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糸織。
糸織。
"私は見覚えない所で目覚めた。"
糸織。
糸織。
???
糸織。
???の目が細くなった。視線が糸織の服を舐めるように這う。現代の制服。この世界には存在しない布地。軍刀の柄に置いた手はそのままだった。
???
薄暗い雲が空を覆い、路地裏には腹を空かせた子供が横たわっていた。通りの向こうでは工場のサイレンが途切れ途切れに鳴っている。1945年、3月。東京の空気は煤と絶望の匂いがした。
糸織。
眉が跳ねた。一拍の間があった。
???
だが???は笑わなかった。糸織の目をじっと見ていた。その目には嘲りではなく、値踏みするような鋭さがあった。未知のものを即座に切り捨てない——そういう男だった。
糸織。
一歩近づいた。背が高い。影が落ちる。
???
???
糸織。
私は恐る恐る携帯をとりだした。
携帯を見た瞬間、目つきが変わった。小さな板のようなもの。だがその表面に光が灯ると、???は半歩退いた。
???
それはカメラのフラッシュだった。たまたま触れた指がシャッターを押したらしい。???が目を細め、腰の軍刀に手をかけたまま、しかし抜きはしなかった。
???
糸織。
沈黙が数秒。それから低い声で言った。
???
繰り返しただけだったが、その響きには困惑と警戒が等分に混じっていた。
???
手のひらを上に向けた。よこせ、という意味だった。
糸織。
糸織が差し出したスマホを、???は両手で受け取った。片手では持ち方が分からなかったのだろう。画面を見て、指で触れてみる。ロックは解除されたままだった——ホーム画面には2026年のアプリが並んでいる。
スクロールの仕方が分からず、板を傾けたり裏返したりしている。やがて写真フォルダを開いたらしく、自分の顔が映ったのを見て固まった。
???
いや、違う。映っているのは今の自分だ。リアルタイムで。それに気づくまで三秒かかった。
???
糸織。
もう一台を見て目を瞬かせた。
???
驚くところがそこだった。
糸織。
仕事、という言葉に引っかかったらしい。中学生の糸織を見下ろして。
???
見た目で判断したのだろうが、それは間違っていなかった。
糸織。
一瞬、表情が揺れた。すぐに戻ったが。
???
それ以上は聞かなかった。
糸織。
日帝
女だ、と言いかけて、目の前の相手を見れば分かることに気づき、口を閉じた。
糸織。
少し間があった。
日帝
咎めはしなかった。「さん」付けにも特に反応しない。ただ、呼ばれ慣れない音の並びに耳がわずかに動いた。
糸織。
顔を背けた。
日帝
慣れていなかった。
糸織。
ちらりとこちらを見た。ばつが悪そうに。
日帝
糸織。
はぁ、と息を吐いた。
日帝
怒っているわけではなかった。
糸織。
鼻を鳴らした
日帝
ぶっきらぼうだが、声音は柔らかかった路地の奥から咳き込む声が聴こえた。飢えた子供のものだろう。
糸織。
日帝
糸織。
日帝
糸織。
日帝
糸織。
こいつ、??に似てるな...
糸織。