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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

ふと、隣の席で寝ている凪くんの事を雪のようだと思った。何故だかは分からないが。 教室の窓から外を見ると、ちょうど雪が降り始めた。タイムリーだなと思いながら、私は昨日スーパーで買った好物のメルティーキッスを口の中に放り込んだ。

凪 誠志郎

あ、雪降ってる

冴元 楓

うん。そうだね

放課後、こんな時間まで残って勉強なんてするんじゃなかったなんて思っても時すでに遅し。絶対寒い中帰らないといけないという絶望感に駆られて、私はため息をこぼす。

凪 誠志郎

…これ、いっこ貰うね

冴元 楓

えぇ〜。凪くんチョコ好きだったっけ?

凪 誠志郎

そんなに好きじゃ無いけど、口の中で勝手に溶けてくれるから。めんどくさくない

そう言いながら箱の中からメルティーキッスをひとつとって、凪くんはスマホゲームを始めた。 中学生の時からの付き合いで、たまに話すような、そんな感じの曖昧な関係。なんとなくふわふわの頭が目に入って、私は彼を撫で回した。

凪 誠志郎

なにー?

冴元 楓

なんとなく

凪 誠志郎

あーゲームオーバー

私は帰る準備を始めて、凪くんにこう言った。

冴元 楓

そろそろ最終下校時刻だし、先生に怒られちゃうよ?

凪 誠志郎

んじゃ、俺も帰る

冴元 楓

そしたら、待ってるから一緒にかえろーよ

凪くんは、私の最寄り駅のひとつ先の駅に住んでいるから、 こうやって一緒に帰ることが多いのだ。

凪 誠志郎

準備できた

冴元 楓

じゃあ、行こっか

私たちは並んで歩き始めた

次の日、私は最近仲良くしている男の子と一緒に登校していた。

クラスメイト

そういえば昨日のテレビ見たか?

冴元 楓

見た見た!私、3番目のやつが好きだった

クラスメイト

わかる。俺もそれが1番かな〜。あ、今日昼休み空いてる?

冴元 楓

うん。空いてるよ?

クラスメイト

話したい事があるんだ〜

冴元 楓

おぉ!なんだろ…

クラスメイト

中庭集合で!

冴元 楓

わかった!

私たちは学校につき、それぞれの席に着いた。

冴元 楓

凪くんおはよ〜

凪 誠志郎

おはよ

teacher

おいお前ら席につけー

ホームルームが始まり、4時間目の終わりにまで時は進む。 私はカバンの中からお弁当箱とメルティーキッスを取り出し、中庭へと足を運んだ。 あの子、チョコ好きかな? するとそこには神妙な面持ちをして、約束していた彼がいた。

クラスメイト

突然ごめん。あ、あのな!

冴元 楓

うん

私はなんとなく雰囲気で察した。この人は、私に告白をしようとしているんだ

クラスメイト

俺、冴元の事が好きだ!付き合ってください!

冴元 楓

え、と…

なんだか嬉しくないな。そんな失礼な事を頭の片隅で考えながら、何か返事をしようとしたその時だった。

???

だめ。絶対

冴元 楓

え!?な、

冴元 楓

冴元 楓

凪くん!?

凪 誠志郎

俺の方がかえでの事好きだし

何故彼がここにいるのだろう。驚いて固まっていると腕を引っ張られて、階段の踊り場まで連れてこられた。

凪 誠志郎

俺じゃ、ダメ?

冴元 楓

えっ、は?

凪 誠志郎

ダメ?

お口を愛嬌あるうさぎのようにしないでいただきたい。

冴元 楓

いやでも!私たちただの友達だよ?

そう言ったら急に視界がぐらついて、唇に何か柔らかいものが当たった。 キスを、された。 冬のキスは雪のような口溶け、なんて言っていたのは誰?全然そんな事ないじゃん…たぶん。

冴元 楓

嘘でしょ!?ファーストキスは好きな人とって決めてたのに!!

凪 誠志郎

え、ファーストキスなの?やったー

冴元 楓

やったーじゃない!

凪 誠志郎

でも良いでしょ?

冴元 楓

え?

凪 誠志郎

俺が楓の事好きにさせるから

冴元 楓

はっ?

凪 誠志郎

じゃあ明日から覚悟しといてね。楓。

冴元 楓

なっ……!!!

今なら、顔の熱さでチョコが溶けてしまいそう。 明日から、どうやって接したらいいの…?

冴元 楓

…このままだと、私が凪くんに溶かされちゃいそう

凪くんは、雪ではなかったようだ。 そして、呟いた言葉が嘘ではなくなる事をこの時の私はまだ知らない。

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