この作品はいかがでしたか?
108
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私は高校に通っている ごく普通の高校生
ある所を除けば…ね。
多分直ぐに分かると思う 何が違うのかが
教室に入る
みんなの視線が 私に集まる
と同時に
「うげ〜 また来たしw」
「何されても懲りないよね〜」
「いっそ〇ねww 」
これがいつもの光景
私の当たり前なんだ そう思わないと…
耐えられなくなるから
「おっおはよう」
挨拶はしておく
「うっわ 挨拶とか引くわ〜」
「されたら腐るしw」
どうせしなかったらしなかったで 「挨拶も出来ないわけ?」 「人間とか名乗るなよ ゴミ」
そう言われるから…ね
でも机に行っても 何もされてなかった
普段なら落書き チョークの粉 消しカス 水と泥 凄く汚くなってるのにな
そうか バレンタインか
率先していじめてくる子は 大抵女子
ソワソワしてて 余裕が無いのか
いっそ毎日バレンタインで いて欲しい
あ、でもそうしたら 特別じゃなくなるか
これを続けるのは無理か… まぁ、慣れたけど
──────────
─────
本当は私には いじめっ子を退学させれる だけの権力がある
でも誰も知らない
秘密にしてるから。
こうやって いじめられっ子でも 平凡な高校生が1番いい
皆に敬語を使われて 距離感を感じるより ずっとマシだ
───────────
今日も机は何もされていない
バレンタイン当日だから
男子も女子もソワソワ… 皆青春してるなぁ
私に青春なんて無さそうだ 笑
色恋沙汰に巻き込まれたくないし それでいいけどね
「…おはよう」
それでもやっぱ 挨拶はする
いじめられる種を 自分からまかぬように、と
教室に入れば モテている男子の机には チョコレートの山
クラスの男子全員に チョコレートの箱がある
どうでもいい人にも 作れる子は本当に凄いや
お昼休みになっても まだ配っていないチョコを 持っている子が数人いた
本命かな……?
教室を出ようとすると 誰かとぶつかった
「??様にぶつかるなんて…!」 「最低っ!!」
女子の悲鳴にも近い 批判の声が響く
ファンクラブの子達か…
誰かと思い上をむくと…
「やっほ☆」
最悪だ……
「…話しかけんな」
他の人に聞こえない声で そう囁く
元といえば お前のせいで私はいじめられるのに
婚約者だとか 勝手に名乗りおって……
いつ見ても ウザイ塊だ
私は直ぐに教室から出た
私の身分なんて 消えてしまえばいいのに
屋上は私のお気に入りの場所
ここにこれば 現実と切り離される
自分の唯一 自由な空間
私はここを大切にしている
あと休み時間 数分という時
私の自由を壊しに アイツがやってきた
「来るなって言ってんだろ」
「やだ〜怖いぃ」
「ウザイ 失せろ」
そう言うのに 私の隣に立ってくる
マジで邪魔
「2月14日」
「何の日か知ってる?」
バレンタインだと知ってる けど、私はそう答えない 私がいじめられ始めた日でもある
コイツがチョコを 持ってくるから…
憎い ものすごく
涼しい顔するほど 余裕なコイツに腹が立つ
「はいっこれあげる♡」
「要らない」
「俺さ今の人生好きじゃない」
「あっそ」
私だって 好きじゃないし
今更言わないでくれる?
「お前いじめられてる」
「知ってるけど」
机あんなに汚されて 気付かない方がおかしいわ
「俺のせいだよね」
「自覚してるなら 近寄らないでよね」
「責任取るにはどうすればいい?」
「死ぬぐらいじゃない?」
「俺もそう思う」
「俺ってモテてるじゃん」
コイツはいきなり 何を言い出すのだろうか
「俺が遺書残して死ねば いじめ無くなるよね」
あんたの存在が 人気なわけじゃないのに 顔と外見と財力だけだよ
「私たちだって死ねば ただの人だよ」
意味ないから そういう前に……
「じゃ、さようなら」
「まっまて!!」
飛び降りたあいつの 手を私は掴んでる
なんで……?
「憎いんじゃないの?」
「手を離せば俺は死ぬよ」
にんまり笑っているアイツ
意味わからない 本気で死にたい訳?
「お前は苦しんでる」
「死ねばもうきずつかない」
「俺がいるから1人でもない」
「一緒に死のうよ」
私のことを思って 自分まで死のうとするコイツは 本当に憎い
でも手は暖かい
きっと死んでも こいつの事を憎まない日はない
でも手を離せない 引き上げる気力もない
「ずるいよ」
死ぬ以外無いなんて… やっぱうざいや
「俺は愛してる」
「ほら、おいで」
私は憎いアイツの 胸に飛び込んだ
風を感じないのはきっと アイツが包み込んでるから
やっと開放された バレンタイン
屋上にはチョコが落ちていた
森下 かのん 唯々 はるた
2人の名前を書かれた チョコクッキーは 同じ袋の中で引っ付いていた
❦ℯꫛᎴ❧
コメント
2件
えっ?一緒に死んだってこと? 予想外の展開ですね