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寿命日記

寿命日記

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1

名前と寿命。

♥

10

2022年09月07日

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じん

そこで何してるの?

さゆり

べつに...

時刻は午前1時。

じん

え....

さゆり

なに?

じん

いや、なにも...

俺は少し特殊な目を持っていて相手の目を見ると頭の上に名前と寿命が見える。

じん

あのさ、お前何かの病気なのか?

さゆり

そんな事は無いけど...

さゆり

なに?急に...

じん

いや...

反応に困ってしまった。 今日あったばかりで、相手は俺の名前も知らない。なのに、何故と言われても残りの寿命があと少ししかないなんて言える訳もない。

さゆり

まぁ別にどうでもいいや

そう投げ捨てるように吐いた彼女の言葉はどこか寂しさを感じさせた。

じん

お前の寿命...

さゆり

寿命?何いきなり...?

じん

そう、寿命....

じん

あと3ヶ月しかないぞ...

気づくと残りの寿命を口にしてしまっていた。

さゆり

そっか

どうでもいいと言わんばかりの態度。 まるで他人事かのように彼女は続ける。

さゆり

それが本当かは知らないけど

さゆり

別にどうでもいい

じん

なぜ?

普通は残りの寿命が3ヶ月と言われれば動揺する筈だ。 少なくとも、信じて貰えず嘘つき扱いされるのがオチだと思っていた。

さゆり

私が死んだ所で別に何も変わらない

さゆり

誰かが悲しむ訳でもない

じん

そうか...

詳しくは聞けなかった。 俯きながら話してはいるが、声のトーンで物凄く暗い感情が伝わってきたからだ

さゆり

てかさ

さゆり

何で寿命が分かるわけ?

興味を持った事には意外だったが、人に残りの寿命を言ったのは初めてで、自分を見てくれようとする人に少し嬉しさが込み上げてきた。

じん

さゆり...

さゆり

え、なんで...

じん

分かっちゃうんだ...

じん

人を見ると頭の上に寿命と名前が浮かんでくるんだよ....

さゆり

そう...なんだ...

さゆり

信じたくはないけど...名前まで当てられちゃね....

深くため息を吐くさゆり。

さゆり

そっか...私の寿命本当に残り3ヶ月なのか

じん

うん。

すると彼女は語り出した。

さゆり

私さ親が居ないんだ。

さゆり

先月父も母も事故で他界しちゃってさ

さゆり

なんかさ...

さゆり

もうどうでも良くなっちゃって笑

そう言って彼女は引きつった笑顔を見せた。その間何を話せばいいのかわからずただ突っ立っているだけの俺に彼女は続ける。

さゆり

私さ、夢があったんだ。

さゆり

でも、親が亡くなってなんの気力も起きなくて笑

さゆり

でも、3ヶ月なら結局無理だったか笑

じん

叶えよう。

さゆり

え?

じん

その夢、叶えよう。

気づけばそう口にしていた。 夢の内容、残りの寿命。 そんな事はどうでもよかった。 ただ彼女を救いたい。 そう思った。

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