紅茶

僕はお金持ちだ。もちろん家にはたくさんの家政婦がいる。僕が小さい頃から世話になっているから、40代以上の家政婦が多い。 ⋯え？若い女の子じゃなくて残念かって？そんな訳ないじゃないか。だっておれは熟女が大好きだ！

人生経験を積んできた女性の入れる紅茶は格別なんだよ。熟女…おっと、家政婦が淹れるダージリンは上品な渋みがより感じられて素晴らしい。

まずは香りを楽しむ。この深呼吸でなんとも幸せな気持ちになれる。早速ティーカップに口をつけ目の前にいるニケに話しかける。

紅茶の最後の一口が喉を通った。僕は近くにいた家政婦にもう一度声を掛けた。

訳も分からずに鼻をティーカップに近付けているニケの様子が可笑しくてつい笑ってしまった。僕とニケは明らかに違う点がありすぎるが、僕は一番の友人だと思っている。

慣れた手つきで片手にティーカップを2つ持ち、キッチンへと運んでくれる。ニケは僕にとって最高の友人であるが、仕事っぷりも最高である。

1人になってしまったし、読書でもしようかな。

目の前に運ばれたのは種類豊富なドライフルーツと、紅茶だった。

また、香りを楽しんでから1口含む。ドライフルーツの中から桃を選んで食べてみる。

弁解するのも面目ない。

だって、こんなにストレートに言われたのなんて、今までなかったから…

今これ以上近付かれたら、緊張でどうにかなってしまいそうだから…。

ニケの温かい手が僕の額に触れた。

僕たち、友人だよな…？この気持ちは、なんだ…。