桃
桃
紫
幼い僕はそれが何なのか分からなかった
ないちゃんが見せてきたのは多分 色んな生き物のキーホルダーだったはず
"普通"の子なら好きなものが1つ 絶対あって
すぐに「 これがいい 」と決められたはず
でも僕はないちゃんの手の中にある キーホルダーを見ても
興味を引かれなかった
紫
桃
紫
桃
自分が好きなものが分からない
好きなものが無い
自分で決められない
母
父
兄弟は母さんと父さんのことを 「 優しい人 」だって言ってた。
僕はそうは思わなかった
りうちゃんが1番父さんに懐いていた。 ...りうちゃんが1番両親に遊ばれてた
桃
赤
赤
赤
紫
帰ってきて楽しそうに帰ってきて 楽しそうに話をするりうちゃんを見て
「 可哀想 」なんて思ったこともあった ...自分でもどうしてか分からなかったけど
"楽しかったんだね"
そう思うだけで良かったのに
母さんは次第に壊れて行った 父さんは全部母さんと僕らに押し付けて。
"自分は偉い"なんて威張って 大人って汚れてるんだなって知った
酒と欲に溺れて 醜くてどうしようもなくて
救いようがない
赤
赤
母
母
母
父
母
桃
赤
桃
紫
桃
紫
兄弟も可笑しくなって行った。
母さんと父さんが「 好き 」なんて 絶対無い。
...「 嫌い 」なら痛いほど知ってた
今、少し前に戻れたら。 きっと戻れても僕は家族が「 嫌い 」かも
いつしか知らない女の子が家族になって
醜い家族を更にぐちゃぐちゃにして 嘲笑ってた
りうらの居場所を1個も残さず奪って
紫
赤
馬鹿にしたような笑い。 幸せそうな目
僕は絶対見逃さなかった
僕の中の選択肢に「 助ける 」 なんて選択は何処にも無かったけれど
友達と出かけた時 やっと見つけた。
それはどれよりもキラキラ光ってて、
興味を引かれた
紫
紫
透明で光ってて水みたい
こんな生き物居るんや、
紫
紫
こんな僕でも
「 くらげ 」という生き物は 「 好き 」と胸を張って言えた。
汚れたものばかりじゃないんやな
紫
紫
紫
紫
キーホルダーを夕日に重ねた。
透明だから、夕日が透けて くらげは綺麗な橙色に染まった
紫
紫
みーんな汚れてるから 洗ってもまた汚れるから
何色にもなれへんのや
紫
紫
紫
くらげと同じ 透明で綺麗で光ってる
汚れてない
紫
紫
紫
夕日を眺めて「 綺麗 」なんて言った日 あいつは夕日に溶けて消えた
「 今日死ぬ見たいな言い方やな? 」
なんて、冗談やったのにな
天国は汚れて欲しくないな ...透明でも嫌やけど
どうせなら真っ白がええやろ
水
紫
好きなものくらい自分で決めればいい
知らなくてもいいことは沢山ある ゆっくり考えよ
僕はくらげを朝日に重ねた
紫
僕の通学鞄は"白く染められたクリオネ"と "透明なくらげ"が輝いている
コメント
2件
すごく面白いです! 続き楽しみです!!!