平野さん好き！

今日は平野さんとデートです！ 楽しみだな、どんな服で来るのかな

あぁ、俺って幸せ者だ

寮を離れて数ヶ月

俺は元ルームメイトの鍵浦昭にめっぽう好かれているらしく

恋人体験なんかもやったような仲だ

そう言って、自然とあの青いピアスに手が伸びる

これだけは、何故か外せない

鍵くん元気にしてっかな、朝ちゃんと起きれてっかな

あぁ、なんか今、すげー幸せかも

やっぱり俺、平野さんのこと大好きだ

やっぱりこの人俺のこと好きじゃないの！？！？！？！？！

ねーぇーー！！！ 調子狂う！！！

試着後

平野さん、間接キスとか気付いてないんだろうなぁ

平野さんのクレープを一口齧る

あぁどうしよう

…味、わかんないかも

その時だった

平野さんが髪を耳にかけて

俺のクレープをひとかじりする

青いピアスが俺と目をかち合わせた気がして

許して、くれるんだ

俺以外にもそうなのかな

そう言って

鍵くんが俺の耳元に口を寄せる

肩を抱き寄せながら

俺はこの後輩に振り回されてばかりだ

晩御飯を終え、風呂も入り就寝の時間になった

少し、鍵くんが大人っぽくなってる気がした

鍵くんがポンポンとベッドを叩く

だから鍵くんの横に大人しく寝転がった

その時

鍵くんは、暗がりでもわかるくらい

顔が笑ってなかった

鍵くんが俺の両手を頭上で絡めとって押さえつけた

逃げられない

鍵くんが俺の項に顔を近づけて唇を付ける

甘噛みにもならないほど優しい口付けだったけど

酷く熱かった

あぁまただ

また鍵くんが泣きそうな顔してる

鍵くんの猛攻がやっと終わった

鍵くん、冷静になってから後悔しねーかな

ちゃんとした好きはまだだけど

嫌な気はしなかった

だから今日はこれで許してやるよ鍵くん