私と彼が関わり始めたのは
二学期の中盤に差し掛かった頃でした。
その日は、私が委員会で残って仕事をしていました。
委員会の仕事が終わり帰ろうとすると
ところが
外は土砂降りの雨だったんです。
私は折り畳み傘を持っていませんでした。
私は病気に掛かりやすい体質で
土砂降りに降られれば確実に風邪を引いてしまう。
少しでも治まってから帰ろうと思い待っていたんです。
すると
莉犬
帰らないの?
柳瀬さんが私に近づき、こう尋ねました。
美華(みか)
傘を忘れちゃって…
莉犬
へぇ…
莉犬
…俺と一緒に帰る?
美華(みか)
えっ?
莉犬
いや、多分だけどこの雨なかなか止まないよ。
莉犬
待ってたら、帰るの遅くなっちゃうよ。
莉犬
女の子が暗い時間に帰るのって危ないしね。
莉犬
それに俺、傘持ってるよ。
莉犬
あいあい傘になっちゃうけど、美華ちゃんが良ければ…
美華(みか)
お願いします。
莉犬
おぉ、早いね。
莉犬
どうぞ。
美華(みか)
すみません○○病院まで送って貰っていいですか?
莉犬
○○病院?いいけど…
美華(みか)
そこからは、一人で帰りますから。
莉犬
いいよ、家まで送るから。
美華(みか)
えっ?でも…
莉犬
いいから!ほら、行くよ!
美華(みか)
あっ!はい!
美華(みか)
おじさん、調子はどう?
おじさん
どうっていつもと変わんないよ。
美華(みか)
そっか、良かった。
おじさん
毎日来なくていいって言ったろ。
美華(みか)
心配ぐらいしたっていいでしょ。
おじさん
まぁ、嬉しいけどなぁ。
おじさん
お前、彼氏は出来たのか?
美華(みか)
作る暇ないよ。
おじさん
ほらな、俺の相手してるからだろ?
おじさん
高校生活残り1年半、ちゃんと楽しめよ。
おじさん
ところで、後ろのイケメンは彼氏じゃないのか?
莉犬
あっ、えっと…
莉犬
美華ちゃんの友達です。
おじさん
友達?良かった、友達できたんだな~
美華(みか)
うん。
美華(みか)
それより、おじさん、薬飲んだ?
おじさん
飲んだけど、もう残りがないんだ。
美華(みか)
分かった、看護師さんに言って貰ってくる。
おじさん
あぁ、頼むわ。
美華(みか)
トテトテトテ
美華(みか)
貰って来たよ~
おじさん
お、サンキュー
おじさん
あっ!もうこんな時間だ、はよ帰れ。
美華(みか)
ひどーい!
美華(みか)
分かったよ!帰るよ!
美華(みか)
あっ、そうだ!
美華(みか)
あたし、次に来れるの木曜日だから
美華(みか)
またね!
おじさん
…あぁ、またな。
美華(みか)
?
おじさん
…ごめんな ボソッ
莉犬
…………………。
美華(みか)
柳瀬さん、ありがとう、行きましょ。
莉犬
あ、うん。
おじさん
おい
莉犬
はい?
おじさん
うん、そう。
おじさん
…約束、守ってくれよ。
莉犬
…はい
美華(みか)
ん?何の話?
おじさん
お前は知らなくていいの。
おじさん
男同士のお約束だ。
莉犬
そうそう。
美華(みか)
ふーん。
莉犬
さ、帰ろっか。
美華(みか)
はい。
美華(みか)
ありがとう、柳瀬くん。
美華(みか)
気をつけて帰ってね。
莉犬
うん、また明日ね。
これが、彼と関わるきっかけ