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39
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罠に落ちた獣たち
横殴りの雨が窓ガラスを叩く。 後ろの席から見える闇の向こうでは、森の木々がザワザワと揺れている。
折原
車の助手席に座るサマーキャンプのガイド、折原さんが困惑しした声を上げた。
ライトに照らされた夜の道路は土砂崩れですっかり塞がっている。 崩れた山の斜面からは太い木の根が突き出していた。
折原
スマートフォンの光が消え、カウボーイハットを被った折原さんがため息をつく
折原
俺は後ろの席から首を突き出し、話に割り込んだ。
ハヤト
折原
振り返ったオリさんが笑う
折原
ハヤト
折原
バックミラーに映るオリさんの目線を追うと、運転手の今湖さんと目が合った。
今湖さんは女性だが、シャツから伸びる腕は日焼けしてたくましい。
ミラーには子ブタのマスコットが3つ吊るされている。
今湖
俺たちは2泊3日のキャンプから帰る途中だった。
本当ならとっくに山を下りている時間なのだが、突然降り出した激しい雨と強い風のせいで、思うように車が進まなかった。そして土砂崩れでが起きた。
ハヤト
折原
オリさんの言葉に、俺はムッとして言い返した。
ハヤト
俊敏とは「素早くて頭がいい」という意味だ。
オリさんの言う「せっかち」はただの慌て物。意味がまるで違う。
今湖
ハヤト
俺はぎょっとした。車は大きいが、後ろの席は同じクラスの5人でいっぱいだ。
サマーキャンプではずっと同じ班で、カレーを作ったり川下りをした5人だ。
短い茶髪の今湖さんが、あはは、と明るく笑う。
今湖
折原
オリさんがスマホの画面に指を滑らせ、俺たちの親に電話しようとした時、今湖さんがフロントグラスに顔を押し付けた
今湖
折原
つられてフロントグラスを見る。 少し遠い場所に、ぼうっとオレンジ色の光が灯っていた。
今湖
折原
今湖
オリさんは嫌そうな顔をした。
折原
今湖
ハヤト
俺は答えられず、目を泳がせた。
今湖
ハヤト
むにゅむにゅ、と誰かが起き出した。 黒い耳付きフードのパーカーを着た女の子、黒宮ウサギだ。
ウサギ
ハヤト
少しだけ身を起こしたウサギは、すぐに丸くなって、寝息を立て始めた。
今湖
折原
俺たちはオリさんのスマホで順番に親と話をし、無事でいることを伝えた。
テレビで土砂崩れのことが放送されているらしく、母さんは少し興奮していた。
俺は心配ないと伝え、電話を終える。
ウサギ
電話で親と話すウサギは、フードの耳をにゅうっと引っ張っていた。
ウサギ
ハヤト
ウサギ
通話口から聞き慣れたウサギの母親の声がした。俺の親ともずっと前から仲良しで、4人で食事をしたり、買い物に行くこともある。
ウサギは俺にとって妹みたいなものだ。
ハヤト
ウサギ
ハヤト
通話を終えたウサギは小さなお腹をさすっていた。
ウサギ
しばらくして、車がゆっくりと停止した
そこにあったのはホテルなんかではなく、俺たちが通う中学よりもはるかに大きな洋館だった………。
主
主
コメント
4件
パクリですか?駄目に決まってますよね?
めっちゃ好きな本だから久々に見れて嬉しすぎるw