ちょっと舐めてたかもしれない
人の数はありえないくらい
人酔いとかしないと思ってたけど
思ったより多くてびっくり
足を止めると呑まれそうで
長野とはレベルが違う
事務所の人と会うまで 余裕があるからトイレに 逃げることにした
涼ちゃん
個室に入ると
学生時代を思い出す
よく逃げていた
あのときのこと
こんなの誰かに 話せるわけでもないし
誰に話す気もない
前は息がし辛くなることも あったけど
今は特に何も思わなくなってる
記憶の奥に
深く
深く、深く
しまってあるから
時間だ
行かないと
僕は再び人波に 呑まれに行く
事務所の方との 待ち合わせ場所に着く
予定の10分前
完璧
どんな人かな
明るい人かな
優しい人かな
いい人かな
僕のこと
ちゃんと魅てくれるかな
事務所の方
涼ちゃん
人と話すのが久しぶりで 声が強張る
事務所の方
涼ちゃん
涼ちゃん
事務所の方
木村さん
木村さん
涼ちゃん
思ったより良い人そうだなぁ
でもいつ裏切るかわかんないし
木村さん
木村さん
涼ちゃん
木村さん
あれから少し事務所を 案内されて
木村さんは思ったより いい人で
うまくやっていけそう
今日はもう帰ろう
疲れた足を前に出す
ドンッ
誰かにぶつかったみたい
涼ちゃん
??
怒ってないかな
??
??
透き通ってでも力強くて 綺麗な声だ
ボーカル志望だろう
慌てた様子で僕に手を 差し出す
涼ちゃん
僕より背が低い
16、7歳くらいの男の子
こんな若い子も 音楽事務所に入るんだ
??
涼ちゃん
涼ちゃん
??
??
???
元貴
元貴
元貴
元貴
涼ちゃん
涼ちゃん
元貴
そういって颯爽と 駆けていった
「元貴」って言うんだ
きっと僕と真逆の子
また会いたいなぁ
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