太宰 治
此で善っと、
太宰 治
楽しみだなぁ、
太宰 治
自由を得た記念に、こんな盛大なパーティーを催したって知ったら
太宰 治
チビの彼はどれくらい喜ぶだろうか
太宰 治
ねぇ、そう思わない?りり
天恵 りり
言い方に嫌味を感じる
蘭堂
太宰君、りり、例の荒覇吐の件、
蘭堂
君達は犯人がわかったと言っていたね、
蘭堂
其れは本当であるのか?
蘭堂
其れとも、中也君を虐める為についた、嘘なのかい?
太宰 治
勿論
天恵 りり
両方だよ
太宰 治
彼の前で言ったのは、彼に賭け勝負を受けさせる為だけど、犯人が分かったのも本当だ
蘭堂
ほぉ?
蘭堂
其れは誰だ?
天恵 りり
お前だよ、蘭堂
太宰 治
貴方が先代の姿を偽装し、荒覇吐の噂を広めた
天恵 りり
何か言うことは?
蘭堂
根拠は何だ?
天恵 りり
アンタはミスを犯した、
天恵 りり
とても初歩的なミスをね、
蘭堂
そのミスとは?
太宰 治
海だ
太宰 治
貴方は言った、黒い炎、荒覇吐を目撃した時、
太宰 治
遠くに流れるあの海だけが、月明かりを湛えて静かに泣いていたのを
蘭堂
あぁ、確かに言った、
蘭堂
実際に目撃したからだ
蘭堂
其れがどうかしたと言うのか?
太宰 治
自分で気付かなくて良い?
蘭堂
言ってくれ、
太宰 治
現場は、摺鉢街の中心
太宰 治
そして摺鉢街は爆発の為、半球状に抉れた土地だ
蘭堂
あぁ、あぁ、成程、、、!
太宰 治
そう、見える筈が無いんだよ、海なんて
太宰 治
直径二キロ程の窪地のとこにいたら、海なんて視界に入らない
太宰 治
じゃあ何故、海が見える何て言ったのか
太宰 治
荒覇吐の説明には芯の迫った説得力があった
太宰 治
何故だ?
太宰 治
そう、貴方は其の時実際見たんだ
太宰 治
海をね
太宰 治
だから間違えた
太宰 治
あの摺鉢街から海が見えたのは、
太宰 治
あの街が出来る前、八年前、
太宰 治
大戦末期の戦争が始まる前だ
蘭堂
君達は中也君と賭けをしていたな
蘭堂
ならば賭けは君達の勝ちか?
蘭堂
より早く犯人に辿り着いたのだから
太宰 治
はぁ、
天恵 りり
来たね
中原 中也
此で自殺願望との賭けは俺の勝ちだ
中原 中也
犯人は手前ェだ蘭堂
中原 中也
俺の目からは逃れられねぇよ
中原 中也
アンタが嘘をついていた事ぐらい、とっくにお見通しだ
太宰 治
はいすとーっぷ!
中原 中也
手前ェ等!何でこんなとこに居んだよ!
太宰 治
言っておくけど、犯人告発は僕達が先だ
太宰 治
今まさに、犯行の説明をしていた最中だから、
中原 中也
最中って事は、
中原 中也
まだ終わってねェんだろ?
中原 中也
だったら俺の勝ちだ
太宰 治
君の勝ちって事はありえないけど、推理は聞いてあげるよ
太宰 治
何で蘭堂さんが犯人だと思った?
中原 中也
推理も何もねェ
中原 中也
奴の話を聞いてれば分かる
中原 中也
此までの目撃証言は、先代の爺さんを見たって話ばかりだ
中原 中也
だが、其奴は、荒覇吐本体を見たって言った
蘭堂
神なんてものは存在しないから、私を犯人を考えた、そう言う事か、
中原 中也
違ェよ、
中原 中也
神は存在するからだよ
中原 中也
俺は其れを知ってる
蘭堂
荒覇吐が存在する事について、君は知っているのか?
中原 中也
あぁ、
中原 中也
アンタも見たんだろう?
中原 中也
八年前の彼奴を、
中原 中也
でなきゃ彼処まで正確な証言は出来ねぇからな
蘭堂
中也君、ならば君は知っているのか?
蘭堂
荒覇吐が何処に居るのかを
蘭堂
教えてくれ
太宰 治
知っているなら教えてあげなよ
太宰 治
どっちにしろ、蘭堂さんは危険に晒した者として処刑されるんだ
中原 中也
ったく!どいつも此奴も!
中原 中也
何であんな奴に会いたがる!
中原 中也
彼奴には死人を蘇らせる力なんかねェ!
中原 中也
其れどころか!人格や意思其のもが存在しねぇんだ!
中原 中也
台風や地震と同じだ
蘭堂
人格等問題はない
中原 中也
あ?
蘭堂
大いなる破壊、地を焼き空を染め太陽を震わす理解も及ばぬ彼岸の者
蘭堂
其の力だけで私には充分なのだ
蘭堂
教えてくれ中也君
天恵 りり
(中也の頭見るか、)
中原 中也
そんなに知りたきゃ教えてやる
天恵 りり
、、、、
天恵 りり
⁉︎
中原 中也
荒覇吐は、俺だよ
天恵 りり
カハッ、ゲホッゲホッゲホ、
太宰 治
りり?!情報過多で出血か、、
天恵 りり
そうか、やっと分かった、、、、中原中也に何か引っ掛かって居るものが、、、
中原 中也
りり、お前も薄々気付いてただろ
中原 中也
お前の能力だ、何時かバレるんじゃないかって思ってたよ
中原 中也
俺の記憶は人生の途中からしか存在しねぇ、
中原 中也
衝撃で記憶を失ったアンタとは違う
中原 中也
八年前のあの日以降にしか、人生其のもがねェんだ
中原 中也
其れ以前は、闇だ
中原 中也
何処だかわからねぇ闇の中に、ただ浮かんでた
中原 中也
其の空間に、誰かが封印を破って侵入し、
中原 中也
俺を外の世界に連れ出した
中原 中也
あの手はアンタだな?
蘭堂
ふっ、
中原 中也
アンタは何処で俺を見つけた
中原 中也
其れを知る為に、俺は此の事件を追った
中原 中也
さぁ、全部吐いてもらおうか
蘭堂
無論教えるとも
蘭堂
君には、其れを知る資格がある
突然蘭堂の手の平から異能が出てきて、中也を吹っ飛ばした
太宰 治
何故重力で防御出来ない、、!
蘭堂
私の亜空間は、弾丸と違い、物理法則の影響を受けない
蘭堂
更にその空間は、通常空間から隔絶された異世界でもある
天恵 りり
なっ、、、、
蘭堂
そして、私が招かぬ限り、入る事は愚か出る事も出来ぬ
太宰 治
僕を避けて異空間を展開して、僕の異能を知って居るのか?
中原 中也
手前ェっっ!!
蘭堂
あの異能を受けて死なないとは、
蘭堂
流石荒覇吐の化身
中原 中也
はぁっっ!!
蘭堂
中也君、此の空間内で君が私に触れる事は出来ないが、
蘭堂
私は自由に攻撃出来る
蘭堂の手から出る異能を避けるのに、中也は精一杯だった、
天恵 りり
(まずいな、太宰の無効化が封じられた、)
中原 中也
其の莫迦に直接触れた異能は無効化される、
中原 中也
隔離するように亜空間を展開すれば、こっちには良い円諦になる
蘭堂
確かに彼の異能は異端
蘭堂
欧州にすら存在せぬ
蘭堂
究極の反異能力者
太宰 治
欧州?
蘭堂
ふっ、しかし、
太宰 治
っガハッ
太宰 治
っはぁっ!
先代
っふっふっふっふ、
先代
息災か?小僧
太宰 治
死んでた割には顔色が良いねぇ、ボス
太宰 治
っ、否ぁ?先代ボス
先代
お前を殺したらあの小娘だ、りり
中原 中也
異能であの莫迦を傷付けられる筈がねぇ、
太宰 治
参ったねぇ、先代が持つ大鎌は、異能じゃ無くて実在する物質だ
中原 中也
つまり、斬られれば手前ェも死ぬって事か、
太宰 治
あぁ、其れにりりも貧血、上に大量の出血で先代に殺される前に、
太宰 治
大量出血で死ぬかも、
中原 中也
まじかよ、
太宰 治
先代は死んだ、何をしたんだい蘭堂さん?
蘭堂
私の異能は、亜空間の中にある死体を、私が指摘する異能生命体にできる
蘭堂
最も一度に支援出来るのは、一人のみだがね
太宰 治
すごいね
太宰 治
此ほどの異能力を組織に隠して居たのか
太宰 治
妙にりりを避けてたのも、読まれない為、
太宰 治
貴方は一体何者なんだ?
蘭堂
嘗ての私は、欧州の異能諜報員だった
蘭堂
そして、日本政府が発見したと言う、未知の高エネルギー生命体を奪取する為に
蘭堂
此の国へ来た
太宰 治
其れが荒覇吐って事か、、、
天恵 りり
(治に手紙、伝わったかなぁ、、、、、)
太宰 治
来い!“中也”!
中原 中也
手前ェが動くんだよぉ、、!
中原 中也
くそ“太宰”
先代
終いじゃ小僧、、!
太宰 治
くっ、
先代
何!?
骨折したかと思われて居た右手は、鉄銀で出来た箱だった
太宰 治
中也ぁぁあ!
中原 中也
来い!太宰!!
蘭堂
させるかぁ!!
亜空間を移動されたかと思ったが、中也が自身の異能力で地面に固定されていた
蘭堂
莫迦な?!
中原 中也
くっ、、、、
太宰 治
、、!
中原 中也
終わりだ蘭堂!!
中原 中也
重力からは逃げられねェ!
太宰 治
蘭堂さんの亜空間が無くなれば、当然貴方も消える
太宰 治
覚悟、
太宰 治
一発位受け取ってよ、僕からのお礼
太宰 治
りり!
天恵 りり
、、、、、、ん、、、、、、、
天恵 りり
、終わっ、、、、た、?
太宰 治
あぁ、
中原 中也
手前ェは手品しか?太宰
太宰 治
あのね中也君
太宰 治
何の意味もなくギプス何て付ける訳ないでしょ?
太宰 治
全部話してくれるよね?蘭堂さん
蘭堂
八年前のあの日私は相棒の諜報員と共に
蘭堂
此の地に潜入していた
太宰 治
相棒?
蘭堂
軍が秘密施設に封印して居ると言う、高エネルギー生命体を奪取する為だ
蘭堂
だがその生命体を手に入れたあの時、相棒が、私と祖国を裏切った
蘭堂
私と彼は、其の生命体を奪い合い、其の挙句
蘭堂
此の国の軍に見つかり追い詰められた
蘭堂
その包囲を突破する為に私は奪った生命体、つまり中也君を私が操る異能生命体とすり替え、
蘭堂
この封印を解いたのだ
蘭堂
その瞬間、
蘭堂
あの施設を記録事吹き飛ばし、同時に私も記憶を失った
蘭堂
私の名は蘭堂では無い
蘭堂
私の所持していた帽子のスペルを見た此の国の者が
蘭堂
誤読して名付けたのだ
太宰 治
相棒は如何したの?
蘭堂
私が此の手で殺した
蘭堂
中也君
中原 中也
!
蘭堂
君は荒覇吐其の物ではなく、
蘭堂
荒覇吐を制御する為の入れ物として選ばれた人間だろう
蘭堂
だが君は、荒神としてでは無く、一人の人間として強い
中原 中也
そりゃどーも
蘭堂
君の中に何が住んで居ようと
蘭堂
君は既に君だ
蘭堂
其れで良いのではないか?
蘭堂
全ての人間、全ての人生は
蘭堂
結局自分が何者か知らないままに生きるのだから
蘭堂
不思議だ、
蘭堂
少しも、、
蘭堂
寒くない