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夏の朝の空気は重く、湿っているはずだった。 だが、風鈴高校へと進む桜遥の意識は、まだ半分ほど夢の中にいた。
最近、妙な夢を見る。
満開の桜並木の中、自分は小学六年生くらいの子供に戻っている。 誰かが自分を強く、優しく抱きしめているが、激しい桜吹雪が視界を遮って顔が見えない。
?
爽やかな声が耳を打つ。そこでいつも目が覚める。
ただの夢だ。そう切り捨てられないほどの熱が、いつも胸の奥に残っていた。
桜
ふと顔を上げた桜は、足を止めた。
視界に飛び込んできたのは、季節外れの、狂い咲きのピンク。 夏の日差しを浴びているはずの並木道が、今、春の絶頂のような満開の桜に包まれていた。
普通なら、足を止めておかしいと疑うはずだ。 だが、身体が覚えているかのように勝手に動き出す。桜は真っ直ぐに花びらの舞う中へ踏み込んだ。
風が吹き、一瞬、校舎の姿が消えた。代わりに、そこに一人の少年が立ち尽くしていた。
白黒に分かれた髪。金色と黒のオッドアイ。
それは、幼き日の自分だった。
幼少期桜
桜
独りだった小学生の頃。 学校に行くのが嫌で、がむしゃらに走って迷子になったあの日。気づけばこの季節外れの桜並木に迷い込み、自分と全く同じ姿をした誰かに抱きしめられた。
あの時の言葉があったから、自分はこの街に、風鈴に辿り着いた。
途中でまた独りを選んでしまったけれど、それでも信じて進んだ先に、今は仲間がいる。
桜
幼少期桜
桜は迷いなく歩み寄り、震える小さな肩を、今の大きな腕で包み込んだ。
自分を否定し、世界を憎みかけていた幼い自分を、今の彼が肯定するように。
桜
記憶の中の声と同じ、低く、温かい声。
桜
それが、過去の自分を救う唯一の方法。
桜
抱きしめた腕の中から、小さな体温が桜吹雪と共に溶けて消え、いつもの緑に囲まれた校舎が姿を現した。
楡井
蘇枋
門の前で待っていたのは、ミモザ色の髪を揺らす楡井と、スオウ色の髪をなびかせる蘇枋だった。
桜
桜はふと後ろを振り返った。そこにはもう桜の花びら一枚落ちていない。ただ、夏の太陽を浴びて青々と繁る桜の木があるだけだ。
蘇枋
桜
桜は口元に微かな笑みを浮かべ、二人の方へと駆け出した。
桜
おはよう、おはようございます、と交わされる声。
風に乗って聞こえてきたのは、 _かつての自分への別れと、明日への足音だった_
おもち君
おもち君
おもち君
おもち君
おもち君
おもち君
おもち君
おもち君
おもち君
おもち君
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