パパが出て行ってから、ママは変わった。
お化粧もしなくなったし、
ご飯はスーパーのお惣菜だけになった。
でも一番変わったのは…
黄
ま、まま…?
ママ
なあに、黄ちゃん
ママ
早く食べないとご飯冷めちゃうよ?
黄
り、赤は…?
ママ
…だあれそれ
ママ
うちには黄ちゃんしかいないでしょう
黄
…
黄
い…いただきます
赤
…
ママは僕たち双子を差別するようになった。
ママは精神が不安定だったから、
ひとりしか愛せなかったんだ。
ママはなぜか僕を選んで、
赤を”いないもの”にした…。
黄
赤!
黄
赤、きこえる?
赤
…黄ちゃ…?
黄
今ママいないから、”おふろ”にしよう
黄
だいじょうぶ?、たてる?
赤
うん…!
ゴシゴシ…(温タオルで身体を拭く)
赤
黄ちゃん…ありがとう
黄
…ううん
黄
ごめんね、赤
黄
赤のこと、まもれなくて…
赤
そんなこと…ないよ
赤
俺黄ちゃんがいなかったら…
違う、違うの赤
僕がいなかったら赤が愛されてたんだよ
僕たちはどっちか一人でよかったんだ
黄
…(ギュ
こんな生活が一生続いたらどうしよう、なんて
そんな不安な日々はあっけなく終わった。
その日、ママは帰らぬ人となった。
酔っ払いが運転してた車が突っ込んだんだって。
黄
…
黄
よし、そろそろ行こう
赤
うん!…ゴホッ
赤
ケホ…ケホッ…
黄
赤!大丈夫?
黄
もう、やっぱり今日は休んでた方が良かったんじゃ…
赤
だ、大丈夫だよ!
赤
今日は調子がいいの、外に出られて嬉しい!
黄
ならいいけど…
ママ、あれから4年経ちました。
僕たちは小学3年生になったよ。
親戚のおばさんが僕らを預かってくれてる…
4人もお兄ちゃんができたんだ。
でも小さい頃の影響か赤は病気をもってしまった…
赤
早く行こう、黄ちゃん!
赤
俺お腹すいた!
黄
…うん
でも、あの頃とは違う。
今度こそ、僕は…
黄
赤を守るんだ…(ボソッ