私を力強く抱きしめて肩に顔を埋めて 泣き出した兄に、魔法騎士団長、団員達 皆反応はそれぞれ違って、 驚いている者、興味深そうに見る者 笑っている者、混乱している者。 ただひとつ共通するのは皆、私が 魔法帝とどんな仲なのか、何者かと 思っていることだろう。
兄を抱きしめ返してあげるのが最適解 なのか…はたまたハグという名の拘束を振り解き逃げるか、ビンタをするか 弁解をするか、それともこのまま抱き しめられたまま流れに身を任せるか……
どちらにせよ、この状況を何事も無く 終わらせるのは無理だろう。 どうしてこうなってしまったのか…… 時は1年前に遡る──
薄暗い閉鎖された空間から窓を開け 外を見る。心地よい風が吹き、 魔法で作った2羽のカラス。 フギンとムニンが帰ってきた。 2羽は私に外の世界を教えてくれる。 そして庭の木々の葉が揺れていた。 そろそろだと、窓から少し離れた。
空を見るととてつもない速さで こちらに向かって飛んでくる人が見えた 私はあれを知っている。敵ではないことを、きっと今日もだろう。 私と同じ金髪、目の色をした男性 ああ、やはり兄が私に本を 持ってきてくれた。 窓から入るのは最初は驚いたが、 もう慣れてしまった。
ユリウス
笑顔でそう言い、兄は私に本を手渡す。 兄は魔法帝という忙しい身でありながら 月に一度何冊か本を持ってきてくれる。 私はある事情で外に出ることを 許されていない。兄はなんで私なんかに 時間を割いてくれるのだろう… 両親には見限られ、今やもう 「結婚をして跡継ぎを作るしか 使い勝手がない」 と言われてしまったこんな私に…… 黙り込んでしまっていたことを思い出し お礼をなんとか伝えた。
ユリウス
そんなこと露知らず、兄は本が 面白くなかったのかという見当違い なことを不安そうな表情で私に聞く。 なんで私のことを気にかけてくれるの? なんてまだ聞けない。この時間は なんだかんだ大切だから。でも 今日で最後にしなきゃな。と思った 黙り込んでいたら怪しまれるので 先程の兄の言葉を否定し、面白かった と返事を返した。
ユリウス
ユリウス
先ほどもらった本を腕に抱えてる 私から1冊本をぬき出してあらすじ だとか登場人物の説明をしだした。 大きな竜巻に巻き込まれた少女は、 夢の国オズにたどり着く。彼女は 故郷に帰るため、臆病者のライオン、 脳を持たないカカシ、心のない ブリキのきこりと共に、望みを 叶えてもらうため魔女の住む エメラルドの都を目指して 冒険の旅に出る。 というあらすじで、この話は 願いごとは誰かに叶えてもらうのでは なく、自分自身で掴み取れるものだと いうメッセージが込められている 素敵な話だ。 昔、母に子供の時に読んでもらったなと 懐かしくも、悲しい気持ちになった。 そのうえ、私には自分自身で願い事を 叶える力も権利すらもないと現実を 突き付けられた。
モシュネ
ユリウス
モシュネ
ユリウス
モシュネ
兄は笑って笑顔で「ああ」と肯定した。 それからは、兄から外の世界の 話を聞いて、私は前回もらった 本の内容や感想を言った。 あれから小一時間ほど話しただろうか ずっと思っていたこと。今日で最後に することをやっと決意できたので 兄に話すことにした。
モシュネ
ユリウス
モシュネ
兄が持ってきていたのは 年寄りの動物たちが音楽隊になるため 冒険に出る話。 主人公が小人の国や巨人の国、 はたまた昔の時代の日の国に至るまで さまざまな国を旅する物語 幸せを呼ぶという「青い鳥」を 探しに旅にでる兄妹の話。 など、他にも冒険物語を沢山 持ってきていた。 兄の笑顔が驚いた表情に変わる。 それに続き、疑問を兄にぶつける。 実際はどうかはわからない。でも、 言葉は一度で出したら止まることは 無かった。
モシュネ
ユリウス
心優しい兄のことだ。私が傷つかない よう言い訳でもするのだろう。もう嘘を 吐かれたくない。最後くらいは兄の 本音を聞きたい。兄の言葉を遮り、 兄の中でもきっと記憶に残っている だろうあの時のことに触れた。
モシュネ
ユリウス
図星なのか、あの時のことを思い出して いるのかはたまた両方か…黙り込み、 傷ついた顔をしていた。
モシュネ
モシュネ
息を吸い、今一度決意を固める。 兄を真っ直ぐ見据えた。
モシュネ
モシュネ
プチットクローバー
モシュネちゃんによるこの話の説明!
ええと この話はブラッククローバー の本編?…ん?本編って? よくわかりませんが
本編が始まる前の話だそうです! 私が外に出てとある職に就こうと するまでが0話、らしいんですが…
とある職ってなんなんでしょう?
あとこういうのをメタいという らしいんですがメタいってなんですか? お兄様なら知ってますかね?
終わり!次回もお楽しみに!
コメント
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すみません!センシティブ 付いてましたが今取りました! 全然エロくもグロくもないので 驚いた方いると思いますすみません!