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隠キャな僕はこの夏、君を落としたい。

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隠キャな僕はこの夏、君を落としたい。

1 - 隠キャな僕はこの夏、君を落としたい。

♥

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2021年08月06日

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…っ、あの!!

…?

ええと…私?

は、はい

何か用?

ええと、あの…その

用がないなら話しかけないで

…と、……

と…もだち、に…

なってくれませんか!!!

ああ…恥ずかしい!!

ついに僕は… 言ってしまった!!!!

香夜学園、生徒会長を務める

藤林 恋___

その目付きの鋭さから、 『オオカミ様』と呼ばれ

生徒たちから、密かに 恐れられている彼女に!!

…ふっ、

なんだ、それだけ?

…そうです

ははっ、変な奴。

…別に、良いけど?

え。

ええ!?良いんですか!?

君が言ったんでしょ、なんで驚いてんの

いや…えっと

まさか、受け入れて貰えるなんて思っていなくて…

なのに言ったの?

…はい

…へぇ、意外と勇気あるじゃん

正直言って、何も言えない情けない奴だと思ってたけど…

…見直したよ

やるじゃん、あんた

……!!

…さっきは、冷たい態度とってごめん

…いえ

もう、慣れてるので…

…あのさ

明日、空いてる?

…え?

行くところがあるんだ

もし空いてたら、明日ここに来て

時間は…午前10時くらいかな

待ってるから

あ、あの…!!

僕なんかと、一緒にいてもいいんでしょうか…

君は“なんか”じゃないよ

私の友達。

……え

え、違った?

い、いや…違わない、ですけど…

ふふ、だったら良いじゃん

来れなかったら大丈夫だけど

…来てくれたら嬉しい

またね

…は、はい

颯爽と去っていく後ろ姿を

呆然と見送る

ありえない…

あの…オオカミ様が……

僕の友達…。

遡ること、8時間前____

ねぇねぇ、隠キャくーん?

聞こえてるぅ〜?

あっれ〜?

聞こえないのかな〜?

…聞こえてるなら返事しろよ

殴るぞ?

…っ、はい……

…ったく、最初からそうしろよな〜

…そうだ

俺らを無視した罰として、

今日の放課後、コイツになんかさせよーぜ

おー、いいな

うーん…

あ、じゃあさ…

『オオカミ様』に「友達になってください」って言うのは?

あー!それいい〜

面白そうだな

…おい

俺らのゆーこと、聞けなかったらどうなるか…

わかるよなぁ?

…は、はいっ

わ…かりまし、た…

オオカミ様に、そんなこと…

言えるわけない…けど

言わなきゃ、やられる…

だから僕は…言った。

あの時、僕は 思いもしなかったんだ。

この出来事で、 僕の世界が変わるなんて___

…あ、いた

おはよ

やっちまった…

あの、「オオカミ様」を 待たせるなんて…

僕はとんだ無礼を…!!

…ど、どうも

遅くなってすみま…

私が早すぎたんだよ、気にしないでー

…え?

来てくれただけでも嬉しいし

ありがとね

…どうしてだろう

麦わら帽子を被り、 はにかんだ笑顔の彼女は

「オオカミ様」ではなく 一人の無邪気な少女として

僕の目に、映った

あー、そうだ

名前、教えてよ

…僕は、桜野 啓…です…

へぇ、啓か…

…ねぇ、啓って呼んでいい?

あ、嫌ならいいけど

…良いですよ

ありがと

あー、敬語使わなくていいよ

…うん、わかった

あの…えっと……

藤林さん…って、呼んでも…

もちろんいいよ〜

別に、恋でも良いけど

な、ななな名前呼びとか ハードル高すぎだろ…!!!!

僕は、タメ口で話すことさえ うまく出来ないような

隠キャなんですけど!????

…そ、それはちょっと……

…そっか

じゃあ、行こっか

…うん

藤林さん、なんだか 悲しそうな表情だったな…

僕、あからさまに嫌そうな顔を してただろうな

・ ・ ・

藤林さんに、酷いこと しちゃったな…

数分後___

はぁ、あっづ〜

暑いね…

着いた場所は、香夜学園の 向日葵畑だった

ごめんね、水やり手伝わせて

…この畑は、香夜中の卒業生達が守ってきた伝統だから

私、守りたいなって思ってさー

聞けば彼女は、毎年夏休みに この場所に来て

一人で向日葵に 水やりをしているそうだ

そうなんだ…

…藤林さんらしくて、素敵だね

え、そうかなぁ

…僕はそう思う、かな

…ふふ、そっか

昨日までは、彼女を 恐れていたはずなのに…

僕の隣であどけなく笑う 彼女が、今は

不思議と怖くはなくて_

あ、そうだ

暑いだろうと思って サイダーを持ってきたんだった

渡さないと…

…あの、良かったらこれ……

あ、くれるの?

…うん

あはっ、ありがとう

渡そうとして、手を伸ばして…

一瞬だけ、手が触れた

……っ、いてっ!?

ドキン……

あははっ!

急にビリって…びっくりした〜

ご、ごめん…

ううん、全然平気だよ

それより、急に静電気流れるとか…あはっ!!!

啓、面白すぎでしょ!!

ドキン……

…うぅ……

…あははっ!!!

…そうか

僕はきっと、藤林さんのことを 勘違いしていたんだ

噂話を疑いもせずに信じ、

勝手なイメージを持って 彼女を避けてきた

あれ、ドキンって何だ…?

心なしか、鼓動が 速くなっているような…

不意に、藤林さんの 缶を持つ手が僕の頰に伸びて_

…つ、冷たっ!?

…ふふっ、驚いた?

よく冷えてるな〜

啓、ありがとね

ドキン…

ドキン…

ドキン…

…これはもしや……

俗に言う…

『恋』

というやつ、なのか…!?

よし、折角だから飲みますか!

プシュ、という音がして

缶の蓋が開いた___

途端に…

…ええ!?

ちょ…、あっ…!?

勢いよく泡が上がる___

こ、これは……

…緊張しすぎて、ビニール袋を 振り回しすぎたせいだろうか…

また、やってしまった……

どうしよう…

恐る恐る隣を見ると…

あははははっ!!

啓は面白いなぁ、本当に…

……!!

笑いすぎて溢れてしまった 涙を拭っていた

なんて、優しい人なんだろう…

____好きだ

ほかの誰よりも、君が好きだ_

そう、確信した

まだ、告白なんて出来ないし

君に迷惑をかけちゃうかも しれないけれど…

それでも僕は、 君と一緒にいたい。

たくさん、笑い合いたい。

どんな時も、君の隣にいたい。

隠キャだし、失敗ばかりの 頼りない僕だけど…

この夏、君を落としたい。

この作品はいかがでしたか?

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久々の楼月ちゃんのお話を読めてうれしい💌 逆に啓くんが幸せになれる道が見つけ出せたように思えました☁️

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