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久々の楼月ちゃんのお話を読めてうれしい💌 逆に啓くんが幸せになれる道が見つけ出せたように思えました☁️
ああ…恥ずかしい!!
ついに僕は… 言ってしまった!!!!
香夜学園、生徒会長を務める
藤林 恋___
その目付きの鋭さから、 『オオカミ様』と呼ばれ
生徒たちから、密かに 恐れられている彼女に!!
颯爽と去っていく後ろ姿を
呆然と見送る
ありえない…
あの…オオカミ様が……
僕の友達…。
遡ること、8時間前____
オオカミ様に、そんなこと…
言えるわけない…けど
言わなきゃ、やられる…
だから僕は…言った。
あの時、僕は 思いもしなかったんだ。
この出来事で、 僕の世界が変わるなんて___
やっちまった…
あの、「オオカミ様」を 待たせるなんて…
僕はとんだ無礼を…!!
…え?
…どうしてだろう
麦わら帽子を被り、 はにかんだ笑顔の彼女は
「オオカミ様」ではなく 一人の無邪気な少女として
僕の目に、映った
な、ななな名前呼びとか ハードル高すぎだろ…!!!!
僕は、タメ口で話すことさえ うまく出来ないような
隠キャなんですけど!????
藤林さん、なんだか 悲しそうな表情だったな…
僕、あからさまに嫌そうな顔を してただろうな
・ ・ ・
藤林さんに、酷いこと しちゃったな…
数分後___
着いた場所は、香夜学園の 向日葵畑だった
聞けば彼女は、毎年夏休みに この場所に来て
一人で向日葵に 水やりをしているそうだ
昨日までは、彼女を 恐れていたはずなのに…
僕の隣であどけなく笑う 彼女が、今は
不思議と怖くはなくて_
あ、そうだ
暑いだろうと思って サイダーを持ってきたんだった
渡さないと…
渡そうとして、手を伸ばして…
一瞬だけ、手が触れた
ドキン……
ドキン……
…そうか
僕はきっと、藤林さんのことを 勘違いしていたんだ
噂話を疑いもせずに信じ、
勝手なイメージを持って 彼女を避けてきた
あれ、ドキンって何だ…?
心なしか、鼓動が 速くなっているような…
不意に、藤林さんの 缶を持つ手が僕の頰に伸びて_
ドキン…
ドキン…
ドキン…
…これはもしや……
俗に言う…
『恋』
というやつ、なのか…!?
プシュ、という音がして
缶の蓋が開いた___
途端に…
勢いよく泡が上がる___
…緊張しすぎて、ビニール袋を 振り回しすぎたせいだろうか…
また、やってしまった……
どうしよう…
恐る恐る隣を見ると…
笑いすぎて溢れてしまった 涙を拭っていた
なんて、優しい人なんだろう…
____好きだ
ほかの誰よりも、君が好きだ_
そう、確信した
まだ、告白なんて出来ないし
君に迷惑をかけちゃうかも しれないけれど…
それでも僕は、 君と一緒にいたい。
たくさん、笑い合いたい。
どんな時も、君の隣にいたい。
隠キャだし、失敗ばかりの 頼りない僕だけど…
この夏、君を落としたい。