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"俺を一番に見て欲しいんだ"
ゆあんくん
ゆあんくん
昼下がりの午後。オフィスのでっかい窓から春の日差しが入ってくる。
とあるフロアの隅っこでパソコン開いて仕事を しつつ、全く違うことを考えていた。
ゆあんくん
ゆあんくん
やっと会えた再会の日 勢い余ってあんなこと言ったけど。
じゃあどうしていくのかなんて 何にも考えていなかった。
ゆあんくん
彼氏がいることは想定していた。 いやだけど
ゆあんくん
なおきりさんから中身を調べて欲しいと言われたスマホから、るなの写真が大量に出てきて驚いた。
よくよく聞けば、どうやらなおきりさんの彼女がストーカーされていて。このスマホはそのストーカーの持ち物。
つまり
ゆあんくん
なおきり
ゆあんくん
名前を聞いて確信に変わる。やっぱり"るな"だ。
なおきり
ゆあんくん
なおきり
ゆあんくん
聞き慣れない単語が出てきて思わず会話を止めた。
ゆあんくん
なおきり
ゆあんくん
ゆあんくん
なおきり
ゆあんくん
ああ、そこね。なおきりさんがピンときたようで人差し指を上に指して話し続けた。
なおきり
なおきり
ゆあんくん
なおきり
ゆあんくん
なおきり
ゆあんくん
空いた口が塞がらない。今リアルにそれ状態。
なおきり
なおきり
なおきり
嫌とかそう言うこと考える前に そんな世界があるのかと、小宇宙に投げ出された感覚に陥る。
ゆあんくん
ゆあんくん
なおきり
なおきりさんがはっきり言い切った "僕らはこれでいい"の言葉。
裏を返せば"意見は求めてない" ちょっとそんな雰囲気を感じた。
ゆあんくん
なおきりさん、変だけど社内ではだいぶ人気だ。 物腰は柔らかいし基本は優しい。 今週明けから指輪はめてきて、女の人たちが 阿鼻叫喚していたのをオレは横目で見ていた。
なおきり
なおきり
ゆあんくん
なおきりさんの笑顔に何にも言えなくなった。
オレはあなたの彼女に 15年も片想いしてますだなんて。
ゆあんくん
そうはいっても
だけどやっぱり諦めることなんてできない。
るなとわかった瞬間 15年分の想いが溢れ出た。
思わず言ってしまった"オレのるな"
ゆあんくん
大好きで大好きでずっと想い続けてた 大切な幼馴染。
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
なおきり
ゆあんくん
全く気づかなかった…!! 背後から一番会話を聞かれたくない人が現れる。
ゆあんくん
ゆあんくん
なおきり
うまく誤魔化せてホッとする。 なおきりさんはそんなオレの隣に座った。
ゆあんくん
なおきり
ゆあんくん
なおきり
なおきりさんが立ち上がりそばの自販機でコーラのボタンを押した。 それを持って、今度はオレの前に座り直した。
ゆあんくん
なおきり
"るな"の言葉にぴくりと反応する。
なおきりさんの口から出る"るな"はちょっと特別感があって、きいてて慣れない。
ゆあんくん
なおきり
やっぱり知ってたか。そうだよな、彼女だもんな。
なおきり
ゆあんくん
ゆあんくん
本心を話した。だってそうだろ?
ふたりから
るながどうしたらこっちを向いてくれるか…なんてこと考えてるのに。
なおきり
なおきり
ゆあんくん
なおきり
ゆあんくん
なおきり
心配なんだよなぁ、ぼそりと呟いていた。
心配するなおきりさんのそばで、オレは焦り始める。もしかしてこの間の帰り道遠回りしたからか?
ゆあんくん
ゆあんくん
るなは小さい頃から熱を出すと喉が痛いとよく言った。気管支が弱いのだろう。 だからご飯が食べれなくて困っていたのを思い出す。
なおきり
ゆあんくん
なおきり
ゆあんくん
オレが唐突なく言ったから なおきりさんは目を丸くする。
ゆあんくん
そう、いつだったか。偶然あった明治屋の桃缶と、オレがお見舞いで持っていったプリン。 るながそれを食べてくれて嬉しかった記憶がよみがえる。
なおきり
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
彼氏の前でベラベラと、るなのことについて話してしまった。別に変なことではないが気分を害されたら申し訳ない。
ゆあんくん
ゆあんくん
なおきり
なおきり
オレの焦りとは裏腹に なおきりさんはほっとしたような表情だ。
ゆあんくん
きっと他の男が彼女について喋る云々より 彼女を心配する気持ちの方が優っているのだろう。
…"彼氏"として、余裕があるのかな。
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
なおきり
なおきり
なおきり
なおきり
ゆあんくん
思わず身を乗り出した。罪滅ぼしのようだけど、何か頼まれただけでも救われる。 …ってか行っていいものなのか。
なおきり
なおきり
なおきり
オレに取ってはるなに会えてラッキーだけど。 彼氏から見たら面白くない、こんな微妙な立場の 自分を頼ってくれたことが嬉しかった。
ゆあんくん
なおきり
急いでパソコンを閉じた。そのまま足元に置いてあったリュックに乱暴に突っ込む。
ゆあんくん
なおきりさんの焦った声が聞こえたけど。 あたまのなかは、ももかんとぷりんでいっぱいだ。
なおきり
なおきり
しっかり風邪をひいてしまった。 熱はそこまで上がらなかったものの
るな
るな
必ず喉を痛める。 そうなると、ご飯が食べれない。
るな
小さい頃、喉が痛くなると 必ず食べてたももかんと、ぷりん。
るな
この間ゆあんくんにひさびさ会ったからか、 小さい時のことをよく思い出す。
るな
諦めて、ひとり布団の中に潜る。
なおきりさんやシヴァさんには買ってきて なんて悪くて言えない。 ふたりとも忙しいからなおさらだ。
るな
もうふとんから一歩も出ないようにしよう。 …あ、眠くなってきた。
な
…る、な
ゆあんくんの声がする
るな
ももかんと、ぷりんだよ
ゆあんくん
ゆあんくん
ゆあんくん
目を開けたら
るな
るな
ゆあんくん
目の前に、ゆあんくんがいた。