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私の部屋の真向かいは母の部屋だ。父と離婚する前は父と母の寝室だった
今は母が恋人を家に連れてくる時にだけ使われる部屋
下の階のトイレに行くために自分の部屋のドアを開け母の部屋のドアを見ながら私は小さく言った
日野 架純
母
日野 架純
ビックリした…聞こえたのかと思った
私が部屋を出るドアの音を聞いて母が自分の寝室から出てきたのだ
母
日野 架純
母
日野 架純
母
日野 架純
母
聞きたくない。
あんたの口から やらしい気分とか…気持ち悪い 50も過ぎてる おばさんが男の為に赤い口紅つけて
やらしい気分!?はっ??なんなの
痛すぎるよ
日野 架純
母
好きな人を想い深い呼吸から大きな息を吐き出し少女の様に頬を赤らめて母は言った
母
日野 架純
明日も明後日も ずっと帰ってくるなよ
母
ご機嫌でまた身支度をはじめる
私は母の意味のわからない鼻歌も嫌い まだ小さかった私と父の為に食事を作りながら嬉しそうに鼻歌を歌うママは大好きだったのに
日野 架純
トイレから出て私は鏡に自分の顔を映した
私は父に似ている。母とは輪郭が似てるくらい
子供だった頃の私は あの人が大好きで…父親似の私はママに似てない事が悲しかった
ママは凄く綺麗…年齢を重ねてもなお 今も綺麗で 女でいたいと思うママを見るのが嫌いだ
日野 架純
唇と握りこぶしに力がはいる 泣きそうだ
ハッと目を覚ました
日野 架純
あれから あの人が家を出るまで顔を合わせたくなくて ひと気のない河原で時間を潰してたら寝てしまっていたみたい
日野 架純
外は綺麗な夕焼けに染まってた
日野 架純
口に出した言葉を消す様に『どうでもいいし』心の中で そう呟く
日野 架純
『ふん!カップ麺のが美味しいじゃん。気取って食べるよりズルズル音出して食べる方が美味しいし 』
日野 架純
赤い口紅をつけて頬を赤らめていた あの人の…ママの顔が離れない
日野 架純
ママが恋人の安志さんと逢う時に口ずさむ鼻歌を いつのまにか私も覚えてしまっている
日野 架純
いつもより濃いあの口紅をつけたママを見たからだろうか
私の足は家とは反対の別の方向に向かっていた
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