志織
志織
ん………
目覚めると、私は病室にいた。
志織
(ここは、病室……?)
志織
(私…)
志織
(どうしてここに……)
志織
大きく伸びをして、視線を窓の方へ移す。
すると、二人の男女が立っていた。
志織
(誰……!?)
二人は、窓の外を静かに眺めている。
志織
(どうしよう……)
志織
(声かけた方がいいかな…)
あたふたしている私に気づいたのか、男女はこちらを振り返った。
???
あ、お目覚めになったんですね!
???
お体の具合はいかがですか?
志織
え、えっと……
志織
大丈夫です…
???
そうですか
二人は、にこやかに微笑んだ。
そして、私の視線は女性の服装にとまる。
志織
(メイド服……?)
それには、心当たりがあった。
志織
あの……
???
ん?
???
?
志織
もしかして、お二人は花園家の方ですか?
志織
私、花園家で働かせていただく予定の、志織と申します
???
っ………!
そのとき、女性の顔が強張った
???
働く…?
???
…………
男性も、表情は変わらないが動揺している様子だった。
志織
(ん………?)
志織
(もしかして、人違い……?)
二人の様子に、慌ててしまう。
志織
ご、ごめんなさい
志織
人違いで──
???
いえ、人違いではありませんよ
男性は、優しく微笑んでそう答えた。
???
私は、執事の氷室です
氷室
こちらは、メイドの佐倉です
月島
はじめまして、志織様
志織
(良かった、人違いじゃなかった)
志織
(氷室さんと、佐倉さんか)
志織
(優しそうな人で良かった……)
私は、ホッとして胸を撫で下ろす
氷室
志織様、昨日は花園家に向かう途中に倒れてしまわれて……
???
念のためにと、病室へ…
志織
そうだったんですね…
志織
ご迷惑をお掛けしてごめんなさい
月島
いえいえ!
月島
ご迷惑だなんて!
佐倉さんは、片手を胸の前で振る
志織
これから、よろしくお願いします
志織
お仕事、いっぱい教えてください
月島
月島
はい!
氷室
かしこまりました
そのとき、頭に鋭い痛みが走った
志織
っ……!!
氷室
志織様?
氷室
大丈夫ですか?
志織
はい、すいません…
氷室
いえ
氷室
もう少し、お休みになってください
氷室
明日、お迎えに上がります
志織
はい、ありがとうございます
氷室
では、私どもは失礼いたします
月島
失礼いたします
そう言って二人は、部屋を出ていった。
志織
(なんか、初めて会ったはずなのに懐かしい感じがした……)
志織
(私の大好きだった人に似てるからかな……)
志織
(とにかく、明日に備えて今日は休もう………)
志織