あの夏の空は青く広く、
焼けつくような太陽の熱も
彼さえいれば苦じゃなかった。
柔らかな笑顔が近くにあるだけで、
私はとても幸せで。
だから、
この夏の先もずっと一緒にいたい。
彼と過ごした時間を、
彼がいた夏を
私は、失いたくない。
***
昨夜のことを思い出し、私はにやけそうになる口を引き結んだ。
水樹先輩
真奈ちゃんが観たいって言ったの思い出したから
真奈
(私が観たいと言った映画を覚えてくれていたこと、一緒に観ようって言われたことが嬉しくて.......)
ー高校に入学して少しだった頃ー
爽やかな初夏の風が吹く学校の屋上で、私たちは出会った。
真奈
ご、ごめんなさい。
真奈
まさか人が寝てるとは思わなくて...
水樹先輩
...うん...痛い...
真奈
(私は寝そべっていた先輩に気づかず、うっかり踏んづけて慌てたことを今でも鮮明に覚えてる。)
真奈
本当ごめんなさい
と謝る私に、ソーダ水のような空を見上げながら言った。
水樹先輩
今日、天気いいね
真奈
(目を細めて穏やかに微笑む、変な人)
真奈
(それが、水樹先輩の第一印象だった。)
マイペースなそんな彼との再会は、
1年の秋に入った生徒会。
真奈
(彼は私と同じ書記だった。)
水樹先輩
あれ、君は屋上で俺を踏んだ子だ
真奈
あの時はとんだ失礼をっ
水樹先輩
人に踏まれたの、あれが初めて。
水樹先輩
俺、二年の影沢水樹です。
水樹先輩
よろしくね
首を傾けて手を差し伸べた先輩は、
眼差しに笑みをのせ、名前を教えてくれた。
それからの、生徒会のみんなと過ごす日々は、
笑ったりケンカしたりと、夏のように目まぐるしくも楽しい日々だった。






