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コンビニ独特のあの例の 音楽が流れる
俺は今 コンビニで クリスマスケーキを買った
いや別に1人で 食べる訳では無い
だって俺には最高の 彼女が傍にいるんだからな!
ガチャ
「ただいま」
「おかえり 兄さん」
なぜか弟が家に来ていた
それもまぁくつろいで。
「なんでいんだよ……」
「兄さんが1人クリスマスは 寂しがると思ってさー」
1人クリスマス?
何を言っているんだコイツは。
「俺はお前と違って 彼女がいんだよ、ばーか」
なにか弟が俺を心配そうな 目で見てくる
そんな目で見ないでくれよ…
「そうだ なぁ 俺の彼女 見なかったか?」
「…見なかったよ」
「そうか。」
「でも、俺 場所、知ってる」
その言葉で突然 俺はキュッと 苦しくなる
「どこだよ」
「赤レンガパーク」
赤レンガパーク…
あ、そうか、今日は…
「去年…いや 今年も彼女 さんと赤レンガパークで イルミネーション見るんだろ?」
あぁ、そうだ
約束…待ち合わせてんだ
「ごめんな ケーキ食ってていいよ」
「えっ、いいの?」
「あぁ 俺は彼女と今夜 食事してくるからよ。」
途端に弟の表情が固まる
「うまく…いくといいな?」
聖夜だなんだと騒がしい クリスマスの歌
見る者を刺激させる クリスマスツリー
俺は待ち合わせの場所に着く
辺りを見渡してみる
どこもかしこも カップルだらけだ
でも俺にもちゃんと 彼女がいる
「俺ってできる男だな…はは」
「自分で言うのね」
聞き覚えのある声
声の方向へと振り返る
彼女だ
クリスマスという雰囲気 のせいなのか
とても彼女に出会えた ことが嬉しくてたまらない
でも俺はそんな気持ちを抑える
なんでって?
できる男だから
「寒くないか?」
とりあえずありきたりな セリフをはく
……緊張している証拠だ
だけどここで緊張してちゃ 何も始まらない
俺は咄嗟に彼女の手を引く
「…っ」
彼女は手を後ろに隠す
「…え?」
予想外な出来事に 思わず声が出る
「ご、ごめんねっ」
その言葉で一瞬にして 空気が重くなる
俺は気まづいだなんて 思ってしまっている
「俺も…ごめん」
とりあえず謝る
「ううん 気にしないで… あっ、私別に 寒くないよ?」
「そ、それならよかった ……あのさ」
緊張する
いざ話そうとすると緊張する
「なぁに?」
でも彼女はあの日と 変わらない優しい顔で
優しい声で答える
「一緒に……歩かない?」
「……」
俺の意気地無しめ!!!
ほんとは…
「プロポーズかと思った」
「ぎょえっ!?」
大きな声を出した
それも少し裏返ってる声
そんな声に彼女は 笑みを零す
「あはははっ、もしかして 当たりだったりする?」
「ち、ちげぇよ……」
急すぎて嘘を吐く
そういえば去年も こんな感じに何も出来ず 終わったっけな……
「まぁ 期待は してなかったけどね」
「…本当は少し歩くか 聞きたかったんだ。」
「エスコートしてくれるなら」
と彼女は言うと 手袋を身につけ手を差し出す
俺はその行動に違和感を 感じた
「手…怪我とかしてるの?」
「そんなもん」
俺は俺と手を繋ぎたくない とかそんな理由かと
思ってヒヤッとした
そして彼女の手を握る
「なんか軽くなったな」
「んふふ わかる? ダイエットしたんだ」
そして俺らはイルミネーション に囲まれながら
他愛のない会話を交わしながら ただ歩いた
「来年もここに来ような」
「あたし 来年は違うとこ いきたいなー。」
違うとこ?
冬だし…どこがいいだろう
いや、そんなこと考えるのは やめよう明日でも考えられるさ
「ねぇ」
「ん?どした?」
「あたしに会えない1年は どうでしたか?」
急な質問だな…
まぁでも
「辛かった…ってのが本音」
「悲しくないのー?」
「バカ言うな! …悲しいじゃ済まねぇよ」
その意識もしてない言葉で
俺の涙腺は崩壊していく
「あ……れ?なん、で?」
「あっ、危ない!!」
俺は咄嗟に振り返る
前に
「…えっ?」
彼女を横に押した
「なんで────」
ほんとは全部分かっていたんだ
去年と同じことが起きている
そんなライトノベルみたいな
ことが起きてることを
俺は去年彼女に 助けてもらったんだ
なら、今度は
俺が助ける番だろ?
コメント
5件
話の内容が組み込んでて素敵…
凄い…!!弟さんのちょっとギクシャクしてる行動も、最後で明かされるの素敵ですね!