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あの時は本当に辛かった。 それは、小学生での出来事。
羽瑠
お前本当にキモいんだよバーカ！死ね！
華絵
………
羽瑠に虐められていた。 私は無視するふりをしていたけれど、裏では泣いていた。
羽瑠
お前ウザい！黙れ！
華絵
………
いや黙ってたよ。 この人はなにを言っているの…
そうやってずっと日々を過ごしていた。
華絵
ねえ、南那…助けてよ
南那
羽瑠の事？あいつは放っておきな。
華絵
でも…
南那
アイツは馬鹿だ。先生がその事注意しようとした所でなにも変わらない。
南那
それは、華絵もわかっているでしょ？
華絵
…それは、そうだけど
南那
それに、あいつは自分が正しいと思っている。天罰が下るのも時間の問題。
南那
例えば、同窓会に行った時あいつなにも学習してなかったらあいつの人生終了やで
華絵
……
南那
あー、ごめん…例えが悪かったね。今のは忘れて。
なんだかんだあって中学2年生になった。
そこで私は、ある人の右隣の席になった。
戸亜
……
本田 戸亜。クラスの中で一番成績のいい人。
華絵
(あの人って確か、前のテストで学年一位取った人だっけ)
私は後にこの人が、私にとって大きな存在になるとは考えてもいなかった。
華絵
(歌テスト……嫌だ)
華絵
(でも私…成績を上げなきゃいけないんだ。音楽を3から4に変えていかないと…)
戸亜
…あの人って、確か
戸亜
(前のテストで16番とってて、俺ができていなかった問題を正解してた…)
先生
それではソプラノのB、準備をお願いします。
華絵
(ああああ、緊張する…)
戸亜
(華絵さん、頑張れ…！)
俺は、華絵さんの事が前から気になっていた。初めて話した時から。
応援、してあげないとな…
華絵
同じ空の下
華絵
〜♪
戸亜
⁉︎
戸亜
(華絵さん、歌うま…！)
戸亜
(声量も大きいし、何より…)
戸亜
(表情が、とても良かった…)
華絵
(あー終わった！もう歌なんて歌いたくない…)
華絵
(周りの人に音痴だって思われた…)
華絵
(最悪…)
南那
(オールA…にしたい所だけど…工夫は少しなかったな…)
羽瑠
(聞かなくてもわかる、こいつはオールCだ。死ね。)
戸亜
(…羽瑠って奴、あの人に死ねとか思わなかったか？)
戸亜
(だとしたら…あいつは今傷ついてるよな…)
先生
皆さん、MVPは決まりましたか？
先生
これからMVPの人に優秀者推薦の紙を渡して下さい。
華絵
(私にそれを贈る人はきっといない…)
華絵
(みんなみたいに歌が上手かったらな…)
戸亜
(華絵さん…貰えないって思ってる…？)
戸亜
(俺は、最初から華絵さんにあげるつもりだから…自信持って…！)
華絵
(きっと貰えない…)
戸亜
華絵、さん
華絵
…え？
戸亜
これ…
戸亜
歌、上手かったですよ
華絵
あ…ありがとう、ございます
戸亜
(…華絵さん)
戸亜
(俺…華絵さんの事、好きだわ)
華絵
(え…え⁉︎なんで私、成績優秀のあの人に貰って…？)
華絵
(表情が素晴らしかった…？情が読めないようになってる…)
華絵
…私で、良かったのかな？
華絵
やっと帰ってこれた…
華絵
(とても緊張したわ…！二度と歌いたくない…！)
華絵
あ…
戸亜
……
華絵
(…戸亜の事、気にしすぎてるよ私…)
華絵
(もう忘れよ…さっきの事は…)
聞いたか？あいつの歌声
聞いたー、あの声はないってww
華絵
(…私の事だ。)
戸亜
華絵さん
華絵
え、な、何？
戸亜
あいつらのこと、先生に言っていいと思う
華絵
…でも
華絵
それだけだったら、あの人やめない
戸亜
…前からやられてた？
華絵
…うん
戸亜
そっか…
華絵
……
戸亜
あいつら、自分が正しいとしか思ってないよな。人を虐めて何が楽しいんだか
華絵
…それは、私が馬鹿だからだよ
華絵
きっと
戸亜
は、お前…成績上位だろ…
華絵
…16番は本当の上位だと思う？
戸亜
上位だろ
華絵
私はね、一桁になって初めて上位だってずっと親から教わってきたんだ。
華絵
だから、親から失敗作だって言われるんだ。
華絵
…ごめん。こんな暗い話して…
戸亜
いや、いい
戸亜
何となくお前の事知りたかったし
華絵
…そっか
華絵
(…なんだろう、戸亜の事、かっこよく感じてしまう)
華絵
(…もう恋はしないって決めたのにな)
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
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