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第1話 - あ

2023年03月21日

#恋愛

結城真矢

ミツオ

イヨさん仕事どう？もう慣れた？

イヨ

部長、お疲れ様です。

イヨ

仕事は大丈夫です。

ミツオ

そっかそっか。それなら良かった

イヨ

お気遣いありがとうございます。

ミツオ

いや～今年の新入社員は可愛い子が多いけどさ

ミツオ

その中でも君は特に上玉だから！

イヨ

上玉…？

ミツオ

そうそう。だから辞められちゃ困るんだよね

イヨ

そう…なんですか

イヨ

辞めはしないですけど

ミツオ

それ聞いて安心したよ

ミツオ

君がいてくれると目の保養になるからね

イヨ

目の保養？

ミツオ

そうそう。それにあんないいものも持ってるし

ミツオ

一体何を食べたらそんなに大きくなるんだ？

イヨ

何の話ですか？

ミツオ

もうとぼけちゃってw

ミツオ

わかってるくせにー

イヨ

全くわかりませんけど

ミツオ

それとも毎日誰かに揉んでもらってるのかな？

イヨ

何を言ってるんですか？

ミツオ

なんだよーやっぱり巨乳って頭が悪いんだなw

ミツオ

イヨさんの胸はいつみても大きくてきれいだねって言ってるんだよ

ミツオ

君にとっては最高の褒め言葉だろ？

イヨ

は？最低ですね

ミツオ

またまたぁ

ミツオ

可愛い子が職場にいるだけで

ミツオ

やる気がでるだろう？

イヨ

どんな理屈ですか…

ミツオ

そういうもんじゃないか

イヨ

部長、非常に恐縮ですが、

イヨ

業務以外の連絡は差し控えていただけますか。

ミツオ

なんだよ

ミツオ

業務では特に連絡することはないよ

イヨ

はい？

ミツオ

だって、君にお願いするような仕事はないからね

イヨ

どういうことですか？

ミツオ

あんなに胸が大きいんだw

ミツオ

栄養は全部そっちにいっちゃってるんだろ？

イヨ

どういうことですか？

ミツオ

だからさっきも言ったじゃん

ミツオ

巨乳は胸に栄養が行っちゃうから頭が悪いってw

ミツオ

物覚えも悪いんだな

イヨ

それって完全にセクハラですよね

ミツオ

まぁまぁそんなカリカリしないで

ミツオ

あ。牛乳飲んでも胸に行っちゃうからカルシウムも足りないのかw

イヨ

いい加減にしてください。

ミツオ

君みたいな見た目だけで中身のない子が

ミツオ

うちみたいな会社に入れて良かったねー

イヨ

どれだけ馬鹿にしたら気が済むんですか

ミツオ

そんな怒らなくても大丈夫だよ

ミツオ

難しい仕事なんてしなくても

ミツオ

君みたいに可愛くてスタイルがいい子は大切にするからさ

イヨ

私は飾りじゃありません

イヨ

仕事もちゃんと出来ますので

イヨ

平等に仕事を振ってください

ミツオ

あーいいのいいの。仕事なんて男どもにやらせるから

ミツオ

君とはもっと楽しい話をしたいんだよな

イヨ

私は仕事をするためにこの会社に入りました

イヨ

仕事以外の話に応じるつもりはありません

ミツオ

そんな強がっちゃって！そういうプレイが好きなの？

イヨ

は？気持ち悪いんですけど

ミツオ

はぁ？気持ち悪いだと？

イヨ

ほんといい加減にしてください

イヨ

セクハラなんてしてないでみんな平等に仕事を振ってください

ミツオ

お前偉そうに！俺に指図する気か？

イヨ

そういうわけではないですけど

ミツオ

ふーん。別にいいよ。

ミツオ

そっちがその気ならこっちだって

イヨ

何ですか？

ミツオ

お前、その態度改めなければどうなっても知らないからな

イヨ

はい？

ミツオ

痛い目みさせてやるから覚悟しとけよ！

～数日後～

ミツオ

おい！お前どうしてくれるんだよ！

イヨ

部長？急にどうされたんですか？

ミツオ

どうされたじゃねぇよ！

ミツオ

クライアントから資料が届いてないって

ミツオ

クレームが入ったぞ！

イヨ

え？資料だったら作成して、

イヨ

部長に提出しましたよね？

ミツオ

は？そんなの知らねぇし

ミツオ

俺はお前に資料作ってクライアントに送っとけって

ミツオ

そう指示したよな？

ミツオ

何で送ってねぇんだよ！

イヨ

いや、部長は資料作って提出しろと仰いましたよね

イヨ

資料の送付は部長がやられると

ミツオ

は？お前俺のせいにするのか？

イヨ

いえ。そうじゃないですけど、

ミツオ

お前自分の都合のいいように勝手に解釈してんじゃねぇよ

イヨ

えぇ…そんなぁ

ミツオ

言い訳せずに自分の非を認めろよ

イヨ

言い訳じゃないですけど

ミツオ

まぁ今回は特別に俺の方で責任持って

ミツオ

クライアントにも謝罪して資料提供もしておいたけど

ミツオ

先方は大分お怒りで大変だったぜ

イヨ

そう…ですか…

イヨ

ご対応いただきありがとうございました…

ミツオ

は？そんなんで許されるとでも思ってるのか？

イヨ

ご迷惑をおかけし、大変申し訳ございません…

ミツオ

だーかーらー！

ミツオ

そうじゃねぇだろ！

イヨ

えっと…じゃぁどうしたら

ミツオ

はぁ？お前そんなこともわからないのか？

ミツオ

だから巨乳は頭悪くて仕事ふりたくねぇんだよ

イヨ

はぁ…

イヨ

次回より気をつけます。申し訳ございませんでした。

ミツオ

そうじゃないって何度も言わせんなよ！

ミツオ

お前には誰にも負けない最強の武器があるだろう？

イヨ

最強の武器…ですか？

ミツオ

そ！最強の武器！

ミツオ

それでお礼をしろって言ってんの！

イヨ

ちょっと何を仰ってるのかわからないのですが、

ミツオ

まったく

ミツオ

体で払えって言ってんだよ！

ミツオ

お礼の気持ちは体で示せって言ってんの！

イヨ

は？

イヨ

いやいや何でそうなるんですか

ミツオ

今回は本当に大変だったんだよ！

ミツオ

お前みたいなやつのために

ミツオ

この俺がクライアントに頭下げてやったんだぞ

イヨ

いや。それとこれとは話が違いますよね。

ミツオ

違わねぇだろ。お前に出来る最上級のお礼だろ

イヨ

そんなの業務には関係ないですし

ミツオ

でもそんなミスをしたのはお前の責任じゃねぇか

イヨ

それに部長、奥さんもいらっしゃいますよね？

ミツオ

それこそそんなのは関係ないだろう

ミツオ

これはお前から俺へのただのお礼なんだから

イヨ

は？

イヨ

その発想ありえないんですけど

ミツオ

なんだお前、俺に口答えする気か

イヨ

口答えって

ミツオ

上司に苦労かけたのにその態度は

ミツオ

一体何なんだよ！

イヨ

だから私謝ってお礼も伝えたじゃないですか！

イヨ

それに元はと言えば部長が資料作って持って来いって指示で

イヨ

資料の送信はしますか？って聞いたら勝手なことをするなと

イヨ

仰ったんじゃないですか！

ミツオ

なんだ？逆ギレか？

ミツオ

お前がそういう態度ならもういいよ

ミツオ

せっかくこっちは可愛いし巨乳だからってことで

ミツオ

大目に見てやろうと思ってたのによ

イヨ

そんなことは誰も頼んではいませんが

ミツオ

おぉそうかそうか

ミツオ

俺にそんな態度取るならもう上に報告するしかないな

イヨ

はぁ…

ミツオ

お前なんか簡単にクビに出来るんだよ

イヨ

クビ…ですか

ミツオ

そう！おれは上層部にも顔が利くんだよ！

ミツオ

でもそれは嫌だろ？

ミツオ

それが嫌なら自分が何をするべきか

ミツオ

ここまで言ってやればさすがのお前でもわかるよな！

イヨ

もういいです。

ミツオ

おっようやく分かったか！

ミツオ

分かったならそれでいいんだよ

イヨ

いいえ。上に報告でもクビでも好きにしてください。

ミツオ

何？

イヨ

あなたにそれが出来るのならどうぞご自由に

ミツオ

お前俺のことをバカにしているのか？

イヨ

そんなつもりは御座いません

イヨ

ですが、社長の娘である私にそんなことが出来るのであれば

イヨ

ご自由にどうぞと言っているのです

ミツオ

へ？

ミツオ

社長の娘？

イヨ

はい

イヨ

私は将来、父の会社であるこの会社を継ぐことになっています

イヨ

その為には、現場のことを知るべきと言うことで

イヨ

入社したんです

ミツオ

そんな。そんなこと俺は聞いてないぞ

イヨ

はい。だって言っていませんから

イヨ

社長の娘だと言って入社したら

イヨ

周囲も気を遣って勉強にはならないと言うことで

イヨ

そのことは一部幹部のみに知らせ、その他の方には

イヨ

秘密にして働いていたので

ミツオ

そんなぁ

イヨ

このことは父にも伝えさせていただきますからね

ミツオ

いや、待ってくれ

イヨ

これだけじゃない。セクハラ発言に関しても

イヨ

このやり取りをすべて報告させていただきます

ミツオ

違うんだ

ミツオ

あの、あれはコミュニケーションのつもりで

ミツオ

悪気はなかったんだ

イヨ

は？あれがコミュニケーション？

ミツオ

そう！

ミツオ

ほら今時の若い子とどう接していいかわからなくて

イヨ

それは余計に問題ですね

ミツオ

本当に申し訳ないことをした！

ミツオ

謝る！この通りだ！

ミツオ

だから頼む、社長には言わないでくれ

イヨ

そうはいきませんよ

イヨ

それに私は無能だから仕事も振らないと

ミツオ

いやそれも入社したてで色々仕事振って困らせたらいけないと思って

イヨ

そんな言い訳が通用するとでも思ってるんですか？

ミツオ

言い訳じゃないんだ

ミツオ

君は優秀な方だから無理をさせて辞めさせてしまったら

ミツオ

会社の為にならないと思ってだな

イヨ

もういいです

イヨ

それにセクハラやパワハラをしていたのは私だけじゃないですよね

ミツオ

え？

イヨ

もう他の社員の方からの証言も集めているんですよ。

ミツオ

他の…？

イヨ

そうです

イヨ

私の同僚の女の子にも同じように

イヨ

セクハラをして、ミスをでっち上げて体の関係を強要をしていたって

イヨ

あれはあなたの常套手段だったようですね

ミツオ

あれは冗談だよ

ミツオ

ミスしないように気をつけて欲しかったから

ミツオ

ほらそういえば次からは気を付けるだろ？

イヨ

男性社員にも本来部長がやるべき仕事を押しつけていたんですね

イヨ

彼らの残業が多いことが気になっていましたけど

イヨ

まさかご自分の仕事を全部部下に押しつけていたとはね

ミツオ

違うんだ。それは仕事を覚えて貰おうと思って

イヨ

へー？

イヨ

その癖いつも仕事が遅いって罵っていたのも

イヨ

指導だったと仰るんですか？

ミツオ

そんな罵ってなんて

イヨ

証拠はすべて揃っています

イヨ

今更言い逃れは出来ませんからね

ミツオ

待ってくれ。本当に違うんだ！

ミツオ

君のように素晴らしい方だったら分かってくれるだろう

ミツオ

私は会社の為を思って、部下を甘やかさずに接していただけなんだ

イヨ

もう何を言っても無駄ですよ

イヨ

このやり取りも、他の従業員からの証言も

イヨ

すべてまとめて社長には報告済ですから

イヨ

来週の経営会議で取り上げる事になっていますから

ミツオ

そんなぁ

イヨ

それにこんなことをして今の職位のまま

イヨ

いられると思わないでくださいね

ミツオ

いや、そこは次期社長の君の権限でなんとかしてくれよ

イヨ

こんなことしておいてなんとか出来るわけないじゃないですか

イヨ

それに私にはそんな権限ありません

ミツオ

いや今まで面倒見てきてやったじゃないか

ミツオ

頼むよぉ

イヨ

あなたに仕事を教わったことはありません

イヨ

それにこんなセクハラやパワハラでしか

イヨ

コミュニケーションが取れない方を

イヨ

部長職に置いておくわけにはいきませんし

ミツオ

降格になったら俺の家庭はどうなるんだ…

イヨ

そんなこと知りませんよ

ミツオ

息子が今度大学受験なんだよ

ミツオ

給料が下がったら困るんだよ

イヨ

それは自業自得ですよね

イヨ

あと、セクハラ・パワハラの件に関しては

イヨ

訴えさせていただくことにもなりましたから

ミツオ

え？訴える…？

イヨ

裁判になるかと思いますので

イヨ

こちらも覚悟しておいてくださいね

ミツオ

いやいやいやちょっと待ってくれ

ミツオ

そんな大袈裟な

イヨ

大袈裟って、

イヨ

あなた従業員の心理的苦痛をなんだと思っているのですか？

イヨ

あなたの言動でどれだけの人が苦しんだか

イヨ

まったく理解していないんですね

ミツオ

どうしてこんなことに…

イヨ

いい加減あきらめて自分のしたことと向き合ってください

イヨ

そして今後のご自身の身の振り方を考えてくださいね

ミツオ

お願いだ。俺を見捨てないでくれぇ

～後日談～

イヨ

その後、ミツオは莫大な示談金と慰謝料を請求され

イヨ

貯金は尽き、借金を負うことになったようだ

イヨ

また会社からも重度のセクハラと認定され、諭旨解雇となった。

イヨ

当然、奥さんからは離婚を突きつけられ

イヨ

現在は一人、バイトをしながら借金返済に追われているとのこと

イヨ

私は今も次期社長になるための経験を積んでいる。

イヨ

社内でも人望も得てきており、期待されている。

イヨ

お世話になった方の期待に応えられるように

イヨ

今まで以上に仕事に取り組んでいこうと思う

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結城真矢

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