映画後の捏造。ネタバレ注意。大人になったふたりが再会する話
一松
柳田ッ!

柳田

柳田
……イチ?

柳田
いや…松野…一松と

柳田
……呼ぶべきかな

柳田
同窓会で会えなくて気になっていた

柳田
会いたかった

柳田
お前の方から会いに来てくれるなんて

柳田
嬉しいよ

柳田
…なんで黙っているの?

柳田
それに辛そうな顔…

柳田
ハハ……

柳田
雰囲気変わったね

柳田
もう笑ってくれないの?

一松

一松
……ごめん

一松
言いたいことがありすぎて

一松
何から伝えればいいのか

一松
うまく伝えられるか

一松
分からないけど…

一松
逃げてしまってごめん

陽キャのノリに付いていくのがやっとで、六つ子のノリでしか生きれないのが分かった。陽キャでイケメンな柳田に、自分が釣り合わないのが分かった。かなり無理して頑張っていた。自分は底辺の人間だと認めたからこそ、離れた
柳田も見た目が変わったね。パリピそのものなのかな。おれがパリピに憧れてるのはおまえの影響だよ。おれは、所詮、ドメスティックパリピだけどね
柳田
謝らないでよ

柳田
怒ってないから

柳田
そりゃ…イチと連絡取れなくて

柳田
辛くて…寂しくて…

柳田
あ

柳田
イチって言ってしまったね

一松
イチでいいよ

一松
イチは偽りのおれだったけど

一松
柳田にはイチと呼んでほしい

柳田

柳田
それって

柳田
また俺と会ってくれるってこと?

一松

一松
……うん

一松
音信不通になったのに都合がいいよね

一松
でもこんなおれでいいなら

柳田
もちろん

柳田
嬉しいよ!

一松
…ホントは失望してない?

一松
今のおれは

一松
ネガティブでクズで…生きる価値のないゴミなんだよ

一松
高校の時も…ホントは明るくないし、暗いし

一松
陽キャじゃなくて、陰キャだし

一松
柳田たちのノリがよく分からなくて

一松
いつも不安だった

一松
かなり無理していた

一松
暗いのに明るいふりして

一松
いつも笑っていた

一松
こんな自分が嫌で

一松
だから……

一松
柳田は悪くないのに離れた

一松
仲良い友達でいてくれて嬉しかったんだよ

一松
柳田は偽りのおれにいつも楽しそうに接してくれたし、余計あの時の自分に死んでほしいと思ったけど

一松
友達を裏切ってたし、友達なんてもういらないと思ってたけど

一松
もし

一松
あの頃の陽キャのふりしたイチではなく、こんな暗いおれでいいなら

一松
…また友達になって、たまに会ってほしい…

一松
六つ子のノリでしか生きれないおれだけど

一松
そんなおれでもいいなら

一松
また…

柳田

柳田
俺は…

柳田
陽気でノリがいいから

柳田
一緒にいて楽しいから

柳田
イチと友達になったわけじゃないよ。きっかけはそうだったかもしれないけどね。俺に合わせてくれてありがとう。ポイント高かったよ

柳田
…確かに雰囲気変わったね

柳田
お互い合わないなって思うこともあるかもしれない

柳田
でも、今のイチにもまた違う魅力を感じている

柳田
また友達になるなら…

柳田
今度は離れたくないよ!

一松

一松
いいの?

一松
嘘ついてたのに

一松
酷いことしたのに

一松
面白くないのに

柳田
ハハハ…

柳田
何回

柳田
いいよって言えば納得してくれるのかな?

柳田
イチが本当に一緒にいたくて大切なのは、俺ではなく兄弟たちだってことは、なんとなく気づいたよ

柳田
諦めようと思った

柳田
諦められたと

柳田

柳田
でも

柳田
また再会したね

柳田
友達になれるなら

柳田
今度はもう離れたくないからね?

一松

一松
…おれも

一松
おれも

一松
おれもだよ、柳田

……よかったぁ。殴られる覚悟もしていたけど、柳田は本当にイイ奴だ。最高の友達だった。自分に自信がなくて罪悪感で離れたけど、今度は無理せずに会える。見た目が変わって性格も変わったと思うけど、以前と変わらず気さくで、明るい笑顔を見せてくれた
柳田
再会を祝して、これから飲みに行かない?

一松
…いいけど

一松
お洒落な店は…ムリ…

柳田
ハハッ

柳田
居酒屋でも、イチの行きつけの店でもいいよ

一松
なら酌み交わそう

柳田
ヤッタ!イチとお酒が飲める日が来るとは。俺は強いよ

一松
おれは弱いんだよね

柳田
潰れたら送っていくよ

柳田
すげー嬉しい

一松
うんおれも

一松
あ

一松
リア充だったら殺したくなるかも

柳田

柳田
怖いこと言うね

柳田
今はフリーだから命拾いしたよ

一松
今はって…

一松
すげー余裕

一松
明るいし、イケメンだし

一松
一軍さまの柳田がモテないのなんてありえなそうなレベルだけどね

柳田

柳田
本命がいたからね

柳田
ずっと忘れられなかったから本気の恋なんて出来なかった

一松
えっ

一松
そんな人いたんだ

柳田
振られたんだけどね

柳田
いきなり音信不通

一松
うわ

一松
それは酷いね

柳田
でも

柳田
もうそれも思い出だよ

一松
吹っ切れたのかな

柳田
またイチと会えたし

柳田
彼女より友達…だろ?

一松

一松
ああ

懐かしい。思い出してきた、ふたりでそう言って笑っていたね
柳田
イチ

一松
なに?

柳田

柳田
改めて

柳田
まずは友達からよろしくお願いします

一松
こちらこそ、よろしくお願いします

柳田
ハハハッ

柳田が肩に手を回してきた。これも懐かしいな。こんな暗い夜に肩を並べて歩いたことはなかったね。卒業後から数年経ち、おれたちは大人になった。また友達になって、お酒を酌み交わす日が来るなんて思ってなかったよ
柳田が高校の時のように無邪気に笑うから、おれも自然と笑顔が出ていた