テラーノベル
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思い起こされる記憶。
鋭い眼光を見て、それらは強制的に自分の中で蘇った。
──誰の記憶だろうか?
……いや、紛れもない自分の記憶。 それは、己の過去を映し出している。
忘れもしない“あの時”のこと。
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とても緊張していた。 誰かに思いを伝える、なんて初めてだったから。
もしかしたら、同じことを考えてくれているかも──。 そんな淡い期待を抱いていた。
……駄目なことだなんて、分かりきっていたのに。
冷静に考えれば分かったかもしれない。 “弟”から恋愛的な意味で好きだと告白された“兄”が、どのような反応をするのかを。
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弟が拒絶されるのも覚悟の上で告白したのに、 なんて酷いんだろうと思っていた。
いや、そんなことが頭に過ぎった時点で、 完全に覚悟を決めることは出来ていなかったかもしれない。
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どうして馬鹿にするようなことを言ったの? どうして僕が居るのに他の人と幸せになろうとしたの?
僕なら兄さんを幸せにすることが出来る。 そんなどこの馬の骨かも知らない人じゃなくて、僕にしたら良かったのに。
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いつの間にか、床には兄さんだった人が転がっていた。 声をかけても、抱きしめてみても反応はない。
いつの間にか片手に握られていた刃物を見て気付いた。 ──あぁ、殺したんだ、と。
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兄さんを殺した刃物を自分の喉元に向ける。 迷いはない。
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……誰かの話し声が聞こえてくる。 止まない頭痛と目眩に顔を顰めながらも起き上がった。
2人の男は、珍しいものでも見るかのように、驚いた顔をしながらこちらを見つめてきた。
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少し興奮気味に、男はもう片方の男に指示を飛ばす。 そのもう片方の男は、小走りでこちらに近付いてきた。
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Y-20
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Y-20
Y-20
何が“普通”で何が“特別”かは分からない。 どうして今自分がここに居るのか、ここに来る前は何をしていたのかすらも分からないから。
──だが、“特別だ”と言われて悪い気はしなかった。
Y-20
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こちらのことは気にせずに話し込む2人の男。
しばらくして気付いたことは、あいつらが言っていた“特別”は俺自身のことではないということ。
もしこの実験が成功しなかったら、男達は俺のことを “特別”だなんて言わなかっただろう。 あいつらは、目の前の実験結果しか見えていない。
だからだろう。研究所はすぐに崩壊した。 これも、あいつらが何もかもを求めすぎた結果に過ぎない。
俺は巻き込まれる前に研究所を脱走した。 研究所の奴らは俺を探していたのかもしれない。 ……それとも、それどころではなかったか。
どのみち、研究者達に見つかることはなく、すんなり研究所の脱出に成功した。
とある人間に拾われ、あたしはその人達の元で育った。 いわゆる両親のようなものだろう。あたしは本当の両親に捨てられたんだけど。
あたしは2人のことが好きだったし、 2人もあたしのことを大切にしてくれていたと思う。
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そうして、あたしは人間との生活が始まった。 2人はあたしに優しくしてくれて、実の娘かのように思ってくれていた。
──本当に、この2人の子供だったら良かったのに。 あたしは、日を追う事にそんな思いが強くなっていった。
そんなある日のこと。
あたしが用事を終えて家に帰ると、 2人が居る家の中は奇妙な程に静かだった。
嫌な予感がしたけれど、それでも2人を探した。 ……すぐに見つかった。
血だらけで倒れている2人と、家に侵入していた悪魔。 2人は息をしていなかった。
あたしの存在に気がついた悪魔は、すぐにあたしを封印した。 そしてそのまま、あたしは約1000年間封印された。
アンヘルは目を覚ます。 そして、自分達が気を失っていたことを瞬時に思い出した。
アンヘル
アンヘル
アンヘル
アンヘルは焦りつつも周囲を見回す。 気を失う直前、共に戦っていた泣と幸斗はすぐ近くで倒れていた。
アンヘル
アンヘル
アンヘル
アンヘルは、今度は前方に視線を向けた。 そこでは、アーゼルが大罪の悪魔狩り2人を相手に戦っていた。
戦闘開始直前、アーゼルは「非戦闘要員だから」という理由で戦闘から離脱し、調査をしながら情報を飛ばして3人をサポートしていた。
フラム
フラム
アーゼル
アンヘル
アンヘル
アンヘル
そう考えながら、アンヘルは眼帯を掴む。 焦りや不安からか、無意識に眼帯を掴む手に力が入った。
アンヘル
アンヘル
アンヘル
アンヘルは眼帯を完全に解くと、戦っているアーゼルとフラムの間に割って入った。
アンヘル
コメント
4件
アンヘルさんの能力名は設定に記載されておらず、能力名が無いと不都合だった為、勝手に付けさせていただきました。 きちんとした名前がある場合は教えてください🙇🏻♀️ 宵月は学校が始まりリアルが忙しくなるため、これまで以上に更新が低頻度になるかもしれません。のんびりお待ちください。