あからさまな矛盾も、異物も全て、、、
ならば被害者はどこへ?
地下?それとも屋根裏?倉庫?
「、、、あの、この家って地下室や屋根裏部屋とかって、、、あ、あるんですか、、、?」
「あぁ、ありますよ。地下シェルターがあります。」
ニコニコとただひたすらに笑顔で紫の人は答えた。
「はぁっ、、、はぁっ、、、そ、そこって、、、か、鍵とか、、、かかりますか、、、?」
息が上がる。
嫌な予感が確信に変わっていく。
生きた心地がしなくなっていく。
「、、、えぇ、倉庫としても使える地下シェルターです。大きなものも入るんですよ。シェルターなので人も入れますよ。大丈夫ですよ。ランプもあります。ただ、冷暖房がないのが難点ですね。」
聞いてもないことをペラペラと語りだした。
俺が犯人に気付いてることを見透かして。
息が荒れる。鼓動が高鳴る。逃げろと叫ぶ。
だが、目を見て分かる。コイツらは逃さない
俺を。邪魔者を。
「で、では、、、里実さんの部屋から出てきた、、、こ、この鍵を、、、合わせてみても、、、?」
「えぇもちろん!では、シェルターへ行きましょうか!」
俺の両手をガッシリ掴み強く握る。まるで、逃がさないと、捕まえたとでも言いたげに。
優しい顔して、掴んで離さなかった。
はぁはぁと切れる息と、冷や汗で何も考えられない。逃げたい一心だった。
俺の目を、、、いや、俺を見ているのに合わない瞳。焦点はきっと、後ろのあなた達。
次の瞬間、鈍い、、、鈍い音が響いた。
どうやら赤い人が持っていたものは
レンガだったようだ。
薄れゆく意識。
全員グルだった。全部が嘘だった。
アリバイなんてない。作り話だから。
家から出る所を見たなんてとんだ戯言。
出す気なんてなかった。
犯人は1人じゃない。
この家が犯行現場。
この家も犯人。
「お邪魔しまーす!」
「はい、いらっしゃい」
今日は大好きなお友達と遊ぶ日!嬉しいなぁ
「あっ!ころちゃーんっ!」
「うわぁ!?」
理犬くんはほんと、甘えたさんだなぁ、、、歳上とは思えないよ。
「こら、くっつきすぎです〜!」
琉斗くんは相変わらず、面倒見がいいなぁ。
「お、ころちゃんいらっしゃ〜い。今日は俺と遊ぶんやったよね〜♡」
橙くんってば、、、冗談でも僕に好意を向けてくれるのは嬉しいけど、程々にね?
「お、なになに?皆で仲良ししてるの〜?俺も混ぜてほしいな〜」
なーくんは皆のお母さんみたいな位置にいるよね。こういう時止めてくれないのは困るけど、、、
「はいはい!お前ら離れろー!今日は俺が遊ぶ日だからな!」
里実くんってば、嫉妬?w可愛いなぁw
「それで、、、さ、、、ちょっと真面目な話なんだけど、、、」
いつにもなく真剣な顔して向き合う里実くん
どうしたんだろう?
「ん?どうしたの?」
「その、、、俺等の誰かと、、、付き合ったりって、、、出来る、、、?」
「え〜?wできないよw」
「、、、」
「皆は友達だし、第一僕男はちょっとな〜w女の子が良いなぁやっぱw」
「、、、そっか」
「でもどうして急に、、、っ」
「ごめんな?香音。」
「え?」
どうして急に謝ってくるんだろう。
なんだか怖いな
「香音〜いい子にしてるか〜?」
「、、、」
「そんな睨まないでよぉ、、、俺、ころちゃんのこと大好きなのになぁ、、、」
「そやよ〜?そんな風に見られると、、、あのロープ本当に別の意味で使いたくなるやろ〜?」
「あ、ちょうど良いですね、薬ありますよ」
「あー待って待って、今ご飯作ってるから、ご飯終わりにして?」
「わーいっ!今日のご飯何〜?」
「今日はね〜ハンバーグ!」
「いいですね〜お腹空いちゃいました〜」
「もちろん、ころちゃんの分もあるからね!」
「そんじゃそれ食ったらお楽しみやね」
「よし、早く飯にしよう」
「ちょっと里実w食いつきすぎw」
僕の返事、そんなにだめだったのかな
当たり前じゃないのかな?
なんかもうわからない。
この錠前、誰か取ってよ。
誰か。
こんな生活嫌だよ。朝起きたら必ず5人の誰かが居るんだ。ニコニコして僕を見てるんだ。こんなの悪い夢だって思っても、起きたら現実でしたって思い知らせてくるんだ。
こんな生活気持ち悪い。1週間のうち何度身体を重ねればいいの?わかんない。5人の処理を1人でするんだ。気持ち悪い。気持ち悪い。気持ち悪い。やめてって言っても意味なんてなかった。ごめんなさいって言ってももう遅いんだって。変な薬も本当は飲みたくない。当たり前でしょ?
こんな生活最悪だよ。薄暗いシェルター、電波の届かない空間、あるのは最低限生きていける家具だけ。気が狂いそう。頼めばなんだって出てくる。衣食住揃ってる。不満なんてないはず。ここに望んで来たならば。でも僕は違う。欲しいものは自力で手に入れたいし、外の光を浴びたい。友達は元気かな。携帯は取られたから分からないや。きっと元気だろうな。僕と違って。
ねぇそこの君、ここまで読んでる君。
解き方わかったよね?解けるよね?
何でもするからさ、、、解きに来てよ
靴くらいなら舐めるからさ
ねぇ、おねがい。