タキ
今回はお時間いただいて大変ありがとうございます
タキ
今回、お婆さまのお葬式で起きてしまった事件についての取材をさせていただきます
アカリ
一身上の都合のため、テキストでのやり取りになってしまい申し訳ございません
タキ
いえ、むしろ記事にするにはテキストで残っていた方がこちらも助かりますので
タキ
本日はよろしくお願いいたします
アカリ
よろしくお願いいたします
タキ
それでは早速なんですが、今回なぜあのような事態になってしまったのかを詳しくお聞かせください
アカリ
はい
アカリ
どこから話せばいいのか実は私もよくわからないんです笑
アカリ
まずは母とおばあちゃんについて少し話した方がいいかもしれません
アカリ
少し長くなってしまっても大丈夫ですか?
タキ
はい、構いませんよ
アカリ
私の母はすごく優しい人でいつでも私と姉のことを考えている人でした
アカリ
気が小さい、といえばなんだか頼りないように聞こえますが
アカリ
他人に対して繊細な気遣いができる大人しくて白い雪のような母が私と姉は大好きだったんです
アカリ
だけれど、おばあちゃんは母のことが気に食わないようでした
アカリ
おばあちゃんはとても気が強い人で、自分の考えは全て正しいと思いがちの頭の固い人だったんです
アカリ
そして息子
アカリ
ああ、私の父ですね。父のことを溺愛していて父が40歳を超えても、
アカリ
まるで小学生をあやすかのように甘やかしていました
アカリ
子離れができていなかったんですよ
アカリ
息子を奪った女だからなのか、奥深しい態度が気に入らなかったのか、
アカリ
おばあちゃんは母に大変厳しく当たり散らかしていたんです
アカリ
嫁姑問題なんてテレビでは昔によくやっていましたけど、
アカリ
うちの場合は母が一方的に責め立てられていました
タキ
お母様は今回のお婆さまの葬儀には参列なされていたのですか?
アカリ
母は5年前に病気を患って亡くなりました
アカリ
私が23歳、姉が26歳の時です
タキ
そうでしたか。失礼いたしました
アカリ
いえいえ
アカリ
おじいちゃんが亡くなって、一人になったおばあちゃんは私たちと一緒に住むことになりました
アカリ
それまでは、父の実家に帰った時にだけ辛い思いをしていた母でしたが、
アカリ
一緒に住むようになってからは毎日が地獄のようでした
アカリ
何をするにもダメ出しで、一切母のことを認めることはありませんでした
アカリ
朝ご飯のお米が柔らかすぎる、掃除が行き届いていない、顔が貧相で縁起が悪いだなんて
アカリ
毎日毎日母のことをあれこれ責めていました
アカリ
今でも強烈に覚えている光景があります
アカリ
私が小学5年生の時、夜ご飯に母が作ったシチューをおばあちゃんが一口食べると
アカリ
「こんな豚の餌みたいなものを亭主と姑に出すなんて何を考えているんだ」
アカリ
と母に向かって皿を投げたんです。
アカリ
もちろん一口しか食べていないので熱々のシチューも皿に入ったままでした
タキ
それはひどいですね
アカリ
母はあたまからシチューをかぶり、大変暑そうに悶えていました
アカリ
姉が立ち上がりおばあちゃんに何かを言おうとすると、母は姉を押さえて謝ったんです
アカリ
「申し訳ございません御母様、すぐに違うものをつくりますから」
アカリ
って何度も何度も頭を下げたんです
タキ
それは大変辛い光景ですね
アカリ
そのあと床を拭いてキッチンに向かった母についていくと、
アカリ
堪えても堪えても流れてしまう涙を拭いながら、声を押し殺して泣いている姿が目に映ったんです
アカリ
母の顔には火傷の跡が残りました
タキ
なんといったらいいのか
タキ
小学生だったアカリさんには本当に衝撃的だったと思います
アカリ
ただ、私以上に怒りを覚えたのが姉です
アカリ
姉はおばあちゃんのことが大っ嫌いなんです
〜葬式当日〜
アカリ
お姉ちゃんなにしてるの!?
リカ
いやー寝坊しちゃった
リカ
昨日の夜に友達と桃鉄100年やっててさ
リカ
それでちょっとね
アカリ
ちょっとねじゃないよ!
アカリ
お姉ちゃん弔辞任せられてるんでしょ!?
アカリ
はやくしなよ!
リカ
大丈夫急いでる急いでるって
リカ
タクシー爆速よ
アカリ
親戚もちょっとずつ顔色が怪しくなってきてるから
アカリ
お願い早くきて!
リカ
だいたいあのババアの葬式によくもそんなに人が集まったね
リカ
私、あいつがお母さんにしてきたこと一時も忘れたことないから
アカリ
それはそうだけど
リカ
お母さんがはやくに死んじゃったのだってあのババアがお母さんにストレスを与え続けたから体が弱ったんだよ
アカリ
お母さんのことは私だっておばあちゃんのこと許せないよ
アカリ
でも今日はおばあちゃんを弔う日なんだから絶対に失礼なことしないようにしてよね!
リカ
はいはいわかってるよそれぐらい
リカ
私もう31よ?そこら辺の常識はちゃんとついてるっての
アカリ
じゃあ遅刻しないでくれます!?
〜現在〜
アカリ
葬式の当日、姉はおばあちゃんの葬式に遅刻してきました
タキ
今回の事件の元凶ともいえるお姉様ですね
アカリ
ええ、元凶です
アカリ
私は彼女がわざとやったのか、それとも本当にたまたまだったのかは今でもわかりません
アカリ
本人はわざとじゃないと否定しておりますが
タキ
お婆さまのご遺体があんな無惨な姿になってしまうとはこの日、誰も予想していなかったんでしょうね
アカリ
そうですね、親戚の人たちみんな何が起きたのか理解できていないようでした
アカリ
姉が式場に到着した頃、すでに親戚の方々は怒りをあらわにしていました
アカリ
そこにさまざまなバラエティグッズを抱えた姉が現れたんです
〜葬式当日〜
アカリ
ちょっと!
アカリ
さっきの格好は何!?
リカ
いや、実は桃鉄の景品で花火もらってさ
リカ
これから葬式だから持ってけないっていったのに無理矢理持たされたんだよ私も
リカ
それでタクシーの運ちゃんにあげるって言っても断られちゃってさ
リカ
それはもう仕方がないから持ってくるしかないじゃん
アカリ
いやいや!ここ葬式場だよ!?花火持ってくる人なんていないよ!
リカ
しょうがないだろ〜
アカリ
タツヤさんもミユキさんも、みんなの顔見たでしょ!?
アカリ
もう怒り爆発寸前だよ!
リカ
大丈夫じゃね?私たちあんまり親戚の人たちと関わってきたことないし
リカ
そんなわかりやすく怒鳴ってきたりしないでしょ
アカリ
そういう問題じゃないよ!
リカ
それにわたしあの家系もともと好きじゃないんだよ
リカ
今回だってそう
リカ
誰もあのおばさんのこと好きじゃなかったくせに体裁なのかなんなのかみんな悲しいふりしちゃって
リカ
みんな遺産のことしか頭にないでしょうが
リカ
こんな大掛かりな葬式まで開いて
リカ
なんかあそこにいると息詰まらない?
アカリ
それはそうだけど
リカ
それにあの人たちは誰もお母さんの葬儀にもきてないし、誰も助けてくれなかったじゃん
リカ
こんなところ、できればきたくなかったよ
アカリ
そんなこといったら、私だって
リカ
大丈夫、イカした弔辞考えてきたからさ、楽しみにしてなよ
アカリ
不安でいっぱいなんだけど
〜現在〜
タキ
当時そんなやりとりがあったんですね
アカリ
はい、この時から少し私は悪い予感がしていました
アカリ
この時お姉ちゃんのことを止めていればあんなことにはならなかったのかもしれません
タキ
お話を聞く限り、やはり今回のことは確信犯だったのではと疑ってしまいますね
アカリ
姉とおばあちゃんの因縁もとても根深いものがありました
アカリ
母が亡くなった時、おばあちゃんから姉あてに送られたメッセージを見たことがあります
〜タエコとリカのチャットルーム〜
タエコ
これを機にあんたたち実家でなさいよ
タエコ
今住んでる家は売り払って都内の方に家を借りることにしたから
リカ
ちょっとまってくださいよ
リカ
急にそんな勝手な判断困ります
リカ
あの家はお母さんのものですよ
タエコ
違うわよ、私の息子のものです
タエコ
あんたたちを出て生かせる権限はこっち側にあるのよ
リカ
なんですかそれ
タエコ
だいたいあの女、亭主を置いて先に行くなんてほんとどこまでも嫁の能力が低いわね
タエコ
あんたたちはあの女みたいにならないでちゃんとすんのよ
リカ
うっせーハゲタコ
タエコ
へ!?
〜現在〜
アカリ
弔辞の場に立った姉はあー、あーと喉を鳴らすと、
アカリ
こう、話し始めました
アカリ
「今日集まった皆さんお疲れ様です、孫の中で一番可愛いと言われているリカと申します」
アカリ
「遅刻して申し訳ございません」
アカリ
「今日はみんなが譲り合った弔辞を私が引き受けたってことで、とりあえず私が担当させていただきます」
アカリ
「おーいばーちゃん元気にしてますか〜?」
アカリ
「いや、ここ笑うところですよ皆さん。もしかしてあんまりお笑い番組とか見ないんですか?」
アカリ
「笑点なんてあなたたち年寄りのための番組なんだからみてあげないと」
タキ
すさまじいですね
アカリ
一気に血の気が覚めました
アカリ
ここで親戚の方々が席を立って姉を強制退場させようとし始めたんです
アカリ
「ちょっと私まだ喋ってる途中ですよ、みなさんざわざわしないでくださいって」
アカリ
「昔はしょっちゅうおばあちゃんにガキだの小娘だのいわれてきました」
アカリ
「ですから今日はこの場でおばあちゃんの前で」
アカリ
「大人になった証拠としてタバコを吸います。私たちの間にもはや言葉など不要なのです」
アカリ
そういって姉はポケットからタバコとジッポライターをとりだして火をつけたんです
アカリ
その瞬間、怒った親戚の方が姉を取り押さえました
アカリ
姉と親戚が揉み合う中、姉の手から火がついたままのジッポがおばあちゃんの棺桶の方に飛びました
アカリ
会場はこの時すでに何が起きているのか誰も把握できていませんでした
アカリ
しばらくすると棺桶から火花が上がっているのを確認しました
アカリ
なぜかおばあちゃんの棺桶の横には姉が持ってきた花火が置いてあったんですね
アカリ
ジッポライターから花火に引火して棺桶はさまざまな色の火花に囲まれました
アカリ
煙もすごかったです
アカリ
想像するだけでも衝撃的な光景だと思います
アカリ
まるで南国のカーニバルのような派手な火花と煙で棺桶はすぐに囲まれてしまいました
アカリ
火を消そうと大勢の人が棺桶に飛びかかりました
アカリ
その中には姉もいました
アカリ
しかし姉が先頭で転んでしまい、人が傾れるようにかんおけにもたれかかりました
アカリ
すると梃子の原理のような形で棺桶がぽんと勢いよく傾き、
アカリ
煙の中からなにか大きなものが勢いよく宙へ飛び出していくのを確認しました
アカリ
おばあちゃんの遺体でした
アカリ
ロケットのように発射されたおばあちゃんの遺体は完全に脱力しておりぐにゃんぐにゃんと手足を振り回して式場の宙を弧を描いて飛んでいきました
アカリ
そしておばあちゃんは窓ガラスを突き破って外に投げ出され、外の池にそのまま沈んで行ってしまいました。
アカリ
これが今回の葬式の内部で起きた全てです
タキ
なんと信じられないような話ですが、実際に建物からとびだした老体の目撃情報が多数届いております
タキ
本日は詳しくお話を聞かせていただきまして誠にありがとうございました
アカリ
こちらこそありがとうございました
タキ
ちなみにお姉様は今何をしていらっしゃるのでしょうか
アカリ
姉は今、私の家で桃鉄中です
タキ
そうですか、大変変わったお姉さまをお持ちになられましたね
アカリ
はい
アカリ
でも
アカリ
世界で一番好きな姉です
〜後日談〜
アカリ
今回の一件で私たちは完全に親戚の皆様に嫌われてしまいました
アカリ
それでも別に気にしていません
アカリ
母を除け者にしたあの一家に未練なんて何もありませんから
アカリ
私には姉がいればそれだけで幸せです






