テラーノベル
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帰り道,足は勝手に 大学の敷地を回っていた。 家とは逆方向だと気づいたのは, 噴水の前まで来てからだ。
蓮音
立ち止まっても, 胸のざわつきは収まらない。
康平先輩の声。 「無理、しなくていい」 あの言い方。 本当に,心配しているだけの声。
蓮音
ベンチに腰を下ろす。 コンクリートの冷たさが 太もも越しに伝わる。
蓮音
蓮音
それを分かって ほしかったわけじゃない。 むしろ,分からないままで いてほしかった。
名前を呼ばれるたびに, 距離が縮む。 優しくされるたびに, 戻れなくなる。
蓮音
スマホが震える。 画面に表示された名前を見て, 息が止まった。
康平
出ない,という選択肢はあった。 でも,指は動いていた。
蓮音
康平
その問いだけで,胸が締まる。
蓮音
康平
蓮音
一瞬の沈黙。 それから,少し迷ったような声。
康平
蓮音
蓮音
喉が鳴る。
蓮音
康平
笑い混じりの声。 それが,いつも通りで。
蓮音
蓮音
蓮音
蓮音
電話が切れる。
蓮音は,俯いて両手を組んだ。
蓮音
蓮音
逃げない。 拒まない。 そして──期待してしまう。
足音が近づく。
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