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次の日

今日は朝練は無いらしく、いつもより少し遅めに家を出ることにした。

黒木 千冬

行ってきます!

行ってらっ……あ!お弁当忘れてる!

黒木 千冬

えっ!?嘘!ちょ、取って!!

はいはい

母が、キッチンに置いてあった弁当を急いで持ってきた。

黒木 千冬

ありがとう!じゃあ今度こそ行ってきます!

はい、行ってらっしゃい。

家を出ると、いつもより歩く学生が多かった。

黒木 千冬

人多いなぁ…ん?あれってもしかして…

人混みの中に、千冬とは違う制服を着た少女が、友人らしき人物2人と歩いているのを見つけた。

黒木 千冬

おーい!星宙〜!

佐々木 星宙

え?

黒木 千冬

星宙!久しぶり!卒業以来だね!

佐々木 星宙

千冬!そういえばそうだね!久しぶり!どう?誠凛は!

彼女は、千冬と同じ中学だった佐々木星宙。千冬の中学時代をよく知る人物だ。

黒木 千冬

まだ入学して3日目だけどね?
でも、バスケ部には入れたよ!

佐々木 星宙

そうなんだ!今度こそ上手くいくといいね!

星宙は千冬がバスケ部で居場所がなかったことを知っている。 故に少し心配しているのだ。

黒木 千冬

……うん!

星宙の友人に千冬を紹介したあと、4人で登校することになり暫く歩いていると、ふとどこからか視線を感じた。

黒木 千冬

ん?

が、後ろを振り返ってもそれらしき人はいない。

佐々木 星宙

どうかした?

黒木 千冬

あ、ううん、なんでもない!

そしてまた暫く歩き、通学路が分かれるところまで来た。

佐々木 星宙

あ、私たちこっちだから!また連絡するね!

黒木 千冬

うん!待ってる!

星宙と分かれたあとから1人で歩く。

すると、またあの視線を感じた。

黒木 千冬

もう…何…?

後ろを振り返ってもまたいない。

かと思われたが、前を向いて歩き出そうとした瞬間、後ろから声がした。

黒子 テツヤ

千冬さん。

黒木 千冬

え?

3度目の振り返りでようやく視線の主を捉えた。 黒子だ。

2度振り返ったのに黒子に気づかなかった。彼の影の薄さは尋常ではないらしい。

黒木 千冬

わぁっ!?!?

黒子 テツヤ

おはようございます。
すみません、ずっと声をかけようと思ったんですけど、楽しそうだったので。

黒木 千冬

え、あ、おはようございます…

黒木 千冬

も、もしかしてずっと後ろにいました…?

黒子 テツヤ

はい。そんなに近くには居ませんでしたが。

黒木 千冬

(視線は黒子先輩だったのか…)

黒子 テツヤ

それより、今お1人ですか?ボクもなんですけど、もし良かったら一緒に行きませんか?

黒木 千冬

あぁはいもちろん…

そうして千冬と黒子、2人で歩くという謎の光景が完成した。

学校に着き、千冬の教室前まで来た。

黒子 テツヤ

じゃあ、ボクはもう1つ上の階なので。

1年生の教室は2階、2年生は3階だ。

学年が上がるにつれて登る階段の段数も増えるという何となく不平等な気がする教室の配置になっているのが誠凛だ。

ちなみに千冬の中学は逆だった。

黒木 千冬

はい、じゃあまた部活の時に。

その後は特に何も無いまま朝のHR、午前中の授業が終わった。

そして時は飛び昼休み。

千冬が昨日の夕飯が詰め込まれた弁当を食べていると、見覚えのある人物がクラスを訪ねてきた。

相田リコ

ねぇ、黒木千冬さんっている?

千冬のクラスメイトにそう聞いていた。 聞かれたクラスメイトはすぐに千冬を呼んだ。

黒木 千冬

ん?あ、相田監督。こんにちは。

相田リコ

こんにちは黒木さん。
今日の部活の話聞いてるかしら。

黒木 千冬

はい。黒子先輩からメールで。

相田リコ

メール?もう2人とも交換したの?随分早いわね。

黒木 千冬

昨日一緒に帰ったのでついでに。

相田リコ

そう。じゃあ大体は分かってるわね。

黒木 千冬

はい。黒子先輩とペアって話ですよね。

相田リコ

そうよ。本当なら私がペアを組む方が良かったんだけどね。
私たち3年は今年で引退だから。

黒木 千冬

いえ、全然大丈夫です。
中学の時にマネージメントの仕事は多少やってたので。先輩たちのお手を煩わせる訳にはいきません。

相田リコ

もう、黒木さんはちょっと真面目過ぎるんじゃない?
もうちょっとリラックスしていいのよ。それと、もっと頼っていいのよ。

そう言ってリコは千冬の肩を軽く叩いた。

黒木 千冬

そ、そうは言っても先輩ですし…

相田リコ

うちのバカガミなんて、未だに敬語忘れたりするんだから、それよりは全然マシよ。

黒木 千冬

えっ。

相田リコ

ねー?びっくりでしょ?
……って、こんな話しに来たんじゃなくて。

リコは一呼吸おいで笑顔で一言放つ。

相田リコ

黒木さん、バッシュある?

黒木 千冬

……はい?

午後の授業も終わり、ようやく部活の時間になった。

黒木 千冬

こ、こんにちは……

相田リコ

あ、来た。黒木さん!こっちよ!

黒木 千冬

あ、はい…

黒子 テツヤ

あ、千冬さん、こんにちは。
今日はシューズ持ってるんですね。

黒木 千冬

あ、はい。監督に言われて…

黒子 テツヤ

それにその格好…

黒木 千冬

これも監督に言われて…

千冬は、あの昼休みの時、バスケットシューズの他に、動きやすい服装で来るようにと言われていた。

故に運動用の服装で来た。 イメージとしては女性がフィットネスをする時に着る服のようなものだ。

相田リコ

はい、皆集合!

監督の掛け声と笛の後、部員がステージ前に集まる。

相田リコ

1年生と2年生でペアを組む話はもう届いてるわね。それとペアの相手も。
というわけで早速ペアで練習してもらうわ!

相田リコ

練習の内容は各ペアで考えて。

相田リコ

黒子くんと黒木さん、そして水原くんの3人のところは難しいだろうけど3人で話し合って。

黒木 千冬

はい。

水原というのは昨日黒子とのメールで黒子が言っていたもう1人のペア。水原 朔だ。 同じクラス故名前は知っている。が、まだ性格はよく知らない。

相田リコ

それじゃ、いつものアップメニューの後、各自練習開始!

全員

はい!

相田リコ

黒木さん、ドリンク頼める?

黒木 千冬

了解です。

昨日と同じように足早に水道へ向かう。 もう既にアップは始まっている。前回のように黒子の世話になる事は無い。

黒木 千冬

よし。頑張ろう。

急いでドリンクを作ること数分。 前回は選手の人数分作ればよかったが、今回は部員全員分だ。

時間はかかるだろうが、選手よりは幾分かマシだ。選手のためにも頑張らねばと心の中で意気込み、ドリンクを運ぶ。

黒木 千冬

2往復ならまだ全然いけたけど…3往復からはドッと来るな…

火神 大我

……千冬?

黒木 千冬

えっ。火神先輩!?今アップの時間じゃ…

火神 大我

あの監督、たまに俺だけ違うメニューやらせてくんだよ。海の近くで合宿した時は俺一人だけ砂浜を何往復もさせられた。

黒木 千冬

わぁ…

火神 大我

それ、ドリンクか?

黒木 千冬

あ、はい。でもこれで最後なのでアップには間に合ったと思うんですけど…

火神 大我

全員分?

黒木 千冬

?はい。

火神 大我

(こいつ、体力バケモンか…?)

黒木 千冬

今とっても失礼なこと考えてませんか。

火神 大我

いや別に。

黒木 千冬

…そうですか。あ、火神先輩もしかしてドリンク取りに来ました?
すみません、火神先輩のは既に体育館に…

火神 大我

あ?ちげーよ。俺はたまたま通りかかっただけ。

黒木 千冬

そうですか…?

立ち止まって話していると、ドリンクホルダーが手からずり落ちていく。

黒木 千冬

わ。危なっ…

火神 大我

おい。大丈夫かよ。

咄嗟に火神が支える。

黒木 千冬

だ、大丈夫です。すみません。
私もう行きますね。

火神 大我

お、おう…。

黒木 千冬

すみません!遅くなりました!

黒子 テツヤ

千冬さん、お疲れ様です。火神くん見ませんでしたか?

黒木 千冬

え?火神先輩ならさっき話しましたよ。

黒子 テツヤ

あの1年生の子が火神くんのペアの子なんですけど、火神くんがいないからずっと探してて。

黒木 千冬

成程…

黒木 千冬

多分そろそろ戻ってくると思いますよ。

黒子 テツヤ

そうですか。ありがとうございます。

黒子 テツヤ

それじゃ、ボク達は何をするか計画を立てましょう。

黒木 千冬

はい。

黒子 テツヤ

水原くんもいいですか?

水原 朔

はい。

黒子 テツヤ

とは言っても、ボクの専門はパス回しですし…あんまりそれらしい事は教えられないんですよ。

黒子 テツヤ

シュートとかも今のやり方以外では全然入らないですし。

黒木 千冬

じゃあ、黒子先輩のパスを取れるようにする…とかはどうでしょう?

黒木 千冬

私が見てきた限り、恐らく黒子先輩のパスは私達1年生では取れません。

黒木 千冬

黒子先輩へのパス出しは私がやりますから、黒子先輩のパスを水原が受ける。という感じで。

黒子 テツヤ

成程…名案です。水原くん、異論はありますか?

水原 朔

いえ、大丈夫です。でも黒木、お前バスケ出来んの?

黒木 千冬

千冬でいいよ。
私、中学はバスケ部のスタメンだったからパス出しくらい余裕。なんならスリーも割と打てる。

水原 朔

マジかよ。
あ、俺も朔でいい。

黒木 千冬

マジ。てか、初対面に近いのに「バスケ出来んの?」って失礼じゃない?
そもそも朔こそバスケ出来んの?

水原 朔

俺初心者。

黒木 千冬

尚更失礼だわ。

2人のそんなやり取りを見ていた黒子は思わず吹き出してしまった。

黒子 テツヤ

ふふっ。

黒木 千冬

く、黒子先輩?

黒子 テツヤ

お2人は気が合うんじゃないですか?

黒木 千冬

え…いやいやいや…

黒子 テツヤ

ボクから見れば結構仲がいいように見えますよ。

黒木 千冬

い、いや…まだ話したばっかだし…ねぇ?

水原 朔

お、おう…

黒子 テツヤ

それもそうですね。監督に怒られる前に始めましょうか。

黒木 千冬

はい。

水原 朔

はい。

3人が考えた練習は、まず千冬がドリブルをし、黒子にパスをする。

黒木 千冬

黒子先輩っ!

そして、黒子がミスディレクションを応用したパスを朔に出す。

水原 朔

うぉっ!?

ただこれだけだ。

だが、その "これだけ" が難しい。

少しでもよそ見をしていたら取りこぼすし、顔面に直撃する可能性がある。

黒子 テツヤ

すみません、ちょっと近過ぎましたね。もう1回いけますか?

水原 朔

は、はい!すんません!

黒子 テツヤ

黒木さん、お願いします。

黒木 千冬

はい。

その練習をひたすらに繰り返した。

何回も何回も何回も。

そしてついに。

黒子 テツヤ

っ、水原くん!

朔が黒子のパスを取った。 そして、そのままレイアップシュート。

水原 朔

…!!よっしゃぁぁぁ!!

黒木 千冬

やった…!

黒子 テツヤ

…!

ゴール下で喜ぶ朔を見ながら、黒子と千冬はハイタッチをした。

それを偶然目撃し、"そっちの2人の方が仲良しじゃね…?" と密かに思った朔だった。

それからも何回も同じ練習を繰り返し、普通のパスは取れるようになってきた。

が、流石にイグナイトパスは取る事が出来なかった。

水原 朔

あのパスヤバいですね。いぐ…

黒木 千冬

イグナイトパス。あれは火神先輩くらいの実力がないと取れないかも。

水原 朔

はぁ?それじゃ俺絶対無理じゃん!

黒木 千冬

最初から弱気でどうすんのさ。大丈夫、その内慣れるよ。多分。

水原 朔

多分って……説得力ねーなぁ。

黒木 千冬

うるさいな。監督じゃないんだから、そんな確かな目は持ってないよ。

黒子 テツヤ

でも、水原くんは凄いです。今日1日でボクのパスを取れるようになったんですから。

黒子 テツヤ

元々の運動神経が良いんですね。ちょっと羨ましいです。

黒木 千冬

先輩はパスがあるんですから、運動神経とかは別にもういいんじゃないですか?

黒子 テツヤ

少なくとも、運動神経が他の皆さんより遥かに劣っているのは確かなので。

黒子 テツヤ

シュートやディフェンスをやり過ぎたせいで影の薄さが無くなったって言われた時は正直焦りましたし。

水原 朔

え、誰にですか?

黒子 テツヤ

洛山高校の、赤司征十郎くんです。

水原 朔

あ、あの赤司征十郎!?

黒木 千冬

ウィンターカップ見てないの?
先輩たちは洛山に勝ったんだよ。

水原 朔

マジで!?

黒木 千冬

どんだけ無知なの…

水原 朔

じゃあここ日本一なのか!

黒子 テツヤ

そういうことになりますね。

黒木 千冬

謙遜しなくていいんですよ先輩。

水原 朔

そうですよ!日本一なんてすげー事なんですから!

黒子 テツヤ

ありがとうございます。でもそんなに言われるとちょっと照れます。

暫く話していると、リコからの招集がかかった。

相田リコ

皆お疲れ様!これからは暫くこんな感じの練習になるから、事前に練習内容を考えておいて!

全員

はい!

相田リコ

あ、それと、本入部届けの提出は来週の月曜日ね!欲しい人はあとで取りに来て!まだ迷ってる人は急がなくていいからよく考えて決めて。

相田リコ

それじゃあ今日は解散!

全員

ありがとうございました!

2年生と3年生が帰る準備をしている中、1年生の数人は本入部届けを貰った。

もちろん千冬もその中の1人だ。

黒子 テツヤ

正式に入部してくれるんですね。

黒木 千冬

もちろんです。最初からバスケ部以外に興味はないので。

黒子 テツヤ

これからも宜しくお願いします。

黒木 千冬

はい。こちらこそ。
あ、どうやら朔も貰ったみたいですよ。

水原 朔

当たり前だろ!黒子先輩のパスを取れるようになって、段々楽しくなってきたんだから!

黒木 千冬

沼に落ちたね。

水原 朔

へっ。

黒子 テツヤ

それじゃあ、今日はもう帰りましょうか。

黒木 千冬

先輩、途中まで一緒に行きましょう。

黒木 千冬

火神先輩も!

火神 大我

は?俺?

水原 朔

あ、じゃあ俺も〜

黒子 テツヤ

じゃあ4人で帰りましょう。

黒木 千冬

はい!

今回も見てくださってありがとうございました。

新キャラの星宙と朔が出てきましたね。

オリキャラが多いものが地雷という人をたまに見かけるので、あんまり多くは登場させません。

1話と2話で、黒子の一人称が漢字になっていたので全て直しました。
不快に思った方、すみません。

次回も宜しくお願いします。

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