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第1話 - あ

2023年12月13日

#恋愛

結城　真矢

カノン

タイト

カノン

あのさ、良かったら次の週末にうち来て勉強しない？

タイト

え？なんで？

カノン

何でって...

カノン

最近会えてなかったし、

カノン

私、勉強なら教えられるからさ

カノン

テストも近いから、何か力になれるかも！

タイト

なんだよそれ

タイト

自分が勉強できるからって、調子に乗ってんの？

カノン

え？

カノン

そんなつもりで言ったんじゃないよ

カノン

ただ、本当に一緒に勉強したいな、って思っただけ

カノン

ダメかな？

タイト

いや...ダメじゃないけど

タイト

別に、カノンに教えてもらえなくても、先生に聞けばいいから

タイト

塾にだって通ってるんだし

カノン

そっか

カノン

そこまで言うなら、分かった

カノン

でも、私タイトに勉強教えたことないから、

カノン

もっと頼ってね

タイト

いいよな

タイト

そうやって余裕持った発言できて

カノン

え？

カノン

何それ、どういう意味？

タイト

え...だから...

タイト

俺は今目指してるところ、ギリギリで必死こいて勉強してんのに、

タイト

カノンはそんなに余裕で、

タイト

人の世話まで見る余裕あるんだな、ってこと

タイト

そういう過剰に世話焼きなところ、ちょっと鬱陶しいんだよね

カノン

そんな風に思ってたの？

カノン

もっと、早く言ってくれたらよかったのに

カノン

そんなこと、一度も言われたことなかったから

タイト

別に、言うほどのことじゃないから、って思ってたからね

タイト

でも、気になるんだよな

タイト

成長できてない自分と比べちゃって

カノン

そんな、自分よりも上の人なんて、数えきれないほどいるんだから、

カノン

比べてたらキリがないんじゃん

タイト

そうやって説教みたいにいうところも、

タイト

俺苦手なんだよね

カノン

え？

カノン

私のこと言ってるの？

タイト

他に、当てはまる人って言って、誰がいるんだよ？

タイト

一番関わってるカノンに対して言ってるに決まってんじゃん

カノン

私たちさ、付き合ってるんだよね？

カノン

そんな言い方、しなくてもいいんじゃないの？

カノン

気分沈むこと、言わないでよ

カノン

私だって、今は余裕ない時期なんだもん

タイト

嘘つけよ

タイト

余裕なかったら、誘いなんてしないだろ

カノン

だって、塾の子とたまに学校で仲良く話してるの見ると、

カノン

不安になるんだもん

カノン

私よりも大事なのかな、って

タイト

友達だし、大事に決まってるじゃん

タイト

異性に関わらず、友達と話すのがダメなの？

カノン

そんなこと言ってるんじゃないの

カノン

気持ちが離れちゃうのかも、って不安なの

カノン

勉強で困ってるならさ、バカになんてしないから私のことも頼ってよ

カノン

こういうときこそ一緒に励まし合って乗り越えていく時じゃないの？

カノン

受験生同士、話したり、相談に乗れたりもするじゃん

タイト

俺はそんなの、一切ないんだけど？

タイト

いつ俺が相談事ある、なんて言ったんだよ？

タイト

記憶にないんだけど

カノン

最近、学校で元気ないからさ

カノン

なんか嫌なことでもあったのかな、って

カノン

私が助けてあげられないかな、って思ったの

タイト

あのさ、そんなこと頼んでないか、俺

タイト

とにかく、今は自分のことだけに集中したいから、

タイト

邪魔なんてして来ないで

タイト

勉強も、同じ塾の奴らとか、

タイト

学校の先生に教えてもらった方が分かりやすいんだよ

カノン

そうなんだ

カノン

そこまで言うんだったら、分かった

カノン

テストまで、お互いに頑張ろうね

～翌日の21時～

アイカ

カノン～

アイカ

昨日さ、タイト君に勉強教えてあげる、って言ったの？

カノン

うん

カノン

言ったけど？

アイカ

なんでそんなこと言うわけ？

カノン

なんでって...

カノン

タイトが塾に通い始めるまでは、

カノン

たまにテスト期間中に勉強教え合ったりしてたの

カノン

だから、また一緒に勉強して、話す時間作りたいな、って思ったんだよ

カノン

っていうか、なんでカノンがそのこと知ってるの？

アイカ

タイト君の方から愚痴として聞いたんだよ

カノン

え？タイトから？

アイカ

そー

アイカ

昨日の夜、カノンが一緒に勉強したい、ってうるさくて、

アイカ

って、愚痴ってたよ

アイカ

タイト君、今勉強で忙しいのに、

アイカ

よくそんな誘うこと言えるよねー

アイカ

この前の模試の成績もあんまり良くなかったから、

アイカ

焦ってる、っていうのに

カノン

模試も成績が悪かったなんて、知らなかったもん

カノン

だから、そんなこと言われても...

アイカ

へ～彼女なのに相談されなかったんだね

アイカ

それだけ、信頼されてない、ってことなんじゃないの～？

アイカ

彼女なのにね～

カノン

近い人にこそ、相談しにくいこと、ってあるじゃん

カノン

プライド高いタイトのことだから、きっと見え張りたくなっただけだよ

カノン

私はそう思うもん

アイカ

そうかな？

アイカ

もう気持ち離れかけてて、うざく思ってるだけじゃないの？

アイカ

今度の修学旅行の班も、私と組もうかな、って言ってたもん

カノン

え！？

カノン

そんなはずないよ

カノン

だって、私たち約束したんだもん

カノン

一緒の班になろうね、って

アイカ

え？そうだったの？

アイカ

でも、もう決まったし、タイトも楽しそうだったよ

アイカ

カノンに申し訳なさそうな気持ちなんて、もってる感じじゃなかったけど

カノン

嘘...

カノン

そんなことないって

アイカ

もう～そんなに私が言うことが信じれないの？

アイカ

めんどくさいな

カノン

アイカ、さっきから何なの？

カノン

タイトとは塾が同じで、ただの友達でしょ？

カノン

なんでそこまでして、タイトにくっついてくるの？

アイカ

だって、好きになっちゃったんだもん

カノン

え？

カノン

今、なんて？

アイカ

だからー

アイカ

タイトのことが好きになったの

アイカ

あっちも、その気になってくれてるみたいだし

アイカ

今度の修学旅行で告白しようと思うんだ

カノン

待ってよ...

カノン

そんなの、許せるわけないじゃん！

アイカ

別に、彼女がいようと告白するのは勝手でしょ？

アイカ

なんでそんな口出ししてくんの？

アイカ

意味わかんないんだけどー

カノン

彼女なんだし、誰にも渡したくないって気持ちは強いもん

カノン

だから、タイトの気持ちが揺らぐようなことは言わないで

アイカ

自分に自信ないんだ？

アイカ

その時点でもうすでに、ダメじゃないの？

アイカ

自分に自信がなくなったら、焦って何にも上手くいかないんだよ

カノン

アイカに、そんなこと言われる筋合いないから

アイカ

まあ、いいや

アイカ

あとは2人で話し合いしてみたら？

アイカ

じゃあね

～翌日の21時～

カノン

ねえ、タイト

カノン

修学旅行の班、アイカと組むことにしたって本当なの？

タイト

うん、そうだよ

カノン

なんでそんなことするの？

カノン

私と組んでくれる、って約束したじゃん

タイト

あれ？

タイト

そうだっけ？

カノン

そうだよ

カノン

もう、約束忘れたの？

タイト

約束したのも、だいぶ前でしょ？

タイト

そんなの、覚えてるわけないじゃん

カノン

なんで？

カノン

せっかく、一緒に回れると思って張り切ってルートも決めてたところなのに

タイト

だって、いつも一緒にいる奴との報が話しやすいし

タイト

同じレベルのやつと一緒にいる方が、楽だから

カノン

私といるのは、気が重い、って意味？

タイト

そういうことじゃないけど...

カノン

昨日、教室で電話するのも、なんかためらってたじゃん

カノン

私から離れて電話しに行ってたよね？

タイト

そうだっけ？

カノン

そうだよ

カノン

私の前では話せないようなことだったの？

タイト

友達からのちょっと、あんまり大事にしたくないような内容だったから

タイト

人が多いところを避けたかっただけ

タイト

別に、カノンだけじゃないよ

カノン

嘘つき！

カノン

もう、私に気持ちなんてないから、アイカの誘いも受けたんでしょ？

タイト

は？何言ってんの？

タイト

そんなに、俺の言うことが信じられねーの？

タイト

俺は、今は一緒にいれる時間があんまり取れなくても、

タイト

修学旅行で自由行動の時に会えるかな、って思ってたよ

カノン

そんなの、私の期限取るために、思い付きで言ってるだけでしょ？

カノン

分かるんだから

タイト

頑固だな

タイト

もう、勝手にしろよ！

～修学旅行前日～

アイカ

カノン

アイカ

タイト君と仲直りは、できた？

カノン

アイカ、

カノン

私たちの関係壊れるのかどうか見て、

カノン

そんなに楽しい？

アイカ

超たのしー

アイカ

残念ながら、タイト君も私とグループ組むことを選んだみたいだね

アイカ

残念だったね

カノン

私のこともて遊んで...信じらんない

アイカ

学校でも、お互いに目も合わせてなかったしね

アイカ

本当に、分かれちゃったんじゃないか、って噂になってるよ

カノン

別れたりしないから

アイカ

分かんないじゃん

アイカ

一緒に時間過ごしてる私の方が、圧倒的に有利な立場にあるの

アイカ

それ、分かってる？

カノン

有利とか、不利とか関係ないから

カノン

タイトのこと好きな気持ちは、誰にも負けないよ

カノン

修学旅行中に、時間見つけて仲直りするつもりだもん

アイカ

そうなんだ

アイカ

仲直り、できるといいねー

アイカ

まあ、その前にもう私とくっついてる可能性があるかも、だけどね

アイカ

それ、分かってるんだよね？

カノン

すごい自信あるみたいだけど、そんな自信吹っ飛ぶくらいに

カノン

恥ずかしい思いさせてやるんだから

アイカ

自信だけは持つようにしたんだね

アイカ

まあ、その気持ちがいつまで続くか、だけどね

アイカ

じゃあ、明日ね

～翌日～

アイカ

ねえ、タイト君

アイカ

待ち合わせした場所にいるんだけど、あとどれくらいで着く？

タイト

俺、待ち合わせした場所には行かない

アイカ

えっ？なんで！？

タイト

他の班の奴らも合流する、って聞いたけど、

タイト

それ、嘘なんだろ？

タイト

班のやつらが、アイカが考えてることこっそり話してるとこと、全部聞いた

タイト

俺と２人になりたいから、呼び出したんだよね？

アイカ

そうだよ...

アイカ

私さ、タイト君のことが好き

アイカ

だから、自由行動の時間に少しでも２人で一緒に回れたらいいな、って思った

タイト

悪いけど、答えはノーだよ

アイカ

え？そんな...もう少し考えてよ！

アイカ

私、勉強も教えてあげられるし、面倒見良いし...

アイカ

カノンより、できる女だと思うんだけど？

タイト

カノンと比べないでよ

タイト

そもそも、こんなずるい手使う奴のこと、人として最低だと思う

タイト

そんな人と、一緒にいたくないから

アイカ

でも！

アイカ

最近カノンのこと、避けてたじゃん！

アイカ

前まで一緒にやってた勉強会も、最近めっきりなくなったでしょ？

タイト

それは、最近俺がマジで成績が悪くて、

タイト

カノンに聞くのはカッコ悪いな、って思ったから

タイト

だから、話しやすい恋愛対象じゃないやつと話すのがラクだったんだよ

アイカ

恋愛対象じゃない、って...

アイカ

それ、私も入ってるの？

タイト

もちろんだよ

アイカ

そんな...ひどくない！？

アイカ

私のこと、期待させておいてさ

アイカ

ずるいよ！

タイト

期待なんてさせたつもりはなかったんだけど...

タイト

もし、そんな気を持たせるようなことしてたんだったら、ごめん

タイト

俺、気持ちを言葉にして表現するのが苦手だからさ

タイト

だから、不器用でなかなか本音も言い出せないんだよね

アイカ

それは、私が一番よく知ってるよ

アイカ

弱みも、見せてくれたじゃん

アイカ

私なら、それ全部受け止めて好きになれるから、

アイカ

私と付き合ってみない？

タイト

あっ、もう１ついうことあった

アイカ

え？何？

タイト

言葉にするのが苦手、って言ったけど、１つだけ言うことあった

タイト

アイカとはもう、友達との付き合いもないし、話すのは止める

タイト

だから、もう他人のふりするわ

タイト

そういうことで以上

～後日談～

カノン

その後、タイトから連絡があり、班行動を抜け出して2人で恋愛成就の神社へ行きました

カノン

タイトがこの前、私の前で電話を拒んだのは、私が前からやりたいと言っていた、

カノン

シルバーアクセサリーのワークショップからの連絡だったそうです

カノン

内緒で予約してくれていたことを知り、さらに不器用で私思いのタイトのことを好きになりました

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結城　真矢

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