どれが I F か
どこからが I F なのか
どこで、 I F は動くのか
そもそも I F とは、何なのか
それは、誰も分からない
勿論、作り出した本人も
そんな、いい所をたくさん持つ彼らももう、此処には居ない
カシャン、
転落防止でもこの身長には意味の無いフェンスの外側に出て、
紅に染まった手のひらを、フェンスから離した
空気抵抗を無視して、重力に逆らうことも無く落ちていく体
同時に、遠のいていく意識
最期、脳内に残ったのは
無機質な、連続して鳴り続ける機械音だけだった。
あぁ、また目が覚めてしまった
日が落ちかける。
なんともまぁ変な時間に起きたなぁ、なんて考えながら、
彼が作ってくれた、俺の為の薬を手に取る。
動きづらい体
関節が軋み、無理矢理体を動かして瓶を掴む
ゆっくりと蓋を開け、
適当に瓶を傾ける
バラバラ、と瓶から錠剤が出てくる
出てきた錠剤を、膝に置いたティッシュに落とす
また、ゆっくりと瓶の蓋を閉め、窓際に瓶を戻す。
どうやら今の体は、あの頃とほぼ同じくらいに戻っているらしい。
担当医のおじさんが、学者が言っていた、と。
力尽きて窓の外を眺める
既に日はほとんど落ちていた
この時間はもう、俺の時間
膝の上に置いた錠剤に目を向ける
左手に錠剤を落として握る
布団をどかし、安全柵を下ろす
先程とは違う、すらすらと動く足で給水器まで向かい、コップに水を半分入れた
すぐにベッドに帰り、安全柵を戻し布団をかける
コップと錠剤は持ったまま
時刻は午後5時過ぎ
外は真っ暗
窓から見える景色には、スーパーブルームーンと呼ばれる月が見える
まるで俺を見に来ているよう
月にそう話しかける
月は、ほんの少し揺らいだ
左手の錠剤を口に含む
右手の水を、口に含み錠剤を流し込む
即効性の薬
ゆっくりと瞳を閉じる
閉じる直前、流れ星が窓に覗いた
最後に響いたのは、自分の左から聞こえるただひたすらに同じ音を伸ばし続ける、一つの機械音だった。
───ろ、
ま───!
まろッッッ!!!!
誰かに名前を呼ばれる声で目が覚めた。
カタカタと震える右手と、黒く分厚い雲に覆われる空。
ー I F ー
[END]
どこからが嘘で
どこまでか嘘なのか
もしかしたらもう既に
変わっているかもしれない
一つだけ。 ヒントは作品ページ。
解説
3日後公開
コメント
6件
最後安楽死したのか…?何回も飛び降りたのか?それで体が限界になった……。分からん!