あの後、ryokaは死亡確認がされ、 本当に事件性がないのかの解剖に回された。
今は会社を休暇申請をして家に兄貴と二人でいる。
でも、何も手につかない。
嫌だ。
本当は夢だったんじゃないかと今でも思っている。
hiloto.
motoki.
お互いに話す気力もないので家の空気はしんとしている。
ryokaが居たら
「にぃちゃん聞いて!」
って言いながら駆け寄ってくるんだろうな。
なんであんなにウザそうに追い払っていたんだろう。
なんで?
可愛いじゃん、愛おしいじゃん。
寂しくなってryokaの部屋へ入っていった。
あぁ、ryokaの優しい匂いがまだ残ってる。
包まれる感じがたまらなく心地よい。
クローゼットに目をやる。
まだネクタイは残っている。
これも大事な遺品。
ここでryokaは死んだんだ。
ふと、机に目をやる。
「日記」と書かれている2冊のノートと 小学生の時に撮った家族写真が印刷された物をスマホケースに挟んであるスマホと お手紙が2枚、「遺書」と書いてあるものが1枚あった。
hiloto.
そして人生で1回だけ行った家族旅行で買った お菓子が入っていた缶が別でポツンとあった。
hiloto.
ryokaの机にはそれだけ。
可愛いものが好きで、コレクションしたがる子なのに。
贅沢させてやれてなかったな。
ガチャッ.
hiloto.
motoki.
hiloto.
motoki.
hiloto.
motoki.
hiloto.
hiloto.
「moto兄へ!」と書かれた手紙を渡す。
motoki.
hiloto.
hiloto.
motoki.
motoki.
motoki.
あ、笑った。
ずっと真顔だったから嬉しいや。
hiloto.
motoki.
hiloto.
hiloto.
motoki.
motoki.
motoki.
缶の中には札束が。
1枚のメモ書きと一緒に。 そこのメモには次のように記してあった。
「にぃちゃん見つけてくれたかな? これは僕が稼いだお金です。好きに使ってください。」
hiloto.
motoki.
hiloto.
motoki.
「moto兄へ!」と書かれたものと「hilo兄へ!」と書かれたものがある。
二人の分書くとか、マメだなぁ。
開けた瞬間、懐かしさが押し寄せてくる。
字は綺麗だけど、丸文字で可愛らしい。
「hilo兄へ! まずはお手紙を開けてくれてありがとう。 それと同時に、そこにはもう僕は居ないってことだよね。」
「moto兄にもhilo兄にも沢山お世話になりました!僕が父に蹴飛ばされた時、 守ってくれるのはいつもhilo兄だったよね。 沢山守ってくれてありがとう。 そして恩返しできなくてごめんなさい。 いつもウザかったよね。ごめんね。のうのうと今まで生きていてごめんなさい。」
謝る文ばかりだ。
そしてこんな風に思わせていたのか。
俺はもう兄貴失格だ。
「にぃちゃん達の苦労は僕が1番近くで見てきました。 十分わかっていたつもりです。幸せになって欲しい。 僕なんかのことはさっさと忘れてね。 借金もうすぐで返済し終わるよね。あと100万。 そこの缶に50万入ってるからあと50万。 長かったね。ここまで。ごめんね。こんな事しか出来なくて。」
忘れられるわけが無い。
お前無しでどうやって幸せになればいいんだ。
ここまで頑張って返済してきたのはryoka の将来に響かせないためだ。
なのに
目的の人物が死んでしまったら意味が無いじゃないか...
「僕はずっと好きだったよ。愛してた。 にぃちゃん達はウザかったと思うけど。 僕はずっと2人を思ってた。今でも思ってる。 冷たく接されるのは仕方なかったもん。だって金も稼げない僕が苦労人の近くにいたらダメだもん。迷惑。」
そんな事ないんだ。訂正させてくれ。
俺もryokaをずっと気にしてた。
思っていた。
愛していた。
寝ていなくてイライラしていたんだ。
楽しそうに居るryokaを うざいなんて思ったことないぞ。
..でも、最近は真剣な顔をして話しかけようとしてくるから。
会社を思い出して。
身内だからって当たり散らかしていた。
真剣な話だってわかっていたのに。
そして、大事な人にそんな顔させたくなかったんだ。
ずっと笑って過ごして欲しかっただけなんだ。
なぁ、訂正させてくれ。
そう叫んでも届かない。
「バンドマンになるという夢を諦めさせてごめんなさい。 僕がいるから早く稼がないとってなって サラリーマンになったんだよね。 ごめんなさい、僕が居たから。 moto兄の歌声とギター、 そしてhilo兄の難しいギターが掛け合って できる音楽を聞くのが好きでした。」
「僕がこう思うってことは世間もそうなると思うよ。 まだ20代中間、夢を追うにも遅くないと思います。 僕という邪魔者が居なくなるから、 新しいことに挑戦してほしいな。」
hiloto.
お前はまだ20代にもなってないじゃないか。
hiloto.
もう少し親身になっていれば。 ryokaに寄り添えていればなにか違ったかもしれない。
仕事に囚われすぎていた。
「もう一度言いますが、僕はにぃちゃん達が大好きです。 冷たくされても、何をされても、2人が大好きです。 僕が死ぬことを気に病まないでください。 2人なら大丈夫。何でも乗り越えて行けるよ。 これからは自分のことにお金や労力、時間をかけてね。 大好き。愛してます。」
最後には「死にたくない」 と書かれていたが、消しゴムで消したあとが残っている。
その上から「僕のことは嫌い?」
そう書かれていた。
じゃあ死ぬなよ。
嫌いなわけが無いよ。大好きだよ。
hiloto.
そんな叫びは届かない。
自分が死ぬべきなんだ。
こんな心優しい子、そうそういない。
手紙は終わったかと思ったが、最後に (P.S.)と付け足しの言葉がついていた。
「moto兄は辛い時、 長男のプライドがあってみんなの前で泣けないの。 でも限界な時、 泣きそうな時はお口がみょーんってなってるよ。 いつもの可愛いアヒル唇じゃなくて口角が下がるの! ちゃんとSOSに気がついてあげてね。 長男を休ませてあげて。」
「もしそんな瞬間に出くわしたら、大丈夫?とか そういう言葉をかけるんじゃなくてさ、 行動で示してあげるといいよ。」
「moto兄ね、どれだけ限界な時でも大丈夫って 言い切っちゃうから。 だから抱きしめてあげるとか、頭を撫でてあげるとか そういうことをしたらきっと頼ってくれるよ。」
「あとね、口だけじゃなくて、手をぎゅって握ってたり、 足が小刻みに震えていたりするよ。 moto兄はなにかと行動で示したりすることが多いから hilo兄のSOSより気がつきやすいかも!笑」
..ryokaは、人のことをよく見ているな、
全然気がついたことなかったよ、motokiのSOS。
..俺もSOSのサインがあるんだね。
motoki.
あぁ、motokiの顔が見れない。
絶対今酷い顔してる。
motoki.
motoki.
hiloto.
motoki.
hiloto.
motoki.
motoki.
..あ、口がみょーんってなってる。
ryoka語で何言ってるか分からなかったけど、 この口を見たらわかったかも。
hiloto.
motoki.
hiloto.
hiloto.
hiloto.
motoki.
hiloto.
hiloto.
俺は昔の呼び方で呼んでみる。
そしてryokaの教え通りにハグをしてみる。
そうすると、兄貴の中の何かが事切れたのか、 わんわん俺の腕の中で泣いた。
いつの間にか自分の方が高くなった身長。
だが、俺より何倍も大人びていて、 子守りか大好きで、面倒見がよい兄貴。
まさに「長男」って感じ。
だからだろう、 俺に頼っているところを一回も見たことがない。
俺はいつも頼っているのに。
甘え方を知らないのだろう。
ほら、こんなに思われてんだぜ?ryoka。
死ぬなよ。
motoki.
hiloto.
hiloto.
hiloto.
hiloto.
耐えた結果がryokaみたいになるのだから。
motoki.
motoki.
motoki.
motoki.
何故か俺に懺悔してくるmotoki。
きっと心のはけ口が見当たらなかったのだろう。
motoki.
motoki.
motoki.
なんでこの人は全てを自分のせいみたいに話すんだろう。
「motokiにぃちゃんは何も悪くないよ。」
そう口走りそうになったが、やめておいた。
俺は俺が1番悪いと思っているように 兄貴も自分が1番悪いと思っている。
そんな奴に
「お前は悪くない。」
そういっても火がつくだけだ。
その中でも捻り出した言葉は
hiloto.
もっと気の利いた言葉をなげかけられないんだろうか、 自分は。
馬鹿だなぁ。
頼ってばかりのツケが来たんだ。
hiloto.
俺も何故か懺悔をmotokiに投げつける。
motoki.
motoki.
hiloto.
hiloto.
コメント
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りょうちゃぁぁぁん!!もとにぃぃぃぃ!!ひろにぃぃぃぃぃぃ!!やばい目から滝が…
にぃにぃぃぃぃぃぃぃぃ ↓主さんへ へっわたしどこにでもおるからな☆
みんながおらんくなったら私はなにをして、なにを聞いて、なにを推したらいいんですか??