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「え?お前、柊のこと好きなの?」
「あいつ、やめた方がいい」
「喋んないし、背、ちっさいし」
そんなの関係ない
俺はたったその一言が言えなかった。
「ああ、そうなんだ、」
これじゃ、同罪だ。
柊が本当はみんなと話したがってること
俺は知ってたのに...
だから友達になってあげようと思った
外見だけで選んだわけじゃない。
...
今日は雨だった。
あいにく、俺は傘を持っていない
誰かに貸してもらおうか
「おい、柊」
「話せよ!話したいことあんだろ!?」
「ああ、ああって言ってるだけじゃ」
「伝わんねーんだよ」
教室中に響いていた。
あいつらの声...
じゃなくて
俺の声が
...
俺はこれから空気の対象になるかもしれない
...それでもいいと思った。
俺が柊を好きな事には変わりないから。
傘を借りようと思った。
...でも誰に?
外は雨。
空が見えないよう、雲が厚くおおっている。
この教室には、柊と二人だけになっていた
雨が止むまで待とうかな
コクコクと柊が頷く
...
しばらくの間、沈黙が続き
柊の鉛筆を走らせる音が響いた。
ツンツン...
俺の肩がつつかれた。
『今日は、ありがとう』
柊が微笑みかけてくる。
その笑顔につられ、
俺の顔も笑ってる気がした。
俺は急いで窓を見た
...不思議そうに柊がこっちを見てる。
...
俺の顔が赤いのは
きっと夕焼けのせいだけじゃないはずだ。
いつの間にか、
雨はやんでいた
太陽が沈む。
もうすぐ暗くなってくる
...あいつらの心の中みたいに
柊は、コクコクと頷く
暗くて柊の顔が見えない
.........俺の顔は熱を持っていた
今日で甘くて、切ない片想いは終わる。
俺と柊さんの話した、
あのノートは結局、
『今日は、ありがとう』
だけで終わった。
.........
もう、あのノートはいらないな、
これからは
ちゃんと一言一言、
話すから.........
fin...